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半歩 ~守・破・離 短き刃 長き道~  作者: 止水


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第五十八話 繋ぐ ー教えー

本住吉流の道場


形稽古を行う雪


踏み込みの音が響く


息は白い


眼は鋭い


長刀の軌跡が扇のように舞う


ーーーーーーー


澪は言ってた…


(”守”って… 一番難しんだよ…)


その言葉… よくわかる


今も私は本住吉流を学んでいる


物心が着いた時には、もう本住吉流を学んでいた


今も学んでいる

でも、足りない


分かってる…

離れるのが怖い…


本住吉流を学べば学ぶほど、自分の足りなさを実感する


足りない何かを探して

また学ぼうとする


そして、また未熟さを実感する


そう…

私の学びでは、人に教えれえるほど、まだ積み重ねられていない


(人に教えることが好きな人がいるよ)

(”守”が足りていない人ほど教えたがる)

(”守”が無いから偏った”離”ばかりを教える)

(そして文字通り「破」だけの自己満足になる)


澪が言っていた

それも、今の時代の在り方だと認めていた



私が覚えたこと、その1割も人に教えられる自信がない…

私にはできない


教えの深さを知っている


これをどうやって教える?


今は家元代理として道場を治めているが、


いずれ、家元として門下生を導いていかなければならない


「無理だ…」


だが、家元としての責務を担う日が来る…


逃げたくはない


なら…

学ぶしかない…

学び続けるしかない…


ーーーーーーーー


今の私は、門下生にどう見えているのだろう…


今の私は、正しく本住吉流で在るのだろうか…


違う…

正しい本住吉流て何?


本住吉流で”在る”ことは、”居つく”ことになる…のではないのか?


”在る”べきなのか?

”在り続ける”べきなのか?


分からない


ーーーーーーーーーーーー


(ちがう…)


今の私の動き

私自身に違和感がある…


再び、同じ形を舞う…


再度、舞う…


少し馴染んできた…


舞う…


ーーーーーーーーー


(守って破って離れてたら、 “伝統” って言葉、消えない?)


そう、伝統どころか流派さえなくなる…


この国には、千年間という年月でさえ、受け継いできた技が数多くある…


それはなら、「守破離」という言葉が間違っている?


澪は”巡り還る”と言っていた…


”還る” 還るって何? 私には実感がない


ーーーーーーーーーー


(……!)


この動き…


あの春日君の動きを追従している!!


形の違和感…


剣と対峙する事ばかり考えて形を舞っていた…


(根本的に間違っていたの…)

(そんな事はないはず…)


再度、動きを追従してみる…


違和感はあるが、前とは違う違和感が残る…


(やはり、私の”守”が足りていなかったの?)


再び、形を舞う



舞う…


ーーーーーーーーーーー


形の中、父の言葉が戻る…


(「形に守られている」)


(「本住吉流の動きではなかったな」)


(「だが… 本住吉流だった」)



「そうか… 」


あの時の私には、蓮の動きに追従できるほど、私に修練は降り積もっていなかった


そこにあった形に、身を預けていただけ


(私は……)


(その中に、いただけ……)


だから「形」に守られていた…


先人たちが育んだ「本住吉流」に…



ーーーーーーーーーー


もう一度、舞う



形の中に入る


(違う……)


(少しだけ……違う……)


まだ、届かない



ーーーーーーーー


この扇の動き…


春日の君の動きを制圧している…


(やはり… 過去に本住吉流は春日くんの動きと戦っている… )


残ってる… 繋いできている…


(本住吉流の形 それさえも巡っているの?)


それなら、正しい教えって何?

”守”って何なの?


私には…わからない




問いが、形の中を舞う…



















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