第九十二話 空気の読み方、未履修 ー応戦席が一番うるさいー
ランキング戦が終わった
澪先輩が首席
本山先輩が次席
俺は四席
そして三席は鷹宮先輩
その鷹宮先輩に呼び出された
何か、含んでいるような顔をしている…
そして
目をそらして
「俺は卒業式の予行練習があるから、春日!
お前が俺の代わりに学食へ行って 澪たちの席を確保して置け」
「はい!」
「あ… それと言葉使いには気をつけろよ 空気を読め!」
「自分… 先輩方に、何か失礼な事 言いましたでしょうか…」
「行けば… わかる」
(わかる? 俺にわかるのかな… 空気を読むの下手なのに…)
ーーーーーーーーーー
(はい! 鷹宮先輩 よくわかりました!! 全力で空気、読みます!!)
澪がむくれている
「ねぇ… 私が勝ったよね…」
澪先輩の椅子を引いて
着席のエスコート
「はい! 澪先輩が今期の首席です」
そして春日も背筋を正し、椅子に座る
先に来ていた雪
「そうよ! 澪が首席よ~~」
満面の笑みの本山先輩
「私 雪に勝ったんだけど」
「はい! 私が負けました~」
(雪先輩の満面の笑み …二倍かよ~)
「なら、なんで雪がそんな嬉しそうなの?」
「だって、澪が優勝して首席だよ すごく嬉しい!」
(満面の笑み …二倍の二倍 になってます~~)
「だめだ… 雪にはついていけん…」
(はい! 澪先輩 そこは同意見です)
「で? 春日くん?」
「…」
(目を合わせたらだめだ… 捕食される)
「君も どこか嬉しそうですよね~~」
澪先輩が横眼で見る
(来た~~~ 鷹宮先輩 卒業式の予行練習なんて噓でしょ~~)
(そんな予定 掲示板にはなかったよ~~)
「いえ… そんなことは…」
「じゃあ、さぁ… 先輩方に負けたことを 心から光栄に思います。って、
…この前、言ったのは だれ?? だ・れ・で・す・か~?」
「はい! 自分です!」
「ふ~~~ん」
澪先輩のジト目が… 怖い
「春日くんーー
私に負けた時も良い笑顔でしたものね♪」
本山先輩が笑顔で突っ込む
(お願い。今、言わないでくれ~~。)
澪のジト目 眼光が鋭くなる
(鷹宮先輩 恨みます~~)
「で、そういえば蓮は?」
(よかった 俺から話題が変わった)
「あいつも… 負けたのに爽やか系の笑顔してた なんか腹立つ!」
「すこしは、悔しがれ!」
「澪 春日くんもいるんだから そこは鷹宮先輩 あいつは駄目」
「鷹宮先輩…… 」
澪が言い直す
「あ~~~~ やっぱり腹立つ!! あいつが先輩ってのが 駄目!」
(澪先輩 そんなに嫌なんですか?)
(それなら、ここは俺がフォローしなくちゃ)
「鷹宮先輩 先輩として 素敵な方ですよ」
澪が黙る
――誰も何も言わない
静寂…
雪は卓上のティーカップを見ている
ゆっくりとまっすぐと 澪が春日を見る
(え… 地雷… 踏んだ?)
「へ~~~~ 春日くん…」
「はい…」
(ヤバい… 喰われる)
「それってーー
私に対する挑戦状と受け取ってもいい?
――いいよねぇ…」
(だ~~~ やっぱり地雷だったーー!!)
(誰でもいいから この空気を、変えてくれ~)
「湊川先輩!!!」
明るさの声に尊敬の念が含まれた声
「先輩!!」
御影と大石であった
(助かったよ~~ 御影さん!)
春日、心の叫び
「おう! 御影 いいとこに来た」
「いいところ?」
大石が尋ねる 春日の顔を見る
春日の顔が 蒼い……
「これから こいつを締め上げようと思うんだが」
顎で春日を指す
「湊川先輩 今日は春日くんなんて、ほっといて良いです!」
「湊川先輩の格が下がります」
(格が下がるって ひどくないか? まぁ… 今日はそれでもいいけど)
「湊川先輩…」
御影が椅子に腰かけている澪の両肩をつかむ
「何…?」
澪が困惑した顔
「湊川先輩… 湊川先輩… 先輩…」
「だから、なに…」
「おめでとうございま゛す゛う゛う゛う゛~~~!!」
御影号泣 そして澪の足元に崩れる
「は?」
「なぜ御影、お前が泣く??」
澪の膝の上で御影が号泣
「え~~ 前回が雪で 今回が御影?」
「これじゃあ、ただの加害者じゃん…」
雪は横目で御影を見た後、
嬉しそうに微笑みながらティーカップを見ている
大石が
「ほんとに江梨子は 湊川先輩にぞっこんね」
「訳、わかんない」
澪がぼそって一言
春日を思った
(澪先輩 本当にありがとうございます
そして、真の意味での“首席”おめでとうございます)
(鷹宮先輩……
空気は、最後まで読めませんでしたけど……
頑張りました)




