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半歩 ~守・破・離 短き刃 長き道~  作者: 止水


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第七十八話 静止 ー交錯ー

「ねぇ……本当に戦うんだね……」


弓場が、観客席から二人を見つめる。


「………」


御影も、大石も言葉が出ない。


湊川先輩。


可愛くて、お茶目で。


でも、誰よりも厳しくて。


ー見捨てない


鷹宮先輩。


明るくて軽い。


けれど、剣には誰よりも真摯で。


ー責任を放棄しない


どちらも、尊敬できる先輩。


どちらにも、勝ってほしい。

……だからこそ、見なければいけない



大石がぽつりと漏らす。


「……でも、相性は最悪だよね」


御影が小さく頷く。


――――


壇上


二人は向き合う


審判が離れた隙に、澪が笑う。


「蓮。私、勝つからカフェオレ・グランデね」


蓮が口元を上げる


「俺が勝てば――」


「はい、ないから大丈夫」


澪が先に言い切る。


そして一言


「……私は手加減しない」


蓮の笑みが、少しだけ鋭くなる


「俺もする訳ないだろ… 」


観客席の緊張とは真逆の、静かな熱。


審判が開始線を示す。


二人が立つ。


「東 渦が森流剣術 鷹宮蓮」


「西 直伝夢野流居合術 湊川澪」


――礼。


「はじめ!」


準決勝第一試合が始まった。


静寂。


動かない。


――いや。


もう、動いている。


ーーーーーーーーー


(… やりにくい)


澪にとって蓮は 最もやりにくい相手


夢野流の動き すべて教えてきた


私の動きを何度も何度も見せてきた


たとえ夢野流と異なる動きで攻めたとしても


”癖”はもう見通されている


動きの”起こり”を読まれる


ーーーーーーーーーーー


(まじ、辛いなぁ)


蓮にとって澪はある意味、最悪の相手


技は明らかに澪に負けている


渦が森流の動きも知られている


蓮が得意とする間合い取りも


澪には通じない


蓮の術理は


すべて読まれている


澪に対して


術理では崩せない。


間合いを誘えない。


拍子は合わせられない。


“在る”


事さえも崩される


ただ――


決定的な差がある


蓮の方が圧倒的に体格がある


すなわち ”体” の差が大きい


ーーーーーーーーー


先に


蓮が半歩、動く。


試すように。


その瞬間。


澪の刃


その延長線上に蓮…


先に置かれている


「――」


入れない。


動きは最小。


だが、完全に“止められている”。


(間を、渡れない)


蓮の中で言葉になる。


澪は何も言わない。


ただ、合わせている


(……測られている)


蓮が踏み込む。


一の太刀。


速い。


正確。


だが――


当たらない。


澪は動いていない。


“動く前に、そこにいる”。


蓮は二の太刀を振らずーー


ーー下がる


(やはり… ばれるか…)


ーーーーーーーーー


蓮が先に打ってきた


試すように


(だよね…)


私からはいけない


言うまでもない身体の差


押し負ける


正攻法なら


ーー蓮の出端を斬る


それも多分… 無理だ


蓮が、それを知っている


決して無理に切り込まない



ーーーーー


もう、数分が経った


一合しか、まだ打ち合っていない



わずかに、動いてはいる


位置取りは変わっている


間合いも動いている




それ以上に

心の中では 何十合も


打ち合っている


ーーーーーーーーー


二人はお互いを知っているが故に


”相手に勝てない”


そう思っている



澪はーー


夢野流の技は何度も見せている

読まれる


多彩に攻めても、力で押される


力で押されたら、勝てない


蓮はーー


得意とする間取りと交差法の置きは

読まれる


渦が森流の技では澪に届かない


俺よりも力も重さもある新開地に澪は勝ってる

力任せでは絶対に勝てない…



お互いが攻めに行きたいが

切っ掛けがない


ただ、共通して思考していることがある


必ず次の打ち合いで決める


ーーー

今津先輩と徳井が観客席から見ている


「蓮先輩、勝ちますよね」


「相手は湊川さんだからなぁ…

 蓮の良さを全て止めてくる」


打ち合わない二人に観客席がざわつき始めた


このままでは、水入りとなる…


「蓮としては… 」

(多分、水入りは避けたいところだろう…)

(蓮の集中力が持たない…)



ーーーーー

澪が、大きく息を吐く


納刀


抜き打ちの構え


蓮も対応するように…


納刀



決着は近い…







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