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半歩 ~守・破・離 短き刃 長き道~  作者: 止水


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第七十七話 約束 ー拘りを下ろした剣ー

「この試合をもちまして…」

放送が、学園に流れる


準々決勝が終わった


観客席の人波が、ゆっくりとほどけていく



明日が準決勝。


そして明後日――決勝。


いつもの三人

そこに春日


この四人が残った


そして

遂に春日は雪と対する…


ーーーーーーーー


校門


春日が一人立っている


「御影さん… 弓場さん…」


学園から帰ろうとしている御影さんたち三人へ

春日が声をかける



「春日くん 試合見てたよ」

弓場が興奮冷めやらずに春日に走り寄る


「拘り… 下ろせたんだね」

御影が声をかける


大石はあまり春日と面識はない

三人の話を横から見ている


「御影さん 弓場さん お二人のおかげです…」


「本当にありがとうございます」


弓場が茶化す

「でしょ~~ カフェでの作戦会議 効果的面でしょ♪」


「本当です 弓場さんの言葉 すごく嬉しかったです」

春日が真顔で返す


弓場は少し驚いて

「いや… そんな風に真面目に言われるとねぇ~~ 江梨子」


御影も

「そうそう 私たちじゃなくて 春日くん自身の力よ なんせ筆頭だしね」


「いえ 本当にお二人のおかげなんです」

「それに お情けでもらった筆頭ですから…」


春日の言葉は

謙虚というよりも本当にそう思っているようであった


御影はそれを感じ取り

話題を変える


「あしたは 本山先輩とだね やっとだね」


「はい」


「勝つ気… だよね?」

御影が確認する


意外にも春日は

「いいえ… 勝つという思いは 無いです」


大石も含めた三人が驚く

「え~~~ 最初から負ける気なの!」


春日は笑う

「勝てれば… それがいいのでしょうが…」

「勝つことよりも…」


春日が言葉を選ぶ


「今日みたいに、自分を出せたら。それで、いいと思っています」

笑いながら答える


昔の春日からは想像もできない言葉

固まる御影


そして、そのまま言葉を続ける

「今日は拘りがありました 負けを覚悟したんです

 でも、勝手にお二人の事を思い出したんですよ」


御影と弓場を微笑みながら見る

御影たちに初めて見せる顔


「そしたら…  」


言葉を止めて、春日はすこし嬉しそうに

「負けることよりも……

 一緒にカフェへ行けなくなる方が、嫌だって気づいて」


「は? カフェ 何の話??」

大石が横から突っ込む


御影と弓場は、春日を真っ直ぐ見ている


「正直、勝敗よりーー

 ふたりに嫌われないような試合…  したくなったんです」


「勝手に舞い上がって、思い込んでしまって すいませんでした」

「すこし、変でしたね」


春日が照れくさそうな顔に変わっていく


弓場が明るく

「そんなに私たちとカフェで一緒したいなら 明日は勝ってよね」


笑いながら困惑する春日

「相手は本山先輩です 負けるかもしれません」

眼は鋭い 


弓場は少し考えて

「仕方がないなあ~~ 負けたら…」


「負けたら?」

春日が食いつく


御影が

「景子と二人でカフェデート」


「「えっ!」」

弓場と春日が同時に


「それじゃ負けたこととは 釣り合わないか… ご褒美になる」

御影が目を上にあげて考え

「じゃぁ、早希と私も 入って 四人でデート♪」


「それ、罰ゲーム? なんで私も?」

大石が突っ込む


「うん、でも春日くんの驕りだし♪」

御影はいたずらっぽく言う


「それなら 許すかも… 」

大石はつづけて

「ストロベリー シュー フラペチーノに、スイーツ追加でお願いね 春日くん」



春日はすこし考え

「すいません やっぱり、復唱できません」


夕刻の学園前 笑い声が響き渡る


ーーーーーーーーーーーーーーー


明日

第一試合 湊川澪 対 鷹宮蓮

第二試合 本山雪 対 春日一成




=========


準決勝 当日


昨日とは異なり

ひときわ大きな会場 剣士学園武道館



空気が張る。


係員の声が響く。


「第一試合――」


一瞬の間。


観覧席の視線が、一斉に動いた。


まず歩み出たのは――澪。


足音は、ほとんどしない。

ただ、確かに“間”を刻む。


一歩。

また一歩。


道着の襟を正す。

乱れはない。


視線は前だけを見ている。


何も背負っていないようでいて、

何も逃がしていない眼。


壇上へと上がる。


少し遅れて――蓮。


軽く首を鳴らす。


肩の力は抜けている。

だが、その緩さは“隙”ではない。


壇へと上がる。



距離はまだ遠い。


だが、ーー間合い取りは、すでに始まっている

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