「地属性魔法」
「地属性? 嫌よ、あんなぱっとしない魔法」
「やっぱりさ、ぱぁーっと光ったり、何かを燃やしたりしたいよね」
――魔法学院の新入生たち
地属性魔法とは、その名の通り大地に関わる、ありとあらゆるを操る魔法である。
単純な投石から、草木の成長を促す魔法まで、世間で知られるよりもずっと幅広く、地属性魔法は大地と密接に繋がっている。
また、若い魔法使い見習いたちは魔法の威力や派手さに注目しがちだが、旅人や盗人、探検家などはむしろ好んでこの魔法を取得する傾向にある。
岩で小山を作り、中に居住の空間を作れば雨風と外敵をしのぐ、一時の住まいに。
倒壊した石橋に行く手を阻まれようと、その場で新たに造るか、あるいは修復することで別の道を探すことなく、通過することもできる。
壁に石の足場をつくり、想定外の道を切り開いたり、蔦を成長させ高所から安全に降りるなど、高い塔や遺跡の内部、あるいは町中の地形をある程度無視して移動することも可能だ。
噂では、とある逃亡者が部屋の中に追い詰められたところ、室内にもう一枚の壁をつくり、本物の壁と魔法の石壁の間に隠れることで、難を逃れたという話もある。
なにかと過小評価されがちな属性だが、その大部分は偏見と無理解によるところが大きい。
戦闘向きではないという認識も、一度攻撃に転じれば殺傷力が高すぎるため、使われて生き残った者が少数に限り、危険度の周知が他の属性より少ないことが原因とされている。
巨岩という、圧倒的な重量物の落下。鎧を貫くほど鋭利な石槍。高速で飛翔する石の礫。大地の力を用いた攻撃法は、いくらでも存在する。
戦いに向かないなどという評価は、論ずるに値しない偽りなのである。
人は、大地の上に生きるもの。
地に足つけるならば、それを操る力をもっと恐れるべきだろう。
「似たような魔法ばっか使わないでよ!」
「そうは言っても、硬いものをどうにか武器にしようってのは同じなんだから、どうしようもないよ」
――『泥岩』カーヤ・シュタインハルト、『氷鳥』ペネロペ・フレーニ




