表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、予算書を叩きつける  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
172/250

シーン1 「公開演説」

王都中央広場。


     ◇


 かつて。


 恋愛イベントの聖地と呼ばれた場所。


     ◇


 告白。


 再会。


 奇跡。


 花吹雪。


 拍手。


     ◇


 数え切れない“名場面”が、

 ここで演出されてきた。


     ◇


 そして今日。


 その舞台は。


 世界そのものを告発する、

 断頭台へ変わっていた。


     ◇


 広場を埋め尽くす群衆。


 貴族。


 市民。


 兵士。


 学生。


 聖職者。


     ◇


 誰も、

 声を出さない。


     ◇


 空気だけが、

 張り詰めている。


     ◇


 上空。


 巨大魔法陣。


     ◇


 幾重にも重なる光輪が、

 王都を見下ろしていた。


     ◇


 まるで。


 天そのものが、

 観客席になったみたいに。


     ◇


 中央演壇の周囲では、

 全国中継術式が展開されている。


     ◇


 巨大水晶。


 中継魔導板。


 遠隔投影陣。


     ◇


 映像は、

 世界中へ送られていた。


     ◇


 学園都市。


 港湾都市。


 辺境国家。


 砂漠地帯。


 雪国。


     ◇


 全世界が、

 今この瞬間。


 同じ空を見ている。


     ◇


 つまり。


 レオノーラは。


 “観客”そのものを、

 逆利用しようとしていた。


     ◇


 ざわめき。


     ◇


 そして。


 静寂。


     ◇


 演壇へ、

 一人の少女が現れる。


     ◇


 レオノーラ・ヴァレンシュタイン

 だった。


     ◇


 黒いドレス。


 鋭い視線。


 恐怖を押し潰したみたいな、

 静かな表情。


     ◇


 完全に。


 公開処刑の舞台だった。


     ◇


 空には、

 巨大魔法陣。


 世界中の視線。


 見えない観客。


     ◇


 それでも。


 彼女は、

 一歩も退かない。


     ◇


 演壇中央へ立つ。


     ◇


 全国中継術式、

 起動。


     ◇


 光が広場を覆う。


     ◇


 レオノーラは、

 静かに口を開いた。


     ◇


「本日、

 皆様へお伝えする内容は」


     ◇


 一拍。


     ◇


「この世界そのものに関わる話です」


     ◇


 広場が、

 さらに静まり返る。


     ◇


「まず、

 世界には“運命律”と呼ばれる法則が存在します」


     ◇


 ざわめき。


     ◇


「それは、

 感情を誘導し」


「偶然を操作し」


「恋愛や悲劇を、

 意図的に成立させる法則です」


     ◇


 人々の顔色が変わる。


     ◇


「そして」


     ◇


 レオノーラは、

 空を見上げた。


     ◇


「我々の人生は、

 観測劇場として消費されています」


     ◇


 沈黙。


     ◇


 誰も、

 意味を理解できない。


     ◇


 だが。


 次の言葉が。


 世界を壊した。


     ◇


「涙」


「絶望」


「愛」


「苦痛」


     ◇


「その全てが、

 観測領域へ送信されています」


     ◇


 どよめき。


     ◇


 群衆が、

 一斉に空を見上げる。


     ◇


「つまり」


     ◇


 レオノーラは、

 断言した。


     ◇


「我々は、

 “見世物”として利用されています」


     ◇


 広場が、

 凍り付く。


     ◇


 そして。


 最後の真実。


     ◇


「さらに――」


     ◇


 巨大魔法陣が、

 低く脈動した。


     ◇


 どくん。


     ◇


 まるで。


 喋るなと、

 警告するみたいに。


     ◇


 だが。


 レオノーラは止まらない。


     ◇


「“誰か”が、

 世界の外側から見ています」


     ◇


 完全な沈黙。


     ◇


 風だけが吹く。


     ◇


 数秒。


 誰も、

 反応できなかった。


     ◇


 だが。


 次第に。


 広場がざわつき始める。


     ◇


「……何を言ってる?」


「嘘だろ……?」


「見られてる……?」


     ◇


 恐怖。


 困惑。


 拒絶。


     ◇


 感情が、

 一気に溢れ出す。


     ◇


 その瞬間。


 空が軋んだ。


     ◇


 巨大魔法陣。


 不穏な脈動。


 光量増加。


 空間振動。


     ◇


 まるで。


 世界そのものが。


 “公開”を嫌がっているみたいに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ