表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、予算書を叩きつける  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
143/250

シーン1 「世界解析」

地下観測室。


 巨大術式盤が、

 低い駆動音を響かせる。


 青白い光。


 回転する魔力環。


 無数の術式文字。


 その中央で。


 ベアトリクス・ギアハート

 が、

 目を輝かせていた。


 嫌な輝きだった。


「いや待ってください、

 これ絶対局所術式じゃないですね?」


 高速で術式を組み替える。


 数式投影。


 範囲拡張。


 空間同期。


 王都上空の巨大魔法陣が、

 観測盤へ立体投影される。


 だが。


 次の瞬間。


 観測範囲の外側で、

 別の光点が点灯した。


 ベアトリクス、

 手を止める。


「……は?」


 さらに。


 もう一つ。


 また一つ。


 そして。


 世界地図全域へ、

 光が広がった。


 観測室が静まり返る。


 王都だけではない。


 他都市。


 他国家。


 辺境都市。


 港湾都市。


 学園都市。


 山岳国家。


 宗教都市。


 全部。


 同型構造。


 巨大魔法陣。


 存在している。


 レオノーラは、

 無言で世界地図を見る。


 光点だらけだった。


 まるで。


 世界そのものへ、

 巨大な劇場回路が埋め込まれているみたいに。


 ベアトリクスは、

 急いで解析を続ける。


「待ってくださいね、

 構造役割が違う……?」


 術式層を展開。


 分類。


 比較。


 そして。


 最悪の結果が出る。


「王都型は、

 中心演出構造……」


「学園都市は、

 青春イベント特化……」


「港湾都市、

 これ別れ演出補正ですね?」


「辺境部、

 悲劇係数が異常に高い……」


 空気が冷える。


 学園都市。


 青春演出。


 港。


 別れ。


 辺境。


 悲劇。


 全部。


 役割がある。


 セシルが、

 疲れた声で言った。


「役割分担されてるな」


 観測盤を見上げる。


「世界全体で、

 一つの物語構造になってる」


 最悪だった。


 つまり。


 王国だけではない。


 王都だけでもない。


 この世界そのものが。


 最初から。


 舞台。


 レオノーラは、

 静かに理解する。


 国家単位。


 文明単位。


 文化単位。


 全部が。


 “演出”として配置されている。


 学園は青春。


 港は別離。


 王都は主舞台。


 なら。


 国家とは何だ?


 政治とは?


 歴史とは?


 全部。


 脚本背景だったのか。


 レオノーラの指先が、

 僅かに震える。


 その横で。


 ベアトリクスだけが、

 興奮していた。


 完全に研究者の顔。


「すごいですねこれ」


 目を輝かせながら、

 術式盤を指す。


「都市工学、

 気象制御、

 感情誘導、

 運命干渉、

 因果操作」


「全部統合されてます」


 あり得ない。


 本来なら、

 国家レベル術式ですら、

 一つ成立させるだけで大事業だ。


 なのに。


 これは。


 世界規模で、

 全部同時運用されている。


 ベアトリクスは、

 数式を見つめたまま言う。


「術式としては、

 最高峰ですよ」


 一拍。


「最低ですけど」


 誰も笑えなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ