シーン6 「王都崩壊」
午後六時〇三分。
運命律出力、
限界突破。
その瞬間。
王都全域の空気が、
びり、と震えた。
まず。
空。
人工星空が、
裂ける。
光の幕が歪み、
夜空そのものへ亀裂が走る。
次の瞬間。
魔法暴風発生。
轟音。
光粒子の嵐。
花弁が、
刃物みたいな速度で吹き荒れる。
「きゃあああっ!?」
「伏せろ!!」
街路樹が折れ、
看板が飛ぶ。
さらに。
空間断裂。
王都中央。
空間が、
紙みたいに裂けた。
歪んだ光。
ねじれた建物。
道と道が、
一瞬だけ繋がり直る。
人々が悲鳴を上げる。
「道が消えた!?」
「壁の向こうが空だ!!」
「何だこれぇ!!」
だが。
まだ終わらない。
空中宮殿。
浮遊回廊。
演出用構造物。
全部、
制御を失う。
ぎぎぎぎ――――。
嫌な音。
そして。
落ちた。
空中構造物崩落。
巨大な光の橋が、
王都広場へ墜落する。
衝撃。
粉塵。
悲鳴。
「避難しろぉぉ!!」
「西区画崩落!!」
「救護班!!」
さらに。
地下魔導炉。
暴走。
出力異常。
冷却不能。
王都全域、
魔力供給網が焼き切れていく。
次々、
街灯が落ちる。
停電。
通信断。
結界破損。
都市機能停止。
王都崩壊開始。
完全に国家級災害だった。
なのに。
広場の一部市民。
空を見上げながら、
まだ言う。
「すごい演出だ!」
「今年、
過去最高じゃない!?」
「王家本気だな〜!」
怖い。
認識が、
本当に終わっている。
一方。
王都庁舎地下。
災害対策本部。
地獄。
「北区結界、
完全消失!!」
「東医療区画、
停電しました!!」
「避難経路、
空間断裂で消失!!」
「通信魔法、
応答ありません!!」
怒号。
悲鳴。
報告。
警報。
机を叩く音。
泣き声。
全部混ざる。
完全に戦場だった。
その中心。
レオノーラ・ヴァレンシュタイン
は、
立っていた。
疲労で顔色は悪い。
だが。
声だけは、
揺れない。
「西区閉鎖!!」
「浮遊構造物、
強制着地!!」
「医療班を第三通路へ!」
「転移門は避難優先!!」
誰より冷静に、
都市を動かしている。
だが。
彼女の視界には、
崩れていく王都が見えていた。
恋愛演出。
感情共鳴。
運命補正。
その結果。
国家が壊れている。
レオノーラは、
静かに呟いた。
「恋愛イベントで、
国家が崩壊しかけていますのよ……?」
誰も、
否定できなかった。




