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にじゅう 流れる速さ

 翌日の早朝に俺は外出した。


 朝というものにめっぽう弱い俺が何故そんな時間に太陽の下に出たのかといえば、もちろん昨日のあの場所に赴くためである。


 ユウへグはあそこで、誰かを見たのだ。


 怖い人。


 たった九年しか生きていない女が怖いと感じる人なんて、数え上げようとすればキリがないけれど、しかし、他でもないあのユウへグである。


 年長者を敬うということを一ミリメートルも知らない、あのユウへグである。


 ……例の突っ込みが出てこないのは、当たり前か。


 彼女は今もベッドの上だ。


 いつもなら早起きな、俺と違って早起きなあいつが、こんな時間まで惰眠を貪っているのは、極めて異例な事態だ。


 というか、初の事態だ。


 散歩の疲れだけが要因では、きっとないのだろう。


 今頃、悪夢にうなされてりしているかもしれない。


 彼女の、未だかつて見たことのないあの様子。


 ただごとでないことは確実だと考える。


 そして俺のこの行動が、解決につながるかも分からない。


(クソ……こうなるのであれば、あの時、無理やりにでも「どいつが『怖い人』なんだ」と訊いておけばよかったな……。帰ることを最優先したのは間違いだったか……)


 あの場所に向かう道すがら、そんな後悔をする。


 何分、俺も焦ってしまったのは事実であるのだし、後悔したって、もう仕方のないことではあるのだが。


(……彼女が最初に俺の下に来て、もう一ヶ月くらいか……)


 気付けば、そんな時間が経っている。


 速いものだ。


 それは、俺の知らない速さだ。


 時間というのは、流れる速さが変わるらしい。


 俺は初めて知った。

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