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第四話 贖罪

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。



 本作は無断転載をテーマとしていますが、無断転載を擁護・許可するものではありません。

 作者も異世界を含めて無断転載を行ったことはありません。


 この物語はフィクションです。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。

 無断転載がバレた日の夜。

 俺は宿のベッドで横になりながら、今日一日のことを振り返っていた。


 「なんで、こんなことに巻き込まれるんだ........。」

 

 俺は今日何度目か分からないため息をついた。

 まあ、元はといえば無断転載をした俺の自業自得なわけだから文句のつけようもないのだが。


    ◇


 俺を路地裏に連れ込んだ男は、ヴィトと名乗った。

 ヴィトは”俺が書いた”本を見て、盗作だと言ってきた。


 「いえ.........。それは、俺が故郷に伝わっていた伝承をもとに執筆したものです。」


 俺は「嘘は言っていない。」と思いながら無駄な抵抗をしてみた。



 「”野ざらしの猫車”は俺だ。」


 ヴィトは心底呆れたような声で俺に向かって言った。



 俺はこっちの世界では絶対に耳にしないと思っていた名前の出現に、驚愕した表情でヴィトのことを見返していた。

 それと同時に、憧れの対象でもある本物の”売れっ子小説家”を前にして歓喜に似た感情も覚えていた。



 ヴィトは怒りを通り越して、哀れなものを見るかのような目で俺のことをじっと見ていた。


    ◇


 ヴィトの本職は研究者で、転移魔法の研究を行っていたそうだ。

 ところが、なぜか国から不穏分子扱いされて、研究をやめるように迫られていた。


 だがヴィトは最後まで従わず、研究を続けていたところ、研究の出資者である侯爵が不審死を遂げた。

 その死をめぐり、ヴィトは重要参考人として騎士団に手配されてしまっていた。

 ——要はヴィトもお尋ね者なのである。


 ヴィトは研究していた転移魔法の成果で現世(俺の世界)に一時的に逃れて、『小説を書こう』のサイトに、自分の体験談をアップロードしていた。

 あわよくば、考察好きの読者が事件の真相にたどり着いてくれることを期待してのことだった。

 ——結局、望んだ成果は得られなかったようだが。


 俺がこの世界に転移したのは、ヴィトがこの世界に戻る際に、庭に侵入したことで魔法の有効範囲に入ってしまったことが原因らしい。


 侯爵の死は、その死因の不可解さも相まって世間にはまだ発表されていなかった。

 俺がその話をこっちの世界で出版した結果、ある種のスキャンダルのような内容となってしまい、俺までお尋ね者になってしまった、というわけだ。



 「お前、俺の物語をパクったんだから、責任もってお前が完結させろ。」


 ヴィトは俺にそう言った。

 つまりは、ヴィトが着せられている濡れ衣を、俺が晴らせという話だ。


    ◇


 宿のベットでヴィトとのやり取りを思い出していた俺は、またしても大きなため息をついた。


 とりあえずは、無断転載をとがめられなかったことに一安心しながらも、明日からのことを考えると気が重かった。


 ヴィトが俺に提案、もとい要求してきた内容はこうだった。


 ひとつ、逃亡生活が限界に来ているヴィトはこの後、騎士団に出頭する。

 ひとつ、俺はヴィトに雇われた弁護人という立場で、事件の真相を調査する。

 ひとつ、ヴィトの無実を証明できれば俺を転移魔法で現世に戻し、無断転載の件は不問に付す。


 ヴィトは正規の弁護人も雇っているから、その助手として力を貸せということだ。

 俺はそれを受け入れて、明日からヴィトの弁護人として、侯爵不審死事件の調査をすることとなった。


 両肩にのしかかった責任の重さに、俺は小説を書いている時よりも肩が凝ったような感覚を覚えていた。


 第五話は2026年10月18日21時10分公開予定です。


 この作品が面白いと思っていただけた方は是非、無断転載ではなく高評価・感想・ブックマーク等で応援していただけたらと思います。

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