5. 大人の娘達と信用取引と中学生の2人
第5話です。
すごく遅くなりました。
よろしくお願いします。
題名の付け方が違っていたので修正しました。
ある日、流域面積最大河通販から箱が送られてきた。
箱を受け取って宛名を見たら、俺宛だった。買った記憶がない。
玄関での会話に気づいたブリジットがやって来た。
「何だ、これ?」
「お、届いたのね」
買ったのは2人だった。
「ダイアナー、届いたよー」
「おお、待ち遠しかったぞ。速う開けろ」
ブリジットが大声でダイアナを呼び、不器用に箱を開ける。
きわどい下着の上下だった。
「サイズは大丈夫かなあ」
「着てみるのじゃ」
2人は玄関へ続く廊下で服を脱ぎ始める。
「俺が居るんだから、あっちで着替えろよ」
「蒼なら大丈夫?」
俺が大丈夫じゃない!
2人はリビングに行って着替えの続きを始める。
そこじゃ無いんだけどなあ。まあ良いか、俺は仕事だし。
少しして、コーヒーメーカーの水を入れにダイニングに行くと、買ったばかりの下着姿で、のんびりお茶をしている2人が居た。
2人は立ち上がって俺に向かって下着モデルのようなポーズをとった。
ヤバすぎる、何だっけこういう時の呪文が思い出せない。
一度キッチンでコーヒーポットに水を入れて、心を鎮める。
何か褒めた方が良いのか?
「2人とも似合ってるよ、それ、いくらしたんだ」
ちゃんと喋れたが、ポットが震えてしまった。
「うれしい。いくらって?パソコン使ったの」
悪気は全く無い、魔法道具で出したって感じだな。
「パソコンを使って出したんだよ」
俺は放り出された箱から明細書を出して見せた。
総額3万を超えているが高いのか?
俺の下着なら20セットは買える。
女性の下着って価格と比例して破壊力が大きくなると学んだ。
これでも安いのか?
「買ったの?、金は?」
ブリジットはキョトンとして俺の説明を待っている。
「貴族は服を仕立てたら、お金を払わないだろ」
「それは払わないのではないのよ。主人が見ていないところで召し使いが払うか、商人が決まった日に受取に来るわね」
何を当たり前なことを聞くのって感じのブリジット。
「パソコンの向こうにはお店の人が居て、後でお金を受け取りに来るんだ」
2人の顔が不安になって行く。
「俺の代わりにお金を管理してくれる執事が居るから、その人が俺の代わりに支払いをする」
パソコンにカード情報を入れておいた俺も悪いな。
貨幣経済どころか信用取引にも慣れてない2人だった。
現金が動かない取引にポカンとしている。
貴族って信用取り引きしてるよな?
あれ?2人の時代に貨幣ってあったの?
高額な物なら大惨事だったかも。
「それじゃあ、お金だけ貰ってさよならできるよ」
さすがは大魔法使い、なかなか良い質問だ。
「パソコンの世界には商売を監視する組織があるんだ。お金を貰って逃げる人や、品物を貰ってお金払わない奴を見つけて懲らしめてるんだよ(実際は苦情処理とかカード会社とか警察の案件だけど)」
2人はキョトンとしている。
どうやって監視するのか考えても答えが出ないのだろう。
「偽名を使ったり、店の名を変えたりして、バレないようにする奴も居るけど、見つかれば儲けた金額の何倍も取られて、何年か強制労働になったりする。犯罪者の刻印を付けられて二度とパソコンで売り買いできなくなるんだ。街の店でも現金でしか買い物できない」
ブリジットの話は、中世でも貨幣が普及しているヨーロッパのような感覚に聞こえた。
4千年前って間違いでは?
こちらでの買い物は何度か体験したが、支払いは俺がしていた。
見たことも無い美しい商品や美味しいお菓子が、まさか子供でも買える金額とは思いもしなかったと、2人は言った。
だからお腹壊すほどアイスクリーム食べたのか、二度と食べられないと考えたのだろうか。
俺は平民の中に隠れ住んでいるワケありの豪族か王族なのではないかと2人で推測していたらしい。
俺なんか中の下か下の上くらいだよ。それに俺の記憶を見られるのでは?
現金がやり取りされないインターネット通販は、魔法で出していると思うのが自然だろう。
魔法ってそんなに便利なの?
彼女達はそれで納得してしまうってことは、やはり魔法は何でもできるのか?
その夜に2人は、買ったばかりの下着だけの姿で、家の中を歩き回っていた。用もないのに俺に前に出てくるのは、やはり褒めて欲しいのか?
サイズが合ってるのがスゴいと思う。
お堂山前駅の踏み切りを越えた場所にある、堂前中学校に編入する日が来た。
いきなり中学2年の勉強は無理と思い教科書や教材を小学校に相談したら、教科書を扱う書店を教えてくれ、数年前の補助教材をもらえた。
「この国の子供は全員この本を貰えるの?」
「そうだね。俺の子供の頃にはもう色が付いていた」
「なんて裕福な国なの」
「生きておる様だぞえ。美しい絵だ。この文字は書いたとは思えん。蒼の仕事場にあるプリンタとか言う魔法具なのか?」
「もっと大きくてずっと速い印刷機って機械で作ってるんだ」
ネットで検索して、印刷と製本の動画を2人に見せる。
「「おーっ!」」
「速すぎて何を書いているか分からない!」
小学生用の図解があったので、印刷機の仕組みも見せる。
「これを考えた奴は天才じゃ。賢者の称号を与えねば」
紙が貴重で、羊皮紙に手書きだった時代に、識字率って何?美味しいの?って感じだったろうから驚きは理解できた。
俺のことは王族だと思っていたから、自宅に本がたくさんあることには疑問を持たなかったらしい。
学習は目を閉じて本に手を置き、静かにするだけ。
小学校六年間を1日で終わらせた。
1週間過ぎた現在はブリジットが化学と薬学。ダイアナが量子力学を趣味で学習している。図書館に行って本を読んでいるフリをして触れるだけだ。
理解できない部分はどうしているのだろう?
だったら教科書はいらなかったよね。
大学生でも良かったな。
季節的に水着以外の制服と体操着だけ大急ぎで用意した。家で試着した時は見ているだけで犯罪者気分だった。
カバンは自由だったから両手の空くリュックで好きなものを選んでもらった。
初日は保護者として2人に付いて行った。
職員室で担任と挨拶をして2人とは別れた。
2Aにダイアナと2Bにブリジットが分かれて編入した。
「ダイアナさんの担任になります平城山京子ともうします。歴史を教えています」
かなりの長身でスレンダーな女性だった。髪を短く整えて、清潔な印象だ。
「私は室町佳央理です。 国語担当です。ブリジットさんの担任になります」
小柄で巨乳な女性だ。ハイヒールを履いて、無理をしている感じが可愛らしい。
「神無月蒼です。2人の保護者になります。日本語は問題ありませんが、この国は初めてですので、どうかよろしくお願いします」
「「よろしく」」
12月からなんて迷惑だろうなあ。
学校と担任の先生に感謝。
3日後、
川上の爺さんの旧車を修理するための図面が完成したので納品に来ていた。
組図、部品表と加工図で50枚以上になった。
居間に招かれてお茶を飲みながら雑談をしていると、携帯が鳴り相手は学校?
ブリジットが高校生の不良グループに絡まれて病院に居るらしい。
爺さんには緊急事態を告げて市立病院に向かった。
2人とも美人だからかなあ。予想はしていたがたった3日とは、心の準備が…。
「怪我は?」
クラスメイトと4人で帰宅中に、三人組の不良がしつこくナンパをしたらしい。
不良の1人が連れの少女の腕を無理矢理に引っ張ったのがいけなかった。
ブリジットがその男の肩に手を掛けると、くるりと宙を舞って地面に叩き付けられ、悶え苦しんでいたそうだ。
当然不良達は激怒して1人がブリジットの顔面を殴ったが、石でも殴った様に手首が折れて、その場にしゃがみ込んだところを、踵落としを食らい、突っ伏したまま動かなくなった。
残る1人はバカなのか、2人が瞬殺されているを見ているのに殴りかかり、ブリジットが腕を振り回すと空中高く投げ飛ばされて、畑の中に頭から落ちた。
殴られたのはブリジットだけだったが、大事をとってみんなが病院に来た。
と病院に付き添ってくれた警察官が説明してくれた。
不良達は全員骨折で入院。
殴られたブリジットは掠り傷。
クラスメイトの親には感謝され、先生には危険なことは控える様に注意され、警察官は苦笑いで去った。
室町先生、警察官さん、ありがとう。
帰宅してブリジットに詳細を聞いた。
おおむね警察官の言ったことと違いはなかった。
「仲間に危険があったんだ、良くやった。魔術だと判らないように工夫したみたいだね。良く頑張った」
ブリジットは嬉しそうに頷いていた。
翌日から学校のヒーローとして不良たちにも一目置かれ、周りの視線が変わったことにブリジット自身が困惑した。
その翌日の夕方にも警察から電話があった。ブリジットの敵討ちになぜかダイアナが襲われた。
スキニーで小柄なダイアナが、まさかブリジットより強いなんて誰が想像出来るのか。
ダイアナを人質に、ブリジットを誘きだして痛めつけようとしたらしい。
大人なら誘拐で刑務所行きなんだが、未成年だから捕まらないと思ってやったのだろうか?
暴走族の3人が加わり全部で9人。
それだけでかなり卑怯な連中だと分かる。
下校中に途中でクラスメイトと別れて、1人になったダイアナを拉致して川原まで連れて行った。
川原ってのが何十年前のドラマかって感じがした。
不良達が9人も集まって1人の少女を取り囲んでいるのだ。周りが気づかないなんてあり得ない。
警察が駆けつけた時には、ダイアナ以外は1人も立っていなかったと警察官が説明してくれた。
「神無月さんところのお子さんは強いですねえ。昨日も駐在の私が最初に現場に来たんですが、今日はもっと驚きましたよ。あれはやり過ぎですけど、相手が9人じゃ過剰防衛とも言えません。どうやって9人も倒せたのか不思議ですよ。目撃者はいませんからね。娘さんに悪いようにはしませんので」
不良少年たちは、自分達に何が起こったのか答えられなかった。
全員が大怪我をして入院した。
ダイアナは左頬が殴られて青く腫れ、両腕を強く掴まれたアザがあった。
ダイアナも魔術を使ったことを俺に認めた。認めなくても解るが。
アザについては魔術でそれらしく偽装したらしい。目の前で消して見せた。
「恐ろしい娘!」とブリジットに言われていた。
ダイアナは3人で手を繋ぎ、乱闘騒ぎの一部始終を映像で見せてくれた。
なんと、全員を操って同士討ちさせている。鉄パイプだったり金属バットだったり、各々が武器を手に戦っていた。
本人は岩の上に寝転んでアクビをしていた。
「むごい」
「本当に怖い子」
翌日からダイアナも注目され、馴れ馴れしかったイケメン男子も近づかなくなった。
読んで頂いてありがとうございます。
以前は4話同時に投稿したので初めての新しい投稿になりました。
やっぱり2つの物語を同時に書くのは難しいです。
これからもよろしくお願いします。




