4.新しい世界
第4話です。
1〜4話まで変更しました。
変更はここまでです。
読み返して頂いてありがとうございます。
肉体を取り戻した2人は隠せなくなった。
先に対策を考えておけば良かったが、緊急だったので仕方がないのか?
邪神さんには実体が必要なのか疑問だが、術式がデコードされて身体が戻ったのだから、元から身体が存在したのだ。
飯も食うし、く…するし風呂も入る。
言葉は俺と通じるってことは他人にも大丈夫だが、語彙については俺がお手本だから若者言葉や流行語が解らないと思う。
俺の日本語は大丈夫だろうか?もっと勉強頑張れば良かった。
大魔法使いと神なら現代に出しても世界トップクラスの頭脳だろう。
今後に期待する。
こちらで使う2人の設定を決める。
ローブさん改め、ブリジット・エバンス、14歳、2012年8月12日生まれ、しし座。
邪神さん改め、ダイアナ・ジョーンズ、14歳、2012年6月17日生まれ、双子座。
某国の俳優みたいだが…。
俺のセンスが悪くて申し訳ないが、2人とも承諾している。
いきなり高校編入は試験が無理だし、中3に編入しても高校受験まで3ヶ月しか無い。中学1年にしては2人が大人びて浮いてしまいそうな感じだ。
だから中学2年生の年齢に設定した。
いっそ小学生ぐらいを相手にしたら、さすがに怪我はさせないと思ったが、見た目からして無理だ。
俺の母方の遠い親戚で、2人の母親は姉妹。
姉妹揃ってカナダ人と結婚(重婚ではない)し、現在カナダ在住。
2人は従姉妹の関係。
俺との血縁関係は無い。
俺の家にホームステイ。
大家さんに何と言って誤魔化すか…。
こいつらローブと透けた薄衣以外に服が無い、足は紐で止める革のサンダル。衣服も実体化するなんて魔術って未来科学なのか?
現代っ娘の服装って……。
その前に戸籍と住民票?
あれ?税金はどうなるの?
人頭税とか無いのか?
人身売買とか誘拐で捕まらない?
なぜか大家さんは三日に一度は俺の家に来る。これでは事前報告が通用しない。昨日会ったばかりなので、遅くても2日後には来る。
一昨日来たときは居なかった女の子が、2人も同居なんて無理があるが、どうしようもない。
急いで近所の安売り衣料品店で店員に相談して買ったが、正解がまるで解からない。
やはり2日後、大家さんがやってきた。今日は娘さんも来ている。
この子はちょくちょく付いてくるが、楽しいのだろうか?
親戚のホームステイで誤魔化せるとは思えないが、大家さん母娘の視線が怖い。
「連絡を忘れてまして、すみません。家の契約の変更は必要でしょうか?」
「そうですね。ホームステイが1年程度でしたらどちらでも結構です」
大家さんが冷たい。目を合わせてくれない。
娘さんの視線は2人を値踏みするようだ。
彼女の名は莉奈、23歳。大学院でヨーロッパ言語を研究している才女だそうだ。
長身でスレンダーな体にピチピチのジーンズ、黒のチューブトップを着ている。上下揃いだろう上着のジージャンを、事務所に入ってから脱いでしまい、白い肩が丸出しで視線のやり場に困る。
明るい茶髪をツインテールに纏めて実年齢より少女に見えるが、細い銀縁の丸眼鏡の奥から、時折怖いほど真剣な眼差しで見つめられる。
「ご家族は日本にいるの?」
娘の莉奈が恐らくフランス語で2人に話しかける。
確かにカナダ人はフランス語を話す人口が多いが…。
「母上ならばお越しになられるかも知れぬが、父上は多忙な方ゆえ解らぬ」
ダイアナが俺に分かるように日本語で答えた。
言葉が古い……ちゃんと喋れないのかな?
フランス語でも「のじゃ」はあるのか?
大家さん母娘はちょっと変な表情になった。
「お父さんが来られないのは寂しいね。何のお仕事をしているの?」
やはりフランス語?で聞いてきた莉那。
「父上は王様のお手伝いをなさっておられるのじゃ」
確かにカナダは立憲君主制だったが、俺の頭の中から引っ張り出したの?
王様の手伝いって何のこと?
それにしてもフランス語が解るのは何で?
いろいろな意味で怖くなってきた。
視線を感じてそちらを見ると、ブリジットが睨まんでいる。
俺が何かしたのか?
「私はケベック市の新市街に住んでるの。旧市街は有名な観光地で、いつも観光客でいっぱい。ライラックの花の香りで夏を感じ、秋はメープルの紅葉が綺麗なの。この町の上に見える銀杏も大きくて黄色がとても綺麗ね。ーここから日本語ー 明日、天気がよかったら連れていってよ、蒼」
ブリジットもフランス語を使って驚いたが、すぐに俺の方を向いて日本語で誘ってきた。
フランス語の内容はダイアナが念話で訳してくれた。
ブリジットが俺に対する親密さをアピールしたんだと思うが、俺自身が驚いて視線を合わせたまま固まった。
「え?明日?良いよ」
「妾も行こうぞ」
「その積もりだよ」
普通にデートに誘われたみたいになって、普通に答えてしまった。
ダイアナも楽しそうに同意する。
大家さんは遠い目になり、莉奈は無表情になって俯いてしまった。
何かまずい方向に誤解されたと思う。
ブリジットのなぞの行動も腑に落ちない。
大家さん達の反応がこれなら、事情を知らない人は邪推するだろう。
下手な嘘だったよなあ。
2人が美人だから、ちょっかい出す奴等も多いだろうな。もうこの設定は覆せないしなあ。
4千年前といえば、生活が家内制手工業だったろう青銅器時代に生きたことになる。
彼らは、現代のあらゆる物に興味を示した。手当たり次第に触ったり、指差したりするので手を焼いた。
「お爺さんの家にもあったけど、馬も牛も居ないのにどんな魔術で動いてるの?」
キーッ!
「死にてぇのか、このガキ」
カンカンカンカン。
「のう蒼よ、この縞の棒は何じゃ?」
「これは遮断機って言ってこの鉄の道を電車が通る時に、人が入ってぶつからないように…。こら!、ぶら下がって遊ばない!」
「おおお!どうなっておるのじゃ!」
「何これ、トイレに噴水なんて素敵」
「噴水かえ?、なんと珍妙な」
誰も座ってない洗浄器便座が温水を勢い良く吹き出して、トイレが洪水になっている。2人の美少女が、ずぶ濡れになってトイレから噴き出す水を眺めている。シュールな光景が面白かったが、これは緊急事態だ。
「うわっ!、早く止めろよ」
「どうするの?」
「これを押すの!」
停止ボタンを指差して2人に見せてから押す。
噴水は止まり、何事も無かったようにノズルが引っ込む。
無言の3人が便器を凝視している。
「これは何の為にあるのじゃ?」
「はっ、ははははは」
「どうしたの?」
どうにもおかしくて、笑いが止まらなかった。
廊下にまで飛んだ水を3人で掃除した後、2人に使い方を教える。
水栓トイレでさえ驚いていて興奮していたので、洗浄器の使い方を教えるのを忘れていた。
2人にとっても情報過多なのだ。
慣れるまで夢遊病の様にフラフラしていた。
身体が無くてほとんどの物に触れなかった頃と違って、興味の度合いが全く違うように見える。
俺としても、質問に対して彼女達の基準で説明ができず、正しく理解されたか不安だ。
衣服は二人の趣味に合わせてAI先生にコーディネートして貰った。
化粧品とその使い方についても御教授して頂いた。
土偶にも化粧みたいな模様があるのだから、化粧はあったのだろう。
РСやテレビ、ラジオ、スマホやインターネットの説明にも苦労したが、本人たちが魔法道具として理解したが、やはり一抹の不安。
受け入れてしまえば使い方を覚えるのは速かった。
身元を確実にするためにダイアナが頑張ってくれた。
ダイアナの魔術と言うか神通力で書類諸々を捏造し、役所の職員や大使館員を操って紛失したパスポートを再発行させた。失くしてないが再発行だ。
両国の国籍を取得して両国のパスポートを取得した。
どうやって両国の籍を作ったのだろう?
当然必要な書類や手続きは全て完璧だ、とダイアナが太鼓判を押している。
はやくも犯罪者になったのだが…政府機関が発行したんだからニセ物ではない。
日本の国籍があるのだから、住所は俺の家にして住民票を作る。
近所の中学校2年生に編入、そこから近所の高校受験することにした。
魔術で試験も突破するのだろう。代わりに落第する生徒には申し訳ないが、少子化の影響で全員合格の可能性もある。
残り1年あまりで小中学校の勉強は可能だろうか?
元店舗の3LDKの賃貸に住んでいる。
元店舗を仕事場に使い、他の2LDKは持て余し気味だった。
2人に1部屋ずつ明け渡し、俺は仕事場を仕切って寝ることにする。
家具は市営のリサイクルセンターとリサイクルショップで安く、日用品の殆どは100円ショップ(ひゃくえんみせ)で揃った。
2人は本当に楽しそうに買い物をしていた。
食事は大丈夫そうだ、4千年前の方がもっとワイルドだったのだろう。
鹿や熊の肉が無いとぼやいていた。
肉は殆どレアでいけるのに魚の生はダメだった。
2人との生活が始まり、見た目よりはるか年上の娘たちに教育をするのは大変だ。
襲ってきた相手を殺してはいけないということが、理解できないようだ。
やられる前にやらなければ自分が死ぬ世界で生きて来たのだろうし、野獣と戦うことも頻繁だったと思う。
神のダイアナは、不死なだけで神同士の弱肉強食があり、因縁を付けられないように神界の中央には近づかなかったという。
「盗賊に襲われても殺してはいけないのですか?」
「そうだね。半殺しでもブリジットが捕まる可能性がある」
「なんと。賊を殺してはいかんのか?難儀な世の中になったのう」
「魔術でやられたって言っても誰も信じないと思うけどね。この時代には魔法は無いんだから、相手は赤ん坊みたいに弱いよ」
この時代の法律では、魔術での正当防衛は絶対に適用されないと思うが、目撃者がいても、証拠不十分という可能性もある。
どうやって罪を証明するのか謎だ。
「もしも警察に捕まったら、俺も保護者として社会的に信用を失って、生きて行けないから自重してくれ」
「「わかった、自重する」」
2人はギョッとした顔で言ったが、脊髄反射のように戦っている2人の姿を容易に想像できてしまう。
ブリジットとダイアナの希望で、リンデンでお茶をすることになった。
自宅でも紅茶を出したが、プロの様には行かない。
「こんにちは。今日は3人なんだ。席はある?」
「あらぁ、可愛い子連れてるわね。裕子から聞いたよ。この子達なのね。窓際のテーブル片付けるから座って待ってて」
何だろう?初めてじゃ無いのに2人が緊張しているような。緊張するタマじゃないよな。
4人がけのテーブルは窓際にブリジットとダイアナが座り、ブリジットの隣に俺が座った。
「はい、おまたせ。何がいい?」
ママはそれぞれにメニューを渡しながら2人を観察している。
「今日は?」
「今日は、モンブランと苺ショート、ナッツのパウンドケーキ」
「いつもより多いねえ」
「秋の休日は銀杏の見物でお客さんが増えるの。だから何種類も作るのよ」
「ああ、参道に人が多かった」
「私は全部とお茶は蒼が前に飲んでたのを」
前に飲んでたって見えてなかった時の?
「全部かえ?わしもそれにするぞ」
「2人ともそんなに食べるの?」
「はい」
「おうよ」
「今日はいいか。俺はパウンドケーキとブレンド」
多分ダイアナの言葉遣いは余所行きなのだろう。のじゃ姫よりはいいか。
窓から差し込む日光が、2人の緑と銀の髪が揺れる度に違う色に光らせる。
周りの客から視線が集まるが、気にする様子もなく、屈託なくおしゃべりをする2人。
「銀杏とは、先日見に行った墓所の近くの黄色い木か?」
「そうだ、奇麗だったな」
「奇麗だったのう」
「私の故郷にもあったよ」
ママがたくさんのケーキが乗ったトレイを運んでくる。
「3人でデートしたの?ずるいなあ」
「親子ほど歳が離れてデートだなんて」
「「ケーキ」」
「リンデンのケーキは初めてだから、お茶はサービスでおかわり自由よ」
「「おー!」」
「ありがとう、ママ」
「「!」」
「ん?どうした」
「「頂きます、ママ」」
2人は目の前に並んだケーキの上でフォークを動かして、どれを最初に食べようか悩んでいた。
「美味しい!」
「美味だのう」
その日、2人はケーキ1つに1杯の紅茶を飲んだ。
どこに入るのか?
やはり別腹なのか?
ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
変更はここまでです。
変更前の原稿を読み返して、誤字脱字が多くて恥ずかしかったです。
今も多いと思いますがよろしくお願いします。




