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記憶が2日で消えてしまう聖女様の傭兵は忘れられた数だけ愛の告白をすると誓った。【1章完結】  作者: 久方久米


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7話『DAY1 ④』


 宿屋を探し回り、豪華な部屋を借りた。


 もちろん金は聖女持ちだ。


 俺なんかの身分では、とてもじゃないが借りられない。


 こんな部屋を二つも借りてしまってよいのだろうか。


 慣れない富豪っぷりに、少しだけ気分が高揚した。


 「今日はここに泊まりましょうか」


 「いいのか、これで」


 「もちろん大丈夫ですよ。お金だけはありますから」


 「そうか、じゃあ俺も部屋に行くよ。場所はどこだ?」


 「……場所?ここですが?」


 「お前……何の冗談だ!?」


 聖女は部屋を借りていた。


 ここまでは、嘘ではないし、何の問題もない。


 あるとするならば、それは聖女が、部屋を一つしか借りていないということだった。

 

 女と一つ屋根の下で二人きり。


 俺はまた、聖女の罠に引っかかってしまった。


 「おい、どうゆうことだ」


 「だって二つも部屋を借りたら高くつくじゃない。節約は大事よこの時代ならね」


 「だからって、ただの傭兵と寝れるのかよ」


 「じゃあ、二人きりだと私を襲うの?」


 「……舐めるなよ、俺は傭兵だ」


 「でしょうね。なら安心よ」


 貞操観念までこの聖女は狂っていたようだ。


 なぜ、ここまで他人を信用出来る。


 傭兵というやつは、他人を絶対に信用しない。


 信用するって行為は、直接的な死を意味するからだ。


 人を信用したやつから死んでいく。


 そんな職業柄か、聖女のことが更に分からなくなった。


 そして、そんな聖女から眼を離せない自分もいる。


 「もういい、野宿する」


 「えぇ〜、いいのかなぁ〜」


 「……何がだ?」


 「一人で部屋にいたら、野蛮な人や暴漢に襲われちゃうかもしれないなぁ〜」


 「……いいだろう、俺は傭兵だ。その誘いに乗ってやる」


 「いやぁ、折れてくれる傭兵さんも可愛いですなぁ!」


 「今回だけだからな!?」


 どうも聖女を相手にすると、調子が狂ってしまう。


 馬鹿にされているのか。


 言い得て妙だった。


 気持ちを切り替えよう。


 俺は傭兵であり、常に依頼人の側に居なければいけない存在なのである。


 何も不思議なことじゃない。


 同室に泊まる相手が、男か女か、あるいは、貴族であったとしても関係がない。


 スッと、心を落ち着かせよう。


 「宿の問題は解決したわね」


 「……そうだな」


 「これから図書館に行きましょう?」


 「なんでだよ」


 「図書館デートはお嫌いですか?」


 「──なっ!?──」


 よく考えてみたら、そうだったのかもしれない。


 側から見たら、我々の行動は、もはやデートなのである。


 この聖女は、こんなことも狙っていたらしい。


 俺を貶める為の罠だったのだ。


 全方位からの圧力により、貴様では聖女様とは釣り合わないと非難を受けさせようって魂胆なのだろう。


 本当にその通りだ。


 結局のところ、聖女様は俺に何をさせたいのか……。


 腕を引っ張られて、無理やりに図書館へ連行された。



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