10話『DAY2 ②』
残すところ、コカトリス討伐だけとなった。
ターゲットは、地下下水道の最深部。
狭い広間にいることが分かった。
今回の敵は手こずりそうだと、渋みを増してため息をついてしまった。
メンドーなんだよな、あのクソデカ鳥。
どうやって殺すかをイメージトレーニングしていた。
「物騒ですよ傭兵さん。殺すだのブツクサ言ってたら怖いじゃないですか」
「……すまん」
怒られてしまった。
最深部からは、まだそれなりに距離がある為、しばらくコカトリスのことは忘れるようにしておこう。
──それにしてもだ。
急にどうしたんだろうか。
聖女から急に褒められるのもなんだか、むず痒い。
裏があるんじゃないかと詮索してしまうじゃないか。
当然、悪気はない。
職業柄、そうなだけだ。
「どうせ、まだコカトリスまでは先ですし、少しお話ししませんか?」
どうせ、歩くことしかすることがない。
会話しながらであれば、時間も経つだろう。
また、俺はからかわれてしまうのか……。
最近、ちょっとだけ慣れてきた。
「──傭兵さんは彼女はいるんですか?」
ド直球過ぎやしないか。
今日のヤケに素直な態度を察するに、いまだに尾を引いているのかもしれない。
「傭兵なんてやってるやつに女がいる訳ないだろ」
「何か……理由でも?」
「……いつ死ぬか分からないからだ」
危なっかしい商売だからな。
伴侶を持つ理由も、その甲斐性だって持ち合わせがない。
一番人間に向いていない仕事をしている自負がある。
「そっか、彼女いないのか……」
小馬鹿にしているのか、笑われてしまった。
「どんな女の子が好きなの?」
「……さっきから何なんだ」
「だって、気になるじゃない?」
「……全く気にならないが」
「まさか……男が好きとかあるの?」
「……笑えない冗談だ」
「じゃあ、どんな人が好きなのよ」
「一緒にいて、疲れないやつだ」
「当てつけで言ってる?」
「……そうかもな」
慣れない冗談を言ってしまった。
ちゃんと面白くて、お互いに笑い合った。
このやり取りが、なんだがとても重要なことのはずなのに、緊張の糸でも切れてしまったのか。
仕返しついでに、少しだけ意地悪をしてみた。
「……どんな男が好きなんだ?」
「それを私に聞きますか!?」
「別に興味はないんだけどな」
「酷い!興味を持ってください傭兵さん!」
「……そう言われてもな」
「私……温かい人が好きですよ?」
「悪ふざけだな。人はみんな温かい」
「そうですね。傭兵さんの手は温かいです」
「……おい、それを持ち出すのは違うだろ!」
お互いに軽口を叩かれて、ふざけて、笑い合って。
こんな聖女との生活がずっと続けばいいのにと、心底思う俺がいた。
お読みいただき、ありがとうございました!
明日も4話投稿します。
タイトル回収、及び、章末まで話しが進みます。
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