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第6話 お姉様が「二番じゃ駄目なんですか?」と言ったら、お父様が頭を抱えました

 おねいちゃまは、魔法のお勉強をすると、ときどき先生をびっくりさせます。


 前に、お庭の大きな木が倒れちゃったこともあります。

 でも、今日は木を倒すお勉強じゃありません。


 今日は、おとうさまとおねいちゃまと一緒に、王都にある大きな研究所へやってきました。

 七歳になったおねいちゃまを、もっともっと大きな道具で調べてもらう日なんです!


「おねいちゃま、今日は木、倒さない?」

「うん! 今日は魔法を使うんじゃなくて、魔力を調べてもらうんだって!」

「まーりょく?」

「うん。魔法を使うときに必要な力のことだよ!」

「そっか!」


 リリアは、おねいちゃまの手をぎゅっと握りました。


 前にも、おねいちゃまの魔力を調べたことがあります。

 リリアが三歳で、おねいちゃまが五歳のときです。

 でも、そのときは針が一番上まで動いちゃいました。

 先生がもっと大きな道具を持ってきても、やっぱり一番上まで行っちゃったんです。


 だから今日は、ちゃんと測れるといいな!


「今度は、ちゃんと分かるかな?」

「うん! 楽しみだね!」


 おねいちゃまは、リリアの手を握ったまま、研究所の大きな建物を見上げました。


 でも、おとうさまは入口の前で立ち止まって、何だか難しい顔をしていました。


「おとうさま、どうしたの?」

「いや、二年前のことを思い出していたんだよ」

「また、針が一番上まで行っちゃう?」

「……今度こそ、ちゃんと測れるといいんだけどね」


 おとうさまは、おねいちゃまの頭を優しく撫でました。


「エレノア。今日は先生たちのお話をよく聞いてね」

「はい!」

「それじゃあ、行こうか」


     ◇


 案内されたお部屋には、リリアの背よりもずっと大きな装置がありました。

 丸い台の周りには魔法陣が描かれていて、真ん中には手を置く場所があります。


「おねいちゃま、これ、おっきいね!」

「うん! 二年前のとは全然違うね!」


 白い服を着た先生が、装置について説明してくれました。


「こちらは、通常の測定具よりもはるかに多くの魔力を測定できる装置でございます。まず魔力量を調べ、その後、属性適性と魔力精密制御能力を確認いたします」


 リリアには、難しい言葉がいっぱいでした。

 でも、おねいちゃまの魔法を調べる道具なんだということは分かります。


 おとうさまは、先生に何か確認していました。


「娘に負担がかかることはないのだな?」

「はい。測定に必要な魔力を読み取る方式ですので、無理に魔力を放出していただく必要はございません」

「分かった。よろしく頼む」


 リリアは、おねいちゃまがよく見える椅子に座りました。


「おねいちゃま、頑張ってね!」

「うん! リリアも見ててね!」


 おねいちゃまは手を振ってから、装置の真ん中に手を置きました。


 すると、周りの魔法陣がぴかっと光って、正面の板に数字が出てきました。

 数字はどんどん大きくなって、先生たちが次々に声を上げます。


「……同年代の平均値を超えました」

「成人魔術師の平均値も超えています」

「宮廷魔術師の上位水準に到達しました!」


 数字が変わるたびに、先生たちの声が大きくなっていきました。

 おねいちゃまは手を置いたまま、何が起きているのか分からない顔をしています。


 ところが、まだ数字が増えている途中で、装置の光が消えてしまいました。


「……測定上限です」


 先生が装置を調べています。


「安全停止が作動しました。装置に異常はありません」


 おねいちゃまは手を離すと、おとうさまを見ました。


「お父様……わたし、何か間違えましたか?」

「いいや。エレノアは、ちゃんと言われたとおりにできたよ」


 リリアも椅子から立ち上がりました。


「おねいちゃま、悪くないよ!」


 おねいちゃまは、リリアに向かって小さく手を振ってくれました。


 先生たちは装置の周りに集まって、何か相談を始めました。

 しばらくすると、一人の先生が戻ってきます。


「申し訳ございません。こちらの装置でも、エレノア様の魔力量を最後まで測定できませんでした」

「では、また分からないのか?」

「いえ。研究所には、さらに高い魔力量まで測定できる装置がございます。そちらを使用させていただきます」


 リリアは、おねいちゃまの手を握りました。


「また、もっとおっきいの?」

「そうみたいだね!」


 おねいちゃまは楽しそうでしたが、おとうさまは小さく息を吐いていました。


     ◇


 次のお部屋には、さっきよりもっと大きな装置がありました。

 壁にも魔法陣がいっぱい描かれていて、先生たちが何人も準備しています。


「おねいちゃま、もっとおっきい!」

「本当だね! 今度はちゃんと測れるといいな」


 おねいちゃまは、装置の前に立ちました。

 リリアは、おとうさまの隣で見ています。


 検査が始まると、数字がまたどんどん増えていきました。

 でも、今度は途中で止まりません。


「測定完了です!」


 先生が大きな声で言いました。


「おねいちゃま! 今度は止まらなかったね!」

「うん!」


 リリアとおねいちゃまは、顔を見合わせて笑いました。


 でも、先生たちは数字を見たまま、動かなくなってしまいました。


「……この数値は、本当に正しいのか?」

「測定装置は正常です。記録も問題ありません」

「王国の公式測定記録を確認してください」


 先生の一人が、分厚い本を持ってきました。

 みんなで数字を見比べています。


 おねいちゃまは、リリアのところへ戻ってきました。


「リリア、今度はちゃんと測れたみたい!」

「うん! よかったね!」


 リリアたちが喜んでいると、別の偉そうな先生がやってきました。


「アルヴェイン侯爵閣下。私は、この研究所で魔力測定を統括している者でございます」

「何か問題があったのか?」

「いえ。測定結果に問題はございません。ただ、極めて重要な結果でしたので、私からご説明させていただきます」


 その先生は、手に持っていた紙を見ました。


「……エレノア様の魔力量は、王国の公式測定記録において、現在存命する者の中で第二位でございます」


 おとうさまは、何も言いませんでした。


「……第二位?」

「はい。第一位の方はすでに現役を退かれておりますので、エレノア様は現在活動しているどの魔術師よりも多い魔力量です」


 リリアは、おねいちゃまを見ました。


 二番目。

 それって、すごいことだと思います。


 だって、一番の次なんですもの!


「……まさか、ここまでとは」


 おとうさまが呟くと、おねいちゃまが心配そうに顔を覗き込みました。


「お父様……二番じゃ駄目なんですか?」

「いや、駄目というわけではないんだよ」

「よかった! わたし、一番じゃなくても大丈夫です!」

「そうではなくてね、エレノア。七歳で王国二位というのが、普通ではないんだ」

「……普通じゃないと、駄目なんですか?」

「いや、だから、駄目ではなくて……」


 おねいちゃまは、首を傾げました。


「じゃあ、二番でも普通じゃなくても、いいんですよね?」

「……うん。いいんだけどね……」


 リリアは、おとうさまがどうして困っているのか分かりませんでした。

 二番って、とってもすごいと思うのに。


「おとうさま! おねいちゃま、すごいよ!」

「……ああ。すごいんだよ、リリア。お父様もそれは分かっているんだけどね……」

「じゃあ、どうして困ってるの?」


 おとうさまは何か言おうとして、口を閉じました。


「……エレノア。リリア。お父様が言いたいのはね……」

「はい!」

「うん!」


 リリアとおねいちゃまが返事をすると、おとうさまはとうとう両手で頭を抱えてしまいました。


「……エレノア。リリア。お父様はね、二番だから困っているんじゃないんだよ……」


 おねいちゃまは、心配そうにおとうさまを見ました。


「お父様、頭が痛いんですか?」

「……少しだけね」

「大変! 先生に診てもらいましょうか?」

「……いや、大丈夫だよ」


 リリアも心配になりました。


「おとうさま、だいじょうぶ?」

「ああ。二人ともありがとう。お父様は大丈夫だよ」


 おとうさまは、何だか疲れた顔で笑いました。


 リリアは、やっぱり不思議でした。

 おねいちゃまが二番目なのに、どうして困っちゃうんでしょう。


 やがて、おとうさまは先生に尋ねました。


「……魔力量が多いということは、それだけ強い魔法を使えるということなのか?」

「魔力量は、魔法を使う際の大きな資質の一つでございます。ただし、魔力が多いだけで、あらゆる魔法を使いこなせるわけではございません。知識と訓練が必要です」


 おねいちゃまは、ぱっと顔を上げました。


「じゃあ、これからもお勉強を頑張ればいいんですね!」

「はい。そのとおりでございます」


 おねいちゃまは、次のお勉強のことを先生に聞き始めました。


 リリアも、おねいちゃまならきっとできると思います。

 だって、おねいちゃまは、いつも先生のお話をちゃんと聞いているんですもの。


     ◇


 次は、どんな魔法が得意なのかを調べる検査でした。


 火と水と風と土。

 それから、光と闇。


 先生たちが一つずつ調べると、どの魔法も得意になれるんだそうです。


 おねいちゃまが測定台に手を置くと、正面の板に六つの小さな丸が並びました。

 先生が一つずつ調べるたびに、その丸が明るく光ります。


「火属性、高適性」

「水属性も高適性です」

「風、土も同様です」


 四つの丸が、同じくらい明るく光っていました。


「光属性も高適性……」

「闇属性も、高適性です」


 六つ全部が光ると、先生が隣の人に紙を渡しました。


「……六属性すべて高適性とは」

「これほど偏りのない適性は、私も初めて見ました」


 リリアは、並んだ丸を指さしました。


「おねいちゃま、ぜんぶ光った!」

「うん! きれいだね!」


 おとうさまが、先生に尋ねました。


「六属性すべてに高い適性があるというのは、珍しいことなのか?」

「はい。通常は得意な属性と不得意な属性が分かれるものですが、エレノア様の場合、六属性すべてが高い水準にございます」


 先生は、六つの丸を見ながら続けました。


「魔力量だけでも極めて異例ですが、属性適性についても、非常に珍しい結果です」


 おねいちゃまは、光っている丸を見つめていました。


「先生、わたし、全部の魔法をお勉強できるんですか?」

「はい。もちろん、一度にすべてではございませんが、それぞれの属性を学んでいただくことができます」

「わあ! 楽しみです!」


 リリアも、おねいちゃまの袖を引きました。


「おねいちゃま、リリアも見たい!」

「うん! 覚えたら見せてあげるね!」


 おねいちゃまは、リリアの手を握ってくれました。


 でも、検査はまだ終わりませんでした。


「続いて、特殊属性の適性を確認いたします」


 先生が装置を動かすと、また新しい文字が出てきました。


「……重力系、最高位です」


 先生は表示された結果を確認すると、おとうさまの方を向きました。


「最高位?」


 おとうさまが尋ねました。


「はい。特殊属性の中でも、重力系に極めて高い適性が確認されました」


 おねいちゃまは、首を傾げました。


「重力魔法って、どんな魔法なんですか?」


「物を地面へ引き寄せる力を強くしたり、反対に弱くしたりする魔法でございます。使い方によっては、物を浮かせることも可能です」


 おねいちゃまが、ぱっと顔を上げました。


「じゃあ、リリアが転びそうになったときも、助けられるんですか?」


 リリアは、二年前のことを思い出しました。


 転びそうになったリリアを、おねいちゃまがふわっと浮かせてくれたのです。

 あのときは、空に浮かんで、びっくりしました。


「先生。以前、エレノアがリリアを浮かせたことがあったのだが……」

「重力系の魔法だった可能性はございます。ただし、当時の発動を調べたわけではございませんので、断定はできません」


 おねいちゃまは、少し残念そうでした。


「そうなんですね……」


 すると、先生が真剣な顔になりました。


「ただし、重力魔法は大変危険な魔法でもございます。使い方を誤れば、人を傷つけたり、建物を壊したりすることもあります」


 おねいちゃまの顔から、笑顔が消えました。


「……リリアが怪我をすることもあるんですか?」


「はい。重力を強くしすぎれば、体に大きな負担がかかります。反対に、浮かせたあとで適切に戻せなければ、落下してしまう危険もございます」


 おねいちゃまは、リリアの方を見ました。


「……それは嫌です」


 リリアは、おねいちゃまの手をぎゅっと握りました。


「おねいちゃま、リリア、だいじょうぶだよ!」


 おねいちゃまも、リリアの手を握り返してくれました。


「……うん。リリアに怪我なんて、させたくないもの」


     ◇


 最後は、魔力を細かく動かす検査でした。


 先生が持ってきた道具には、小さな光の玉がいくつも浮かんでいました。

 光の玉は道具が作っているもので、おねいちゃまは魔力を流して、明るさを変えるのだそうです。


「エレノア様。この光球は魔導具が作っておりますので、光魔法を使う必要はございません。魔力をどれだけ正確に動かせるかを調べます」

「はい!」


 おねいちゃまが道具に手を添えると、一つの光の玉が明るくなりました。

 先生に言われた明るさになったところで、そのままぴたりと止まります。


「……指定値を維持しています。変動はほとんどありません」


 次は、いくつもの光の玉を一度に動かす検査でした。


「こちらの玉は明るく、隣の玉は少し暗くしてください」

「はい!」


 おねいちゃまが魔力を流すと、二つの玉が違う明るさになりました。


「では、今度はこちらを元の明るさに戻し、反対側を少しだけ明るくしてください」

「はい!」


 先生が指さすたびに、それぞれの光の玉が言われたとおりの明るさに変わっていきました。

 おねいちゃまは、リリアの方をちらっと見ましたが、光の玉はちっとも揺れませんでした。


 先生が結果を確認しました。


「……魔力精密制御能力も、最高位です」


 おとうさまが尋ねました。


「つまり、魔力を正確に扱う才能にも恵まれているということか?」

「はい。しかも、これほどの魔力量を持ちながら、極めて細かな操作まで可能であることが確認できました」


 先生は、まだお話を続けています。


「ただし、今回分かったのは、魔力を細かく動かす才能があるということです。実際の魔法を安全に使うには、これからのお勉強と練習が必要でございます」


 おねいちゃまが手を離そうとすると、先生が声をかけました。


「検査は終了です。少しでしたら、そのまま触っていただいても構いませんよ」

「ありがとうございます!」


 リリアは、さっきからずっと光の玉が気になっていました。


「おねいちゃま、あれ、きれい! もう一回見たい!」


 おねいちゃまは、先生に尋ねました。


「先生、リリアに見せてあげてもいいですか?」

「はい。どうぞ」


 今度は、端から順番に光の玉が明るくなっていきました。

 まるで、小さなお星様が並んでいるみたいです。


「わあ……!」


 リリアが手を叩くと、おねいちゃまも楽しそうに笑いました。


 先生たちは、また何か相談していました。

 でも、リリアは光の玉をもう一度見られたので、大満足です。


     ◇


 全部の検査が終わると、おとうさまは先生から分厚い紙を受け取りました。


 先生たちは、まだおねいちゃまの魔法についてお話をしています。


「これほどの適性をお持ちの方は、非常に稀でございます。今後も、定期的に詳しい調査を……」

「娘は、まだ七歳だ」


 おとうさまは、いつもより少し低い声で答えました。


「必要な検査や教育については検討するが、無理な研究協力をさせるつもりはない」

「……承知いたしました」


 それから、おとうさまは、今日のことを勝手にみんなに話さないようにお願いしていました。


 リリアは、ちょっと不思議でした。


 おねいちゃまは、こんなにすごいのに、どうして内緒にするのかな。


 でも、おとうさまが真剣なお顔だったので、リリアは何も聞きませんでした。


     ◇


 帰りの馬車で、リリアはおねいちゃまに抱きつきました。


「おねいちゃま、すごかったね!」

「ありがとう、リリア!」


 リリアは、さっきの綺麗な光の玉を思い出しました。


「リリア、あの光の玉、好き!」

「わたしも! もっといろんな魔法を覚えたいな」


 おねいちゃまは、リリアの髪を優しく撫でてくれました。


「魔法が上手になったら、リリアが困ったときに、また助けてあげられるもの!」


 リリアは、おねいちゃまにぎゅっと抱きつきました。


「リリアは、おねいちゃまが一番!」

「ふふっ。ありがとう!」


 おねいちゃまも、リリアをぎゅっと抱きしめてくれました。


 おとうさまは、そんなリリアたちを見ながら、にこにこしていました。


     ◇


 お屋敷に帰ってから、おとうさまと先生が、これからの魔法のお勉強についてお話をしてくれました。


「エレノア。今日の検査で、いろいろな魔法に高い適性があることが分かったね」

「はい!」

「これからも先生のお話をよく聞いて、少しずつ覚えていこうね」

「はい! わたし、もっといろんな魔法を使えるようになりたいです!」


 先生も頷きました。


「今後は、火、水、風、土、光、闇の各属性の魔法を習得しながら、魔力精密制御の訓練も続けてまいりましょう」

「はい!」


 おねいちゃまは、少し考えてから尋ねました。


「先生、重力魔法はまだ駄目なんですよね?」

「はい。今回の検査では非常に高い適性が確認されましたが、それだけで魔力精密制御を完全に習得したことにはなりません。重力魔法は大変危険ですので、精密制御を完全に習得し、十分な知識と技術を身につけてからでございます」

「分かりました! それまでは、ほかの魔法を頑張ります!」


 リリアも、元気よく手を挙げました。


「リリアも応援する!」

「ありがとう、リリア!」


 おねいちゃまが、リリアの手を握ってくれました。


「おねいちゃま、次はどんな魔法?」

「まだ分からないけど、楽しみ!」

「リリアも見たい!」

「うん! 先生に聞いてみようね!」


 おねいちゃまが先生を見ると、先生は少し考えてから答えてくれました。


「見学については、安全を確認したうえで、お父様とご相談いたしましょう」

「はい!」


 おねいちゃまが元気よく返事をしました。


「リリアも、いい?」

「もちろん、安全に見られるようになったらね」


 おとうさまは、リリアの頭を撫でてくれました。


 すると、おねいちゃまが、何か思いついたように顔を上げました。


「お父様! わたし、六つの魔法を全部覚えたら、リリアに見せてあげたいです!」

「そうだね。まずは一つずつ、先生と練習していこうね」

「はい!」


 おねいちゃまは、リリアの方を向きました。


「あのね、リリア。六つの魔法が一緒に使えたら、きっとすごく綺麗だと思うの!」

「うん! リリア、見たい!」

「じゃあ、六つとも上手になったら、まとめて見せてもいいですか?」


 おとうさまの手が、リリアの頭の上で止まりました。


「……まとめて?」

「はい! 火も水も風も土も、光も闇も、全部です!」


 リリアは、思わず両手を叩きました。


「わあ! おねいちゃま、すごい!」


 おとうさまは、おねいちゃまを見て、それから先生を見ました。


「……エレノア。魔法は、たくさん使えばいいというものではないんだよ」

「はい! ちゃんと練習してからにします!」

「そうだね。それなら……いや、六つ同時というのは……」


 おとうさまは、先生に尋ねました。


「……そもそも、六属性を同時に使うことなど可能なのか?」

「通常は非常に困難でございます。今回の検査では、複数属性の同時使用が可能かどうかまでは確認しておりません」


 先生も、少し困った顔をしています。


「まずは、一つずつ確実に習得していただくことが大切かと」

「はい! わたし、頑張ります!」


 おねいちゃまは、元気よく返事をしました。


 リリアも、早く見たいです。


「おとうさま、リリアも楽しみ!」

「……うん。楽しみなのは、いいことだよ」


 おとうさまは、リリアの頭を撫でていた手を下ろしました。


「……そういえば、庭の木を倒したあとに作った訓練場も、そろそろ安全対策を見直した方がよさそうだね」

「お父様、どうしてですか?」

「……先生。もし六属性を同時に使えるようになったら、あの訓練場でも大丈夫だろうか?」

「……現時点では、何とも申し上げられません」

「……そうだよね」


 おとうさまは、何だか遠くを見るような顔になりました。


「……訓練場のことは、あとで相談しよう」

「かしこまりました」


 おねいちゃまは、リリアの手を握りました。


「リリア、楽しみにしててね!」

「うん! リリア、いっぱい応援する!」


 おねいちゃまが、ぎゅっと手を握り返してくれました。


 おとうさまは、まだ先生と訓練場のお話をしています。


 リリアは、おねいちゃまと一緒に、どんな魔法が見られるのかなって考えていました。

 火と水と風と土と、それから光と闇。


 全部覚えたら、きっと、とっても綺麗です!


 おねいちゃまがどんな魔法を覚えても、リリアが一番近くで応援するんです!

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった」と思っていただけましたら、ブックマーク・★評価・リアクション・一言感想のどれか一つでもいただけると、とても励みになります。


今後ともよろしくお願いいたします!

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