表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『魔法無効化の「欠陥」令嬢は、追放先で孤独な獅子王に心ごと救われる ~愛を知らない私が、隣国の陛下に「運命の人」だと溺愛される理由~』  作者: 一ノ瀬 陽
第1章:私を「無能」と呼んだ皆様、さようなら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/10

第3話:この呪われた手が、誰かの救いになるなんて

目が覚めると、そこは天国のような場所だった。

ふかふかの寝台、絹のように滑らかな毛布。そして、部屋中を満たす、甘い優しい花の香り。


「……あ、の……ここは?」


私が上擦った声を出すと、カーテンの隙間から眩いばかりの光が差し込んだ。


「気が付いたか」


枕元にいたのは、あの森で出会った男性――ガレリア帝国の皇帝、ギルバート様だった。

昨夜のボロボロだった姿とは打って変わり、今の彼は軍服を端正に着こなし、圧倒的な威厳を放っている。けれど、その瞳だけは、私を壊れ者のように見つめていた。


「ここは俺の離宮だ。君を国境から連れ帰った。……体調はどうだ?どこか痛むところはないか?腹は減ってないか?」


矢継ぎ早の問いかけに、私は目を白黒させる。

実家では、倒れていても見向きもされなかった。それなのに、この方はなぜこんなに必死な顔をしているのだろう。


「は、はい。大丈夫ですわ。それより……その、私の手。汚れてはいませんでしょうか。私の体質は、その、不吉と言われていて……」


私が布団の中に手を隠そうとすると、彼はそれを許さなかった。

大きな、熱い手が私の指先を捕らえ、愛おしそうに自身の頬へ引き寄せる。


「何を言う。この手が、どれほど俺を救ってくれたか分かっているのか」


彼はうっとりと目を細めた。


「数年ぶりに、深く眠れた。……君が触れてくれている間だけ、俺を焼き尽くす魔力の奔流が鎮まるんだ。エルナ、君は呪いなどではない。俺にとっての、唯一の奇跡だ」


奇跡。

そんな言葉を向けられる日が来るなんて、夢にも思わなかった。

私の魔法無効化は、国の平和を壊す「欠陥」だと教わってきた。けれど、目の前の彼は、私のこの手を「奇跡」と呼び、子供のように頬ずりしている。


「あの、ギルバート様……。くすぐったいですわ」


「ああ、すまない。だが、離したくないんだ。……君がいないと、俺はまたあの地獄へ戻ることになる」


ふと見ると、ギルバート様の目の下には薄く隈があった。強すぎる魔力のせいで、安眠すら奪われてきたという孤独。それがどれほど苦しいものか、彼が私の裾を掴む手の震えから伝わってくる。


「……お力になれるのなら、私はどこへも参りません」


私が控えめにそう告げると、彼の表情がパッと輝いた。

それは、恐ろしい獅子王の顔ではなく、大好きな飼い主に褒められた大型犬のような、あまりに無防備な笑顔だった。


「本当か……!なら、すぐに準備をさせよう。君の部屋、ドレス、宝石、それから……。ああ、そうだ。美味しいものもたくさん食べてもらわないとな。少し細すぎる」


「えっ、いえ、そんなに贅沢なものは……!」


「ダメだ。俺の命の恩人を、ボロの馬車で追い出したあの国を、俺は一生許さない。エルナ、これからは俺が君のすべてを守る。君はただ、俺のそばで笑ってくれればいいんだ」


ギルバート様は私の両手を包み込み、まるで誓いを立てるように、その甲に深く接吻した。


控えめに、慎ましく生きてきた私にとって、彼の愛はあまりに眩しく、そして少しだけ……重い。

けれど、生まれて初めて「ここにいていい」と言われた喜びが、私の心を温かく満たしていく。


その頃、私が去ったアステリア王国では、ある「異変」が起き始めていることなど、この時の私はまだ知る由もなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます!


もし「面白い」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、作品ページ下部にある**【☆☆☆☆☆】**からの評価や、ブックマーク登録で応援をいただけますと非常に嬉しいです!


皆様の応援が、執筆の最大のモチベーションになります。

 評価・感想・ブックマーク、ぜひよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ