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銀河の彼方から一寸法師  作者: 村松希美


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4 ラピスラズリのレンズ


 


「どうして、普通に笑って、普通に家族になりたいだけなのに、こんなに苦しまなきゃいけないの?」


 弥生は夕暮れの自室で、ホーシに問いかけた。今日、由依さんが良かれと思って弥生の部屋に飾ってくれた花瓶の花が、どうしても耐えられなくてクローゼットの奥に隠してしまった。


 彼女の「良意」を拒絶するたびに、弥生の心には黒い(おり)のような罪悪感が溜まっていく。


 「それはな、弥生。お前にとって当たり前だったことが、実は奇跡のようなバランスで成り立っていたことに気づくためのステップなんだよ」

 ホーシは冷静に、けれど少しだけ声を和らげて答えた。


 「こういう葛藤でもなければ、お前は自分自身の心の深淵(しんえん)を覗くことも、俺たちの存在に気づくこともなかっただろう?」


 「そんなの……!気づかなくてもいいから、私はただ、誰にも気を使わずに済む普通の中学生でいたかった!」


 弥生の叫びに、ホーシはポケットから小さな青い石――ラピスラズリのレンズを取り出した。


 「これは『万物の生き字引』から授かったものだ。    

 万物の生き字引とは宇宙の仙人のようなもので、ホーシに地球に行って姫ーー弥生を探すように促した。


「必死に何かと戦い、修行している魂しか映らない」


 ホーシがレンズをそっと向けると、そこには今の弥生ではなく、リビングで一人、スマートフォンの画面を食い入るように見つめる由依さんの姿が映し出された。


 画面には「中学生 接し方 難しい」「再婚 娘 好物」といった検索履歴が並んでいる。


 「見てみろ。お前が勝手に作り上げた『完璧な侵入者』なんてどこにもいない。そこにいるのは、お前と同じように、どうすればいいか分からずにもがいている一人の不器用な人間だ。彼女もまた、この新しい家で『母親』になろうとして必死に修行している最中なんだよ」


 レンズ越しに見る由依さんの横顔は、いつも弥生に見せる穏やかな微笑みではなく、不安に押し潰されそうな、ひどく心細げなものだった。


 弥生は言葉を失った。自分だけが被害者で、自分だけが孤独だと思い込んでいた世界が、音を立てて崩れていく。


 「銀河鉄道に乗ったジョバンニだって、孤独や悲しみを抱えていたからこそ、本当の幸福が何かを考える旅に出られたんだ。弥生、お前が今感じている痛みは、次のステージへ進むための鍛錬なんだよ」


 「……由依さんも、私と同じように怖かったのかな」

 弥生がぽつりと呟くと、レンズが淡い光を放ち、彼女の心の中にあった「拒絶」の氷を少しだけ溶かした。


 そんなある日、学校で友人から「最近、顔色が明るくなったね」と言われた。自分では気づかなかったが、ホーシの言葉を反芻(はんすう)するうちに、弥生の周囲には微かな変化が訪れていた。


 (来るぞ、勇気を出せ!)


 放課後、家の玄関を開ける直前、ホーシが耳元で(ささや)く。


 いつもなら息を止めて通り過ぎるリビング。

 けれど今の弥生には、扉の向こうで待っている由依さんの「修行」の気配が、少しだけ愛おしいものに感じられた。




草稿を入力してAIが書きました。

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