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第11話 上位ランカー

 違和感は、最初からあった。


 同じ狩場のはずなのに、

 空気が違う。


 プレイヤーの流れが、

 わずかに偏っている。


 避けている。


 無意識に、そこを。


 ネメシは視線を向けた。


 一人。


 戦っている。


 それだけだ。


 特別なエフェクトもない。

 派手なスキルでもない。


 だが――


 速い。


 ネメシは踏み込んだ。


 自分の間合い。

 自分の速度。


 それで届く。


 はずだった。


 剣が交差する。


 感触はある。


 だが、

 浅い。


「……今の、取るか」


 思わず声が漏れる。


 確実に入ったはずの一撃。


 だが、ずらされている。


 最小の動きで。


 相手の視線が、

 初めてこちらに向いた。


「悪くないな」


 軽い口調。


 余裕がある。


 ネメシはもう一歩踏み込む。


 今度は速さを上げる。


 反応は合っている。


 読みも外していない。


 それでも――


 届かない。


 剣を振る。


 当たる。


 だが、

 その瞬間には次の位置にいる。


 ズレている。


 ほんのわずかに。


 だが、

 決定的に。


 ネメシは歯を食いしばる。


 遅れているわけではない。


 むしろ、

 自分の動きは噛み合っている。


 それでも、

 先にいる。


「……上位ランカーか」


 背後で、誰かが呟いた。


 その言葉に、

 違和感はなかった。


 確かにそうだ。


 目の前の相手は、

 明らかにこの狩場の水準ではない。


 ネメシは呼吸を整える。


 まだやれる。


 そう思った。


 次の一手を選ぶ。


 迷いはない。


 だが――


 その“先”がある。


 踏み込む。


 同時に、

 相手も動く。


 交差。


 次の瞬間、

 視界が揺れた。


 止まる。


 距離が開いている。


 何が起きたのか、

 一瞬分からない。


 だが、


「今のは、いい判断だった」


 相手の声で理解する。


 読まれている。


 ネメシの選択は、

 間違っていない。


 だが、


「でも――まだ届いてない」


 静かな断定。


 否定ではない。


 評価だ。


 それが、

 余計に重い。


 ネメシは剣を下ろす。


 悔しさはある。


 だが、

 納得もしている。


 差は明確だった。


 技術ではない。


 反応でもない。


 その“先”。


 まだ、

 見えていない領域。


 ネメシは小さく息を吐く。


 そして、

 もう一度だけ構えた。


 ――ここで終わるつもりはない。

第11話までお読みいただきありがとうございます。


今回は、ネメシよりも一段上のプレイヤーとの接触でした。

同じように動いているはずなのに届かない、その差を描いています。


強さそのものではなく、「その先にあるもの」が見え始めた回でもあります。


この差がどう埋まっていくのか、

引き続き見ていただけると嬉しいです。

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