ヨイの見解
「もう少し見て行かれませんか?」
「ありがとう、もう十分だ」
アリアから引き留められたが十分な情報を得ることができたので私達は一度帰ることにした。
「いえいえ、また何かあったら呼んでください」
「また縁があったらその時は」
そうして私達は教会を後にした。
「色々と情報は得たわね、これからどうするの?」
「擦り合わせ、だな」
「うーん、とりあえずセキとヨイに会いに行くの?」
「そうだな」
いつの間にか空は赤くなり日が暮れそうになっていた。人の気配は無いものの、あちらこちらで微かに鐘の音が聞こえる。
「なんか騒がしくていやだねー」
「そう? 私はあまり気にならないけど」
トワはこの鐘の音が苦手らしい。確かに、何か体を揺さぶられるような感覚を覚える。
「……なるべく早く帰るか」
……
「お待ちしておりました、トワ様」
宿に帰ればそこには、ヨイがすでに待機していた。
「すっごい堅苦しいね、面倒じゃない? 別に何て呼ばれてもいいよ?」
トワが少し心配そうにヨイを見るが、彼女は表情を崩さずに続ける。
「セキはまだやることがありまして、遅れるとのこと」
「そうか」
彼が何をしているかわからないが、有益に動いてくれていれば何も問題ない。
「それで、色々とハイエルフからの意見を聞きたくてな、いいか?」
「勿論」
私は教会でアリアから聞いた事をいくつか話した。教会ごとに少しづつ教義が違う事、アリアの所ではエルフは割と歓迎される事、『精霊槍』について。
「……まず運がよかった、という事実を申し上げます」
「運がよかったとは?」
「私達が知る限り、教会はほとんどがエルフ排斥を考えています、その中で所謂親エルフ派と巡り合うとは……」
聖都を歩いている分には何も問題がなかったが、やはりエルフに対する扱いはよくないという事か。
「そういえば、なんか歩いてる人たちが私やソウちゃんを見る視線、少し冷たかったかも」
私には気づかなかった、まだ人類の感情を完全に理解しきれていないと思うと少し残念だ。
「私が特に気になったのはその聖具、言っていることが正しければそれは昔、確実にハイエルフの物でした」
「『精霊槍』か、何か心当たりが?」
「はい、トワ様のお母様が昔使われていたものです」
なんと、あの優しそうなトワの母が武器を振り回していたとは。人は見かけによらないものなのだな。そこでヨイの方を見ると少し震えていた。
「どうかしたのか」
「いえ……お気になさらず」
私は少し気になったが考えないことにした。
「次はセキが来た時にそちらの情報を聞こう」
「了解いたしました」




