『精霊槍』
私達はアリアについて行き、教会の中を歩いた。特に変わったこともなく、穏やかな空間であった。この部分だけを切り取れば教会は特に悪い物でも何でもない。
「今は人がいないようだが、やはりいつもはいるものなのか?」
「あ! はい、この教会に来る人はそこそこ多いんですよ、あまり規模は大きくないんですがね」
なるほど、人が多い中心部の教会に行けばかえって人が多すぎて情報を集めづらいかもしれない。
「にしても、気分が良い所ね……」
「わかりますか? 精霊さんは貴方から《神聖魔法》の気配がすると言っていますし、親和性が高いんでしょうね」
精霊と会話が成立しているのか? 確かに周りを見れば、草原などにいるよりは高位の精霊だ。エルフの集落にいるものと近い。
「精霊と会話ができるのか?」
「はい! 短い文程度なら意思疎通が図れます」
エルフの中でも精霊の声を聞けるものは少なかった。本当に恐るべき才能だ。
「私が《神聖魔法》持ってるからって何か強制しようとしてない?」
「いえいえ! とんでもない、そんなことしませんよ~」
セラが少し怪しんでいるが、恐らくそんなことはないだろう。
「そうだ! 折角ですし、この教会にまつわる聖具をお見せしましょうか」
「聖具?」
「教会に少なくとも一個ある、強力な道具だったり武器の事ですよ~」
トワの疑問にもすぐにアリアは答えてくれた。
「いいのか? そんな貴重な物を」
「聖具って、使える人が限られてるんです、使える者がいれば教会なんかよりその人に持っていてもらうのが一番ですから」
「随分と、教会上層部とは意見が違うようだな」
「上の人達と関りが? まぁ……私は一介の小さな教会の司教なので、私は私が正しいと思った事をします」
ふわふわとしてつかみどころが無かったが、こういう部分に関してはしっかりとした考えを持っているらしい。
「にしても上の人達は今そんな感じなんですね……まぁ、人間、利権しか考えられなくなるのは分かりますし、無理もない事でしょう」
アリアは奥の棚から布で包まれた何かを取り出す。
「これはこの教会の聖具、『精霊槍』」
アリアが布を開くとそこには美しい一本の槍があった。
「うちの教会は大筋の教義と少し外れてしまっていてですね……正式にこれは聖具と認められてないのですが……私はこれを貴方達に見てほしいと思いました」
「……認められてないのに何故聖具なのだ?」
「昔ハイエルフさんが使っていたものだと、古代で使われていたことが確実な数少ない武器だからです」
ハイエルフが……そのようなこともあるのだな。
「ですから、エルフの皆さんに見せるならこちらかな~って」
確かに美しく、強さを感じる武器だ、ほとんどの武器では受ける事さえ許されないほどに。
「ありがとう、いいものを見せてもらった」




