ある司教
「ここが教会の中かー、なんか良い匂いがするねー」
トワがそのように感想を言えば、それに対してセラが答える。
「香ってやつね、聖都で一番大きい教会だとこの匂いで息が逆に苦しくなるほどになるらしいわ」
「確かにもっと濃かったら息できないかもね」
その様な会話をしていると一人、近づいてくる人物がいた。
「何か御用でしょうか?」
「……教会の人間でいいのか?」
「あ! はい! 私、この教会の管理者をやってますアリアと申します!」
それを聞いてセラが少し不審がるような顔をする。
「司教職は若い人間はあまりなれないって聞いたことあるんだけど」
そのように問いかければアリアは少し焦ったように答える。
「あ! そのことに関しては……特例で《神聖魔法》を持っていてある程度実績があればなれるものなんですよ」
今度は逆にセラが焦ったような表情をして聞き返す。
「え、それって《神聖魔法》あったら誰でもなれるわけ?」
「一応、もともと教会に所属であることは必要なのですが……」
その言葉を聞いてセラは安堵の表情を浮かべる、自分が教会に取り込まれるとでも思ったのだろうか?
「《神聖魔法》という事は何か《加護》を持っているという事か?」
「あ! そうですね! 私は《治癒》の魔法と《精霊視》の《加護》を持ってるんですよ~」
「え! 精霊見えるの?」
トワが驚いて尋ねる。
「そうなんですよ~、人間だと見える人は世界に数人と言われるほど希少らしいんですよ」
「トワも見えるんだ! 精霊!」
「まあ!」
トワが精霊を見ることができるのはあまり話すべきことではないが、ここは黙っておこう。
「トワさん……はエルフですよね? やっぱりエルフの方は見える人が多いんでしょうか?」
「そうだな、私含め、見える者は多い」
「あ、その耳……貴方もエルフの方でしたか」
私の事も外見でエルフと判断したらしい。
「一つ聞きたいんだが、なぜそこまでいろいろと話してくれるんだ?」
「え? 別に話して困ることでもないでしょう?」
セキとヨイからはエルフと教会は対立していると聞いたがそれは上層部だけの話なのだろうか?
「それに貴方達の周りには精霊さんがたくさんいますから……きっと悪い人じゃないんだろうなーって」
「《精霊視》……そういう使い方もあるのか」
「あくまでざっくりですけど、悪い人には精霊さん寄り付かないので……」
確かに精霊は『秩序』を維持する一つの要因でもある、そういう事もあるのだろう。
「そういえば、この精霊さん達はなんだか見ない雰囲気がします、たまに精霊さんとは何か違う様な……」
どうやらアリアは精霊のもつ力についても大雑把には判断できるらしい、ここまで有能な人材だとは。
「少し立ち話が長かったですね! よければこの教会の中なら案内しますよ」
私達はその通りに教会を案内してもらう事にした。




