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青春ロッカーのラブコメ背信~現実はギャルゲーほど甘くない~  作者: 創華


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05.はぁ、隣の席の子が可愛すぎてツラたんです

 一年生の頃の知り合いの多くは他のクラスに離れ離れとなっていたが、仲が良いと言える同じクラスの知り合いは三人いた。幼馴染の葵、野球部の翔太、そして守谷さん。

 俺は昇降口に張り出されていたクラスを軽く確認し、ガヤガヤとした教室へと入った。

 椅子を引きながら、隣でスマホをいじっている彼女に挨拶するかどうか一瞬の躊躇が生まれた。

 今日も綺麗な耳を出すように明るい茶髪の一部だけが編まれているんだなぁなんて思いながらも口を開こうとしたら、俺の声より先に彼女の肩に掛かっていた髪が揺れた。

「あっ、シンイチ、おはよー、今年も隣なんだね!」

 軽めの挨拶に向けられた笑顔がとても眩しい。俺の顔は血が廻ったように熱くなった。

「そうだな、今年もよろしく」

 高校の席は中学と違ってくっついてはいない。しかし隣の席は隣の席、小テストの丸つけや授業でペアになったりするのは隣の席。

「運命みたいね!」

「お、おう」

 俺なんかが守谷さんの運命の相手で、本当に良いのだろうか。

「ラズベリーローズの最新刊買ったけど明日もってこよっか?」

 なんだか、一年生の頃の延長のように感じられる。そしてラズベリーローズは百合系の少女漫画だが、意外と面白い。俺が読む少年漫画や青年漫画とは違った良さがある。

「ありがとう。……俺はエクシーズの最新刊とサムライジーンズを買ったんだけど読む?」

「よむよむ! サムライジーンズ、気になってたんだよねー。お兄ちゃんに揃えさせようとしたら興味ないっていわれたばっかだったのー」

 久しぶりに会うけど、明るく楽しいことにまっすぐで、キラキラして見えるところに陰りがない。マジでマブい。

「お兄さん今年から東京の大学じゃなかったっけ?」

 2月くらいに志望校に合格した話しを聞いた気がする。

「うちから通うんだってさー」

「そっか……」

 返答の展開につまったとき、ちょうど予鈴チャイムがなった。ありがてぇ。

「うぃーす」と、すぐに背が低めの女教師が入ってきた。団子頭にべっ甲色の眼鏡。ああ、先生も同じなのか。

「担任はまた『めぐみん』なんだね」

 少し声を潜めながら、守谷さんが少しだけ体を寄せてきた。俺も合わせるように返答した。ちょっと近いからか、なんかいい匂いがする。

「見知った先生って安心するよな」

「進学したのに進学してないみたい。ウフフ」

「守谷さんが、進学できないわけないじゃん」

 彼女の学力はクラスでは上位だったはず、真面目な返しをした後に気付く。

 たぶん今のは彼女の冗談だったんだと……。ああ、やっちまった。つまらないやつって思われてねーかな。

「それにしても国語の先生なのに白衣羽織ってんのは未だに慣れねーや」

 守谷さんはチラッと教壇の先生の姿を確認した。

「フフッ、私も」

 笑った反応に安堵する。あと、普通に可愛い。

「おう、お前ら、また同じクラスだな」

 先生から見やすい位置の席で駄弁っていた俺達に声がかかった。ホームルームのチャイムがなるまでこの人は手持ち無沙汰になるのだ。そして、教壇の先生にとっての中央の三列目って意外と話しやすいらしい。

「担任がめぐみんでよかったねって話してたのー」

 すぐに人が喜ぶことを言えるなんて、すごいよなぁ。

「嬉しいこと言ってくれるね、私も守谷と柏木がこのクラスにいてくれてよかったと思うよ」

 先生もすげぇな、これが大人の貫禄ってやつか。巻き添えで俺まで褒められちゃったよ。

 俺もおべっか頑張ろう。

「俺は守谷さんが隣の席で嬉しいし、担任が先生で嬉しいってのが正直な気持ちですね。何て言うか控えめに言ってこのクラス替え最高でした」

 う、うわぁ守谷さんが隣で嬉しいって本心言っちまった。それに支離も滅裂ぅ。

「始まったばかりなのに終わってるのか?」

「俺は国語が苦手ですからね、いくら先生の教え方が上手でも」

「今年も落ちこぼれないように指導してやるから安心しろ」

 美人教師に熱く指導されるなら、ちょっと落ちこぼれてみちゃおうかな。是非ともワンツーマンでオネシャス。

 二度目のチャイムが鳴った。

 立ち話していていた生徒達がダラダラと自席に戻っていく。

「お前ら、早く席に着けー」

 先生は出席管理簿で教壇をパシパシとシバいている。

「ホームルームを始める。初日から欠席や遅刻がいないなんてこのクラスは優秀だな。初めましての方は初めまして、見慣れたやつらはおはようさん。このクラスの担任となったノダ メグミだ」

 カツカツと黒板をチョークが鳴らした。

『野田 恵』

 みんなからは『めぐみん』と呼ばれている野田先生。

 基本的に生徒には偉そうな態度を取っているが、なかなか生徒との関係性構築が上手く、小さな姉貴分のような先生だ。先生みたいな人が俺の姉だったら木乃香も少しは肩の力を抜けるのかもしれないな――。

 やっべ、先生の自己紹介を聞き逃しちまった。まあいっか、なんたって俺の隣は守谷さんなんだもん。

「……というわけでこれから一年間よろしく。早速だが今日はこの後、体育館に移動して全校集会だ。抜き打ちの服装容儀の指導もあるから引っ掛からないようにな」

 抜き打ちって事前に伝えたら抜き打ちじゃないよね。やっぱり、相変わらず面倒見の良い先生だぜ。

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