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『役立たずと追放された「魔力譲渡」スキルの俺、実は美少女騎士団の「聖魔力源」だった件』  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一


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第21話『聖女候補のためという名の、白い鎖』

 朝の特別魔力支援室には、妙な緊張感があった。


 原因は、机の中央に置かれた一通の封書である。


 白い封筒。

 金色の封蝋。

 神殿上層部の紋章。


 昨日、神殿治癒院の廊下で声をかけてきた高位神官からの正式文書だった。


「……来るの、早くない?」


 ミラが腕を組み、露骨に嫌そうな顔をする。


「廊下で断られたその日の夜に文書を出して、朝一番で届くって。どんだけ急いでるのよ」


 エルザは封蝋を観察しながら淡々と言った。


「神殿上層部が、ノエル様の変化を重要視している証拠です」


「変化って言っても、二回会っただけだろ」


 レオンは眉を寄せた。


「治療もしていない。魔力も流していない」


「ですが、治療を拒み続けていた聖女候補が三回目の面談を受け入れました。神殿側にとっては十分大きな変化です」


 リーネが静かに頷く。


「特に、ノエル様は神殿内でも象徴的な存在だったのでしょう。聖女候補として期待され、そして回復を拒み続けていた方ですから」


「象徴、か」


 レオンはその言葉を繰り返した。


 嫌な響きだった。


 本人より先に、役割がある。

 ノエルより先に、聖女候補がある。


 それが彼女を苦しめていたのに。


 セリアは封書を手に取った。


「読むぞ」


 全員の視線が集まる。


 封を切り、セリアは文面に目を通した。


 読み進めるにつれて、表情が冷えていく。


「……なるほど」


「何て?」


 レオンが聞くと、セリアは封書を机に置いた。


「神殿上層部より、正式な協力要請だ。内容は、聖女候補ノエルへの早期治療移行。三回目の面談時に、レオンによる魔力接触診断を実施してほしい、とある」


 ミラが机を叩いた。


「はあ!? 本人はまだ治療しないって言ってるじゃない!」


「文書上は、本人の心が変わりつつある今こそ、適切な導きが必要だと書いてある」


「導きって言葉、嫌いになりそう」


 ミラが吐き捨てるように言った。


 リーネも、いつもの柔らかい笑みを消している。


「ノエル様がようやく『会ってもいい』と言えた段階で接触診断を求めるのは、早すぎます」


「早すぎるどころか、本人の意思を無視してる」


 レオンの声は、自分でも思ったより低かった。


 セリアがこちらを見る。


「そうだ」


「断るんだよな?」


「当然だ」


 即答だった。


 レオンは少し息を吐いた。


 分かっていた。

 セリアならそう言うと。


 それでも、聞きたかった。


「ただし」


 セリアは続けた。


「こちらが断れば、神殿側は別の言い方で来る。ノエル殿のため、神殿のため、聖女候補の未来のため、王国の民のため。そういう言葉を使うだろう」


「白い鎖ですね」


 リーネが静かに言った。


 黄金の鎖。

 エルンスト公爵家の礼品の時に使った言葉。


 今回は、それが神殿らしい白い形をしている。


 清らかで、正しくて、人を救うための言葉。

 でも、縛る時は縛る。


「白い鎖、か」


 レオンは呟いた。


 ミラが腕を組む。


「切る?」


「槍でか?」


「気持ちの問題よ」


 エルザが記録板に書き込む。


「神殿上層部の申請は、本人同意条件を満たしていないため却下が妥当です。返答文には、ノエル様本人が明確に接触診断を望むまで実施しないこと、次回面談も会話のみであることを明記すべきです」


「それでいい」


 セリアは頷く。


「さらに、次回面談時の同席者を制限する。神殿側はシスティナ殿のみ。上層部からの同席は認めない」


「強く出るんですね」


 リーネが言う。


「強く出る必要がある」


 セリアの声は揺れなかった。


「ノエル殿がやっと自分で次を選んだ。そこへ余計な圧を入れれば、また閉じる」


「閉じる……」


 レオンは、ノエルの顔を思い浮かべた。


 窓辺の椅子。

 閉じた聖歌集。

 触れないで、治療しないで、期待させないで、と何度も確認した声。


 そして最後に、少しだけ笑った顔。


 あれを、壊したくない。


「俺も、返答に名前を入れていいか」


 レオンが言うと、セリアが少し眉を動かした。


「お前の名前を?」


「ああ。俺自身の意思として、本人が望まない接触診断はしないって書きたい」


 部屋が少し静かになる。


 ミラが目を丸くした。


「レオンが自分から文書に?」


「文は下手だけど」


「いや、そこじゃなくて」


 リーネが微笑んだ。


「いいと思います。レオンさん自身の意思が入ると、神殿側も簡単には押しにくくなります」


 エルザも頷く。


「王国特別保護対象本人の意思表明として有効です。ただし文面は整えます」


「そこは頼む」


 セリアはしばらくレオンを見ていた。


 そして、静かに頷く。


「分かった。お前の意思として入れよう」


「ありがとう」


「礼を言うことではない。お前の力の使い方だ。お前が決めるべきことだ」


 その言葉で、胸の奥が少し熱くなる。


 数日前まで、レオンの力は勝手に軽んじられ、勝手に使われ、勝手に要らないものとされた。


 今は違う。


 誰に渡すか。

 いつ渡すか。

 渡さないか。


 それを自分で決められる。


 そして、その決定を守ってくれる人たちがいる。


「じゃあ、書くか」


 レオンが言うと、エルザが紙と筆を差し出した。


「まず草案を」


「今すぐ?」


「意思が明確なうちに書く方がよいです」


「字が素朴ってまた言われそうだな」


 ミラが小声で言う。


「味があるって言ったでしょ」


「それ下手な時の言い方だって前も言った」


「じゃあ今日は、力強い字って言ってあげる」


「結局、上手いとは言わないんだな」


 会議室に少し笑いが戻った。


 レオンは筆を取る。


 書き慣れない正式文書ではない。

 まずは、自分の言葉で。


『ノエル本人が望まない限り、俺は魔力接触診断を行いません』


 短い一文。


 だが、今のレオンにはそれが必要だった。


    ◇


 神殿への返答文は、昼前には完成した。


 セリアの署名。

 リーネの医療担当者としての追記。

 エルザの記録管理者としての添付資料。

 そして、レオン本人の意思表明。


 文面は丁寧だった。


 だが、内容は明確だった。


 ノエル本人が望むまで、接触診断は行わない。

 三回目の面談も会話のみ。

 神殿上層部の同席は認めない。

 今後の要請は、すべて特別魔力支援室を通すこと。


 使者へ文書を渡したあと、ミラが会議室の椅子で大きく伸びをした。


「はー、書類一枚にこんな疲れるなんて」


「槍で突けない相手は疲れるな」


 レオンが言うと、ミラは頷いた。


「ほんとそれ」


「冗談のつもりだったんだけど」


「私は本気」


 リーネが笑った。


「でも、今日は槍を使わずにちゃんと戦いましたね」


「戦ったのは団長とエルザとレオンでしょ。私は横で文句言ってただけ」


「文句も士気維持に役立ちます」


 エルザが真面目に言った。


「え、そうなの?」


「はい。ミラの不満表明により、場の問題点が言語化されやすくなります」


「褒めてる?」


「褒めています」


「何か微妙!」


 セリアが少しだけ口元を緩める。


「ミラは、怒るべき時に怒れる。それは必要な資質だ」


 ミラが固まった。


「団長まで……」


「何だ」


「今日、褒める日ですか?」


「事実を言っただけだ」


「それが褒めてるんですって!」


 レオンは笑った。


 ミラが赤くなるのを見ていると、会議室の重さが少しずつ抜けていく。


 だが、完全には消えなかった。


 神殿上層部は、これで引くとは限らない。


 むしろ、これからが本番かもしれない。


 その予感は、全員にあった。


    ◇


 午後、予感は当たった。


 神殿からの返答ではない。


 直接、神殿治癒院のシスティナが白銀聖騎士団の詰所へやってきたのだ。


 彼女は応接室へ通されると、深く頭を下げた。


「急な訪問、申し訳ありません」


「何かあったのか」


 セリアが問う。


 システィナは顔を上げた。


 その表情は、明らかに疲れていた。


「神殿上層部が、ノエルへの接触診断を諦めていません」


「だろうな」


「白銀聖騎士団からの返答文は受け取りました。しかし、上層部は『本人の意思を尊重するためにも、まずは神の導きについて説明する必要がある』と」


 ミラが顔をしかめる。


「意味が分からない。本人の意思を尊重するって言いながら、先に説得する気満々じゃない」


「おっしゃる通りです」


 システィナは否定しなかった。


 その素直さに、ミラは少し驚いたようだった。


 リーネが静かに尋ねる。


「ノエル様は、そのことを知っていますか」


「いいえ。まだ知らせていません。知らせれば、次の面談自体を拒む可能性があります」


「でしょうね」


 レオンは拳を握った。


 ノエルはようやく三回目の面談を受け入れた。


 まだ歌わない。

 まだ治療もしない。

 ただ会うだけ。


 それでも、彼女にとっては大きな一歩だ。


 そこへ神殿上層部の説得が入れば、すべて台無しになるかもしれない。


「システィナさんは、どうしたいんですか」


 レオンが聞くと、システィナは少し黙った。


 それから、静かに言った。


「私は、ノエルに自分で選んでほしいです」


 迷いのない声だった。


「神殿治癒院の者としては、彼女に治ってほしい。聖女候補として戻ってきてほしいという気持ちも、正直あります。ですが、それを私たちが押しつけたら、彼女はまた歌えなくなると思います」


「また歌えなくなる……」


「はい。ノエルはまだ歌っていません。でも、昨日の夜、聖歌集を開いたそうです」


 部屋の空気が変わった。


 リーネが小さく息を呑む。


「本当ですか」


「侍女が確認しました。声は出していません。ただ、ページを開き、しばらく文字を追っていたと」


 レオンの胸に、静かな温度が広がった。


 治療ではない。

 魔力でもない。


 ただ話しただけ。


 それでも、ノエルは聖歌集を開いた。


「それを、神殿上層部は知っているのか?」


 セリアが聞く。


「一部は。だからこそ、今が機会だと考えています」


「逆だな」


 セリアの声は冷たかった。


「今だからこそ、触れるべきではない」


「はい」


 システィナは頷いた。


「だから、お願いに参りました。次回面談は、神殿治癒院ではなく、白銀聖騎士団の管理下で行えないでしょうか」


 全員が静まった。


「場所を変えるということか」


「はい。ノエル本人には、神殿外の中立的な場所で会う選択肢を提示します。彼女が望むなら、王立治癒院か、白銀聖騎士団の面談室で」


「神殿上層部は認めるのか」


「認めないでしょう」


 システィナははっきり言った。


「ですが、ノエル本人が望めば、私が神殿治癒院の担当医として押し通します」


 ミラが目を丸くする。


「システィナ様、意外と強い」


「普段は強くありません」


 システィナは少しだけ苦笑した。


「ですが、今回は強くならなければいけません」


 リーネが静かに微笑む。


「協力します」


 セリアも頷いた。


「白銀聖騎士団として、本人意思を守る面談場所の提供は可能だ。ただし、ノエル殿本人が望む場合に限る」


「ありがとうございます」


「支援室として正式文書を作成する。神殿上層部への返答も含めてな」


 システィナは深く頭を下げた。


 その姿を見ながら、レオンは思った。


 神殿にも、ノエルを役割として見る人がいる。

 だが、ノエル本人を守ろうとする人もいる。


 どちらも神殿なのだ。


 だから、単純に敵とは言えない。


 面倒で、難しい。


 でも、だからこそ手順と意思確認が必要になる。


    ◇


 その日の夕方、支援室は急きょ新しい文書を作った。


『ノエル本人が望む場合、第三回面談を白銀聖騎士団管理下または王立治癒院中立室にて実施可能とする』


 条件は明確だった。


 本人同意。

 神殿上層部の同席不可。

 治療行為なし。

 魔力接触なし。

 面談中止権はノエル本人にある。


 ミラが文書を見て、満足げに頷いた。


「いいじゃない。すごく逃げ道がある」


「逃げ道は大事です」


 リーネが言う。


「追い詰められた人ほど、逃げ道があると少しだけ前へ出られますから」


「名言っぽい」


「本当のことです」


 エルザが追記を入れる。


「面談中止の合図も事前に決めるべきです。ノエル様が口で言いづらい場合、机上の白い札を倒すなど」


「いいな、それ」


 レオンが言った。


「嫌だと言うにも力がいるからな」


「はい」


 エルザは頷く。


「拒否の負担を下げることは重要です」


 セリアは完成した文書に署名した。


「これをシスティナ殿へ渡す。神殿上層部にも写しを送る」


「怒らせるかな」


 レオンが言うと、セリアは即答した。


「怒るだろう」


「やっぱり」


「だが、怒らせないことが目的ではない。ノエル殿を守ることが目的だ」


「……そうだな」


 セリアは文書を閉じる。


「レオン。お前の意思表明も添えるか」


「ああ」


「今回は何と書く」


 レオンは少し考えた。


 そして、ゆっくり言った。


「ノエルが嫌だと言える場所でしか会いません」


 リーネが微笑んだ。


「いいと思います」


 ミラが頷く。


「分かりやすい」


 エルザが筆を取る。


「文面は整えますが、そのままの意味で入れます」


 セリアも頷いた。


「それでいい」


 レオンは少しだけ照れくさくなった。


 立派な言葉ではない。

 政治的な言葉でもない。


 でも、ノエルにはそれが必要だと思った。


    ◇


 夜。


 神殿治癒院の小部屋で、ノエルはシスティナから文書の内容を聞いた。


 第三回面談は、神殿ではなく別の場所でもいい。

 神殿上層部は同席しない。

 治療なし。

 接触なし。

 嫌なら途中で終わっていい。

 白い札を倒せば、それだけで中止できる。


 ノエルは、しばらく何も言わなかった。


 膝の上の手を、ゆっくり握る。


「……私が、決めていいの?」


「はい」


 システィナは静かに答える。


「本当に?」


「本当です」


「神官長様が駄目って言っても?」


「私が止めます。白銀聖騎士団も協力してくれます」


「レオンは?」


「レオン様は、こう言ってくださいました」


 システィナは文書の一文を読み上げた。


「ノエルが嫌だと言える場所でしか会いません」


 ノエルは目を見開いた。


 長い沈黙。


 やがて、彼女は小さく笑った。


「……本当に、変な人」


「はい」


「普通、聖女候補には頑張れって言うのに」


「そうですね」


「嫌だって言っていい場所を用意するなんて」


 ノエルは窓の外を見た。


 神殿の庭には、夜の白い花。


 見慣れた景色。

 安心できる場所でもあり、逃げられない場所でもある。


「白銀聖騎士団で会う」


 ノエルは言った。


 システィナが少し驚く。


「神殿外で、よろしいのですか」


「うん」


「不安ではありませんか」


「不安。でも、神殿だと皆が見てる。皆が、私がどうするか待ってる気がする」


 ノエルは聖歌集に触れた。


「白銀聖騎士団は、変な人が多そうだから」


「理由がそれですか?」


「うん。変な方が、少し楽」


 システィナは目元を押さえた。


「泣かないで」


「すみません」


「泣くほどのことじゃない」


「私には、泣くほどのことです」


 ノエルは少しだけ困った顔をした。


 そして、小さく言った。


「次、白銀聖騎士団で会う。歌わないけど、聖歌集は持っていく」


「はい」


 システィナは深く頷いた。


    ◇


 同じ頃、神殿上層部の会議室では、高位神官たちが険しい顔をしていた。


 白銀聖騎士団からの返答文。

 本人意思の保護。

 神殿上層部の同席不可。

 白銀聖騎士団管理下での面談提案。


 高位神官の一人が、文書を机に置いた。


「これは、神殿への不信任ではないか」


 別の神官が低く言う。


「聖女候補の扱いに、騎士団が口を出すとは」


「だが、レオン・アルヴァスは王国特別保護対象だ。白銀聖騎士団の同意なしに動かすことはできん」


「聖魔力源を一騎士団に握らせておくのは危険だ」


 その言葉が、静かな部屋に落ちる。


 神官長は、しばらく目を閉じていた。


 やがて、ゆっくり目を開く。


「急ぐな」


「しかし」


「急げば、ノエルは完全に閉じる。聖魔力源も警戒する。今は、白銀聖騎士団の条件に従う」


「よろしいのですか」


「従うふりをする」


 部屋が静まる。


 神官長は文書に視線を落とした。


「聖魔力源が本物なら、神殿にとって必要な存在だ。焦って逃がすわけにはいかん」


 白い法衣。

 清らかな言葉。

 救済の名。


 その奥で、別の思惑が静かに動き始めていた。


    ◇


 白銀聖騎士団詰所の夜。


 レオンは自室で、システィナから届いた返答を読んでいた。


 ノエルは、第三回面談を白銀聖騎士団で行うことを希望。


 治療なし。

 接触なし。

 聖歌集を持参予定。


「白銀聖騎士団に来るのか……」


 レオンは小さく呟いた。


 壁の向こうから、すぐにセリアの声がする。


「不安か」


「少し」


「神殿外で会う方が、ノエル殿には良い可能性がある」


「そうだな」


「支援室の面談室を整える。逃げ道も作る」


「逃げ道?」


「扉を二つ開けておく。ノエル殿の席は出口に近い場所。白い札も用意する」


「そこまで考えてるのか」


「必要だ」


「セリアらしい」


「褒めているのか?」


「褒めてる」


 壁の向こうで、少し沈黙があった。


「……そうか」


 たぶん照れている。


 レオンは笑った。


 それから、少し真面目な声で言う。


「神殿、これで引くかな」


「引かないだろう」


「だよな」


「だが、こちらも引かない」


 セリアの声は静かだった。


「ノエル殿が、自分で嫌だと言える場所を作る。それが今回の役目だ」


「うん」


「お前も、そこで焦るな。治療へ進ませたいと思っても、待て」


「分かってる」


「本当に?」


「本当に」


 壁一枚越しに、セリアが少し息を吐いた気がした。


「ならいい」


「セリア」


「何だ?」


「毎回確認してくれるの、助かってる」


「……そうか」


「うん」


「なら、これからも確認する」


「頼む」


「ああ」


 その短いやり取りで、レオンの胸のざわつきは少し落ち着いた。


 神殿上層部は動いている。


 白い鎖は、きっとこれからも伸びてくる。


 けれど、白銀聖騎士団はそれを断ち切るためではなく、絡まらないようにほどくために動いている。


 ノエルが自分で選べるように。


 レオンも、自分の力を自分で選べるように。


 役立たずと呼ばれた力は、今、誰かの意思を守るためにも使われ始めていた。

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