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205.『封印具』にも、封じられた魔物にも、『光の洗礼』を

 再び港に戻り、俺はまず『封印具』に封印された『スクイードクラーケン』を顕現させた。


「ご主人様、お呼びでしょうか?」


 超巨大なイカ型のクラーケンが、渋い雰囲気で俺に話しかけてくる。

 なんとなく、纏っている雰囲気が老執事みたいだ。


「いくつか聞きたいことがあるんだ」


「何でしょうか? 私にお答えできることで、あればなんなりと」


「前に話したときに言っていたが、君が『封印具』に取り込まれる前に俺が『光の洗礼』で浄化していたことによって、『封印具』の隷属の力が効かなくなっているんだよな?」


「はい、その通りでございます。ただ正確には、強制隷属の力に抵抗できているという状態です。

 強制隷属の力は、何ら阻害されず効力を発揮しているようですが、それに対する私の抵抗力が高くなっているという感じです」


「なるほど。『封印具』の効力はそのままだが、『支配の楔』を取り除いて浄化したときに、『スクイードクラーケン』自体に何らかの変化があって、それにより抵抗力が上がっているという事なんだな?」


「その通りにございます。ご主人様の浄化の光を浴びたおかげで、以前よりも思考がクリアになっていて、力が増しているようです」


 『スクイードクラーケン』に対する確認が終わった俺は、次に、『ハーミットクラーケン』を顕現させた。


 『ハーミットクラーケン』を封印していた鎧の『封印具』は、俺が呪いを浄化したときに『聖印具』へと変わっている。


 『封印具』に対して、後から呪いが付与されていたわけだが、その呪いを浄化するために、『光の洗礼』を何度も浴びせたのだった。

 その結果、『封印具』が『聖印具』へと変貌遂げたのである。


 その後、顕現した『ハーミットクラーケン』は、『スクイードクラーケン』ほど流暢ではないが、言葉を発していた。


 これは、他の『封印具』に封印されているキュウビや土蜘蛛とは違う特徴だった。

 この二体は、言葉を発していないのだ。


 『聖印具』に変貌したことで、『封印具』に本来備え付けられていた強制隷属の機能がなくなっていた。

 このことによって、本来会話ができる『オリジン魔物』なら、言葉を発するようにできるようになったのではないかと俺は思っている。


 まぁこの仮説は、これから実際にキュウビと土蜘蛛の『封印具』を『聖印具』に変えてみればわかることだ。


 それから、『聖印具』に変貌したことによって、更なる追加効果があった。

 封印されている魔物を開放顕現させても、封印されていた武器を同時に使うことができるようになっていたのだ。

  『封印具』だったときには、開放顕現させると、武器は一時的に消えてなくなり使えなくなっていた。

 それが同時に使えるのだから、大幅な機能改善と言うことができる。


「ご主人様、ご用件は?」


 海上に現れたヤドカリ型のクラーケンが、少し事務的な感じで言葉を発した。

 やはり『スクイードクラーケン』ほど流暢ではないが、言葉を発することができる。


 この『ハーミットクラーケン』も落ち着いたというか、老練な感じの雰囲気だ。


 クラーケンと言うと、もっと凶暴な暴れん坊的なイメージなのだが、この二体とも老紳士的な感じすらある。

 種族の特性なのか、単なる個性なのかはわからないが。


「改めて確認するけど、『封印具』だったときの強制隷属の機能はないんだよな?」


「はい、強制的、ではありません。私の、意思で、ご主人様に、従っております」


 やはり会話は、流暢にはできない感じだな。


「そうか。わかった。ありがとう」


 ……キュウビと土蜘蛛の封印具に対しても、『光の洗礼』を浴びせて『聖印具』に変えようと思っていたが、『スクイードクラーケン』の『封印具』に対しても、『光の洗礼』を浴びせて『聖印具』化した方がいいな。

 強制隷属の機能が無くなるわけだし、他にもメリットがあるからな……。


 そんな思考を巡らせていると、隣で『ハーミットクラーケン』の話を聞いていた『スクイードクラーケン』が話しかけてきた。


「ご主人様、僭越ですが『ハーミットクラーケン』に対しても『光の洗礼』での浄化を行ったほうがよろしいかと思います」


「と言うと?」


「はい、『封印具』が浄化され『聖印具』になったということは、今の会話で理解いたしました。

 ですが、封じられている魔物に対し改めてご主人様の光を浴びせれば、おそらく私と同じように思考が以前よりもクリアになると思います。

 それにより、会話ももっとスムーズにできるようになると思います。

 また、能力も向上すると思います」


「マスター、『スクイードクラーケン』の提案はもっともです。

 魔物とは、本来冷静な思考状態ではなく、『オリジン魔物』の場合はその例外となっています。

 ただ、だからと言ってそれが万全な状態かと言えば、そうではない可能性が高いのです。

 伝説の秘技される『精霊波』や、それに類する特殊な浄化の光による浄化は、魔物を浄化し『浄魔』という状態に変えるという伝説があります。

 この状態になると、心を通わせたり、テイムすることも可能とされています。

 また『オリジン魔物』も『浄魔』化すると、思考がクリアになり賢さも増し、能力も向上するとされています。

 マスターの『光の洗礼』が、そこまでの能力があるかどうかは分かりませんが、『スクイードクラーケン』の言葉と様子から判断して、何らかの良い影響があるのは間違いないようです。

 提案を実行することをお勧めします」


 事態を見守っていた『大剣者』が、そんな情報を開示するとともに、『スクイードクラーケン』に同調した。


 なんか……『光魔法——光の洗礼』って、俺が思ってる以上に凄い力を秘めているのか?


 とにかく……『封印具』に対しても、封じられている魔物に対しても、『光の洗礼』をかけまくれば良いと言うことなんだろうか?



読んでいただき、誠にありがとうございます。


ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。

誤字報告も助かっています。ありがとうございます。


次話の投稿は、明後日の予定です。

少し遅れる可能性もありますが、その時はごめんなさい。


よろしくお願いします。


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