第058回
『Mikiko's Room(https://mikikosroom.com/)』で連載した、会津若松への旅行記(原題は「単独旅行記Ⅶ」)です。
この回のオリジナルは、↓のページに掲載しています。
https://mikikosroom.com/archives/49828395.html
なお、「小説を読もう!」では、写真を2分の1サイズに縮小して投稿しています。
フルサイズの写真は、上記オリジナルページをご覧下さい。
特に断りのない写真は、わたしが撮影したものですので、ご自由にお使いください。
なお、本文のみをまとめた総集編(後書きはありません)は、↓のページからご覧いただけます。
https://mikikosroom.com/archives/24257587.html
み「なーんか。
『江戸東京たてもの園(https://www.tatemonoen.jp/)』の……。
『高橋是清邸(https://www.tatemonoen.jp/panorama/JP/C3/)』に似てるな」
ハ「昔の日本家屋なんか、似たり寄ったりやろ」
み「あ、赤絨毯のせいかな?
たしか、高橋是清邸の廊下もそうだった。
この絨毯は、当時のものじゃないよね」
ハ「そらそやろ」
み「なんで、廊下に絨毯を敷くんだろ」
ハ「板の間を、靴下裸足で歩かせるわけにもいかんやろ。
夏はともかく、冬は冷え冷えやで」
み「暖房ないの?」
ハ「こないに広い日本家屋、暖房なんか出来るかいな。
見学者は、防寒着のまま見るわけやから……。
上はいいわな。
しかし、足元は靴下や。
氷の上歩いとるようなもんやで。
山ほどスリッパを用意せなあかんがな」
み「なるほど。
高橋是清邸も同じ理由か。
でも、なぜに色まで一緒なの?」
ハ「それは、あれちゃうか?
レッドカーペットやがな」
み「偉い人が歩くところに敷くやつ?
でも、ここの見学客は別に偉くはないでしょ」
ハ「たまに偉い人も来んのやろ。
そんときだけ敷き直すとなったら大手間やで。
最初から赤敷いといた方が楽やがな」
み「ほんとに、そういう理由?」
ハ「そやないんか。
知らんけど」
み「おい。
ここは敷いてないぞ」
ハ「廊下やないからやろ」
み「板の間には変わりないじゃん」
ハ「この形の絨毯は、売っとらへんな」
み「そういう問題か!」
み「『土間』か。
雨の日は、ここでバーベキューできるな」
ハ「なんでやねん」
み「あの板の間にパソコン置けば……。
Youtube見ながら食べられる」
ハ「コンセントが無いで」
み「食べてる間くらい、充電が保つよ。
あ、でも、コンセントは要るな。
冷蔵庫、置きたいから。
ビールと氷は手近にほしいよね」
ハ「何の話や」
み「『奥玄関』?
もうひとつ玄関があるってこと?」
ハ「“奥”っちゅうのは、プライベートスペースのこっちゃろ。
そこに付いてる玄関っちゅうことやがな」
み「ふーん。
でも、ここもバーベキューに良さげだな」
ハ「それは、ええっちゅうねん」
み「説明書きが遠くて読めん。
読んで」
ハ「『女中頭部屋』や。
『女中頭一人に一部屋が与えられていた。
奥の二畳間は、女中頭付女中の部屋である』」
み「女中頭に、専属の女中が付いてたってこと?」
ハ「そういうことやな」
み「しかし、二畳間って。
こんなに広い家なんだから……。
そこまで狭くしなくてもいいでしょ」
ハ「ま、さまざまな点で……。
序列がはっきりするようになっとるんやな」
み「でも、二畳間……。
寝るには良さそうだよね。
ぜったい、落ち着くわ」
ハ「前世は女中やな」
み「お、『女中部屋』だ。
『行儀見習いの女中達(藩士の子女)十数名が、相部屋で寝食を共にしていた』。
十数名って……。
ここ、八畳だよね。
一畳に2人じゃん。
どうやって寝んの?」
ハ「布団一枚に、2人並んでやろな。
昔の日本人は小柄やったから、大丈夫やないんか。
それに、女中っちゅうても、全員武家の娘や。
文句なんか言わんのやろ」
み「大柄な女性は、文字どおり肩身が狭かったろうね。
ここに比べたら、女中頭付女中は天国だよね。
二畳間独占なんだから。
ここの4倍のスペースがあるわけだ。
ぜったい立候補したい」
ハ「女中頭の指名やろ。
ナマケモンは選ばれんわい」
み「くっそー」
み「『使用人厠』。
個室って、いくつあったんだろうね?」
ハ「ひとつなんちゃうか?」
み「それじゃ、朝は大渋滞だろ。
十数人もいるのに。
ぜったい、便秘だ」
み「『子供部屋』。
なんか、切なくなるね。
あんな最後が待ってるんだからさ」
ハ「確かにな」
み「会津武士道が、どんなに立派な教えだったとしても……。
子供を道連れにするような教えは、絶対に間違ってる」
■スリッパの話
コロナ禍で、大きく様変わりしたもののひとつに……。
ホテル客室のスリッパがあるでしょう。
一気に、使い捨てスリッパに変わりましたよね。
もちろんコロナ前から……。
使い捨てスリッパにしてるホテルも少なくなかったでしょう。
でも、昔からのスリッパのホテルも残ってました。
それほどへたってないスリッパを……。
わざわざ変える必要はありませんから。
でも、それがコロナで一変。
あっという間に、すべて使い捨てスリッパに変わりました。
わたしは、使い捨てスリッパ、大歓迎でした。
宿によっては、2足備え付けてくれてるところもありました。
もちろん、1足はそのホテルで使わせてもらい……。
もう1足は、持ち帰りました。
その1足は、次の旅行のときに持って行きます。
ホテルには備え付けられているのに……。
なんで、わざわざ持って行くのでしょう。
それは、行き帰りの新幹線の中で使うんです。
車中で靴を脱げると、楽さがぜんぜん違いますよ。
おっさんは、スポーツ新聞を床に敷いて、そこに足を載せてます。
さすがに、それは出来ませんね。
隣に誰も座らなければいいですが……。
きっちりしたサラリーマンとかが座ったら、ちょっと新聞紙は敷きにくいです。
でも、スリッパなら、スマートですよね。
使い捨てスリッパは、ぺちゃんこになるので、携帯にも便利です。
あと使い道は、もうひとつあります。
自転車のカゴに入れておくんです。
わたしは、毎週末のお休みに、町内を自転車で散歩します。
途中、母校の小学校と中学校も回ります。
あ、そうそう。
わたしには、母校の小学校が2つあるんです。
もちろん、転校しました。
でも、その2つの小学校は、自転車で5分くらいの距離にあるんです。
なぜでしょう?
わたしの子供時代は、どんどん住宅が増えて、子供も増えてたころです。
で、新しい住宅は、田んぼを埋めて次々と建ちました。
これで何が起きたかというと……。
学区ごとの子供の数がアンバランスになったんです。
古くからの町の中心部にある学区は、それほど子供が増えません。
逆に、田んぼばっかりだったところの学区では、どんどん子供が増えます。
で、これを調整するために……。
学区の境界線の引き直しが行われたんです。
というわけでわたしは、隣の学区の小学校に転校したわけです。
小学校2年生のときでした。
なので、最初の小学校に通ったのは、1年間だけです。
なんで、小学校の話になったんでしたっけ?
あ、そうだ。
自転車散歩ですね。
で、秋です。
自転車で母校を通りかかるのは、休日。
でも、人がたくさん群れてる場合があります。
「学習発表会」が行われてるんです。
しかし、なんでこんな名称になったんですかね?
わたしの時代は「文化祭」でしたよ。
もちろん、そういうイベントに遭遇した日は……。
あがらせてもらって、校内を見て回ります。
このとき活躍するのが……。
自転車カゴに入ってる使い捨てスリッパ。
学校の玄関にも、来客用のスリッパはあります。
でも、来客が多いと、スリッパ入れのダンボールが空っぽのこともあるんです。
スリッパを持ってきてなければ、靴下裸足で上がるしかないです。
きちゃないですよね。
学校のトイレは、履物を変えませんよね。
トイレの床を踏んだ靴が、廊下も歩きまわってます。
そういうところを靴下裸足で歩きたくはありません。
でも、使い捨てスリッパを持っていれば無敵なわけです。
使い捨てスリッパ、優勝です。
ところで、ホテルの部屋にスリッパが備え付けられてるのは……。
日本のホテルだけなんですかね?
外国のホテルでは、履いてきた靴のまま部屋で過ごすんですか?
くつろげませんよね。
外国旅行をするときは、ぜったい使い捨てスリッパ、持って行くことにします。
ま、行くことはないでしょうけど。




