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埴輪と旅する女①【会津若松編】  作者: Mikiko


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第044回

 『Mikiko's Room(https://mikikosroom.com/)』で連載した、会津若松への旅行記(原題は「単独旅行記Ⅶ」)です。

 この回のオリジナルは、↓のページに掲載しています。

https://mikikosroom.com/archives/49060412.html


 なお、「小説を読もう!」では、写真を2分の1サイズに縮小して投稿しています。

 フルサイズの写真は、上記オリジナルページをご覧下さい。

 特に断りのない写真は、わたしが撮影したものですので、ご自由にお使いください。


 なお、本文のみをまとめた総集編(後書きはありません)は、↓のページからご覧いただけます。

https://mikikosroom.com/archives/24257587.html



挿絵(By みてみん)

み「おー、けっこう今風なバスが来た」

ハ「どんなんが来ると思っとったんや?」

み「ボンネットバスとか」

ハ「バカにしとるんやないか?

 それはさっきの周遊バスやろ」

挿絵(By みてみん)


ハ「あんなんで高速走ったら、分解してまうがな」

み「どっちがバカにしとんねん!」


挿絵(By みてみん)

み「さて、駅前だ」

ハ「地下道の入口も、洒落てるやないか」

み「牢屋みたいだけど」

ハ「あんたが入っとれ」


挿絵(By みてみん)

み「入ったぞ。

 普通の地下道じゃな」

ハ「あたりまえやがな」

み「壁にずーっと手すりが付いてるのはいいけど……。

 この階段じゃ、車椅子は無理だね」

ハ「エレベーターはないようやしな」


挿絵(By みてみん)

み「この手すりを、ずーっと伝わなきゃならないような人は……。

 ここ、使わないんじゃないの?」

ハ「しかし、横断歩道はないんやろ?」

み「横断歩道はなくても……。

 みんな、道路を渡ってるんじゃないのか?

 ここの人通りがまったくないってのが、その証拠じゃろ」

ハ「確かにな。

 こんなに広い地下道なのに、もったいないわ」

み「何か、ほかに使い道ないかな?」

ハ「屋台を出すとかはどうや?」

み「あほたれ。

 あの階段を、どうやって上り下りすんの」

ハ「ほなら、どんな使い道がある言うんや?」

み「そうだ。

 こんだけ広いんだから……。

 両方の壁際に、長テーブルを並べられるよね」

ハ「何すんのや?」

み「学習室だよ。

 駅が真ん前なんだから便利じゃん。

 田舎は、電車の間隔が30分くらいあいちゃうからね」

ハ「トイレがないやろ」

み「だから、30分くらい使うんだって。

 こんなとこ、冬にそれ以上いたら凍死するわ」


挿絵(By みてみん)

み「地下道の案内図があった」

ハ「黄色いのが、地下道やな」

み「ほら、バス乗り場だってすぐ近くじゃん。

 学習室に最適。

 冬は寒いったって、コート着てれば地上よりはマシだろ。

 風がないんだから。

 夏は、ぜったいに涼しいしさ」

ハ「トイレが近こなるで」

み「ジジむさい感想を述べるな。

 しかし確かに……。

 ちょっと冷えて来たな。

 地上に復帰するぞ」


挿絵(By みてみん)

み「おー暖ったかい。

ハ「何や、この木は?」

み「プラタナスだよ。

 別名、鈴掛(すずかけ)の木。

 鈴みたいな実が成るんだよ」

ハ「何で、こないに刈られとるんや?」

み「この木は、葉っぱが大きいのよ。

 しかも、その葉には、アメシロがたかる」

ハ「アメシロてなんや?」

み「知らんのきゃ。

 アメリカシロヒトリ。

 その幼虫が、この葉っぱが大好物なの」

ハ「幼虫って、鳥やないんか?」

み「“ヒトリ”は鳥じゃありません。

 ましてや、劇団ひとりでもありません」

ハ「わかったるわいな」

み「ヒトリガっていう蛾がいるの。

 ひとりで行動する蛾じゃないぞ。

 “火を取る”から、火取蛾」

ハ「何で火を取るんや?」

み「“飛んで火に入る夏の虫”だよ。

 夜行性でね。

 蝋燭の火に飛びこんで、燃えちゃうわけ。

 で、蝋燭の火が消える。

 昔は、火を点けるったって、簡単じゃなかったでしょ。

 だから、火を消しちゃう蛾は、大迷惑だったわけよ。

 なので、火取蛾という名前を付けて嫌ったってこと。

 でも、このアメリカシロヒトリは、その名のとおり外来種。

 戦後、米軍の軍需物資に付いてやって来た。

 日本の木は、こいつに耐性がないから……。

 丸坊主にされて枯れちゃう木もあるの。

 親になると、信じられないほど綺麗なんだけどね。

 まるで、ミンクのコートを着た、雪の女王みたいなんだよ」

挿絵(By みてみん)

↑TampAGS, for AGS Media - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9419200による


み「ところが、幼虫が鳥肌もの。

 集団で糸吐いて巣くって、その糸の網越しに……。

 うじゃうじゃいるのが見えるわけ。

 キモいったらない。

 手が届かないところに巣くられたら……。

 退治が容易じゃないわけよ。

 だから、こういう強剪定をして、樹高を押さえてるんだろ」


■アメシロ

 街路樹では、プラタナスのほか、ヤナギがやられます。

 あと、バラ科の樹木も餌食になりますね。

 一番被害を受けるのは、サクラです。

 桜餅とかで、人間も食べる葉っぱですからね。

 美味しいんですよ。

 全国的に、サクラの街道は、花時には大人気のようです。

 でも、それ以外の季節は、管理が大変なはずです。

 アメシロ以外の毛虫も、サクラの葉は大好物ですからね。

 樹上から、毛虫が糸で下がってきたりして……。

 下を歩く人を驚かせます。

 その度に、自治体には苦情が寄せられます。

 かといって今は、大々的に薬剤散布をするのも憚られます。

 洗濯物や車にかかったという苦情も来ますしね。

 あと、サクラで危険なのは、枝折れです。

 ソメイヨシノは、枝が太りやすく、しかも横に張り出します。

 その枝が腐ったり、大風が吹くと、ぼっきり折れます。

 折れるというか、幹から裂けるんですね。

 大枝ですから、下に人がいたら事故になります。

 サクラ並木の街道を作った自治体の職員さんは……。

 サクラを植えて良かったと思うのは、花時の10日間だけだと言ってたそうです。

 あとの355日は、後悔ばっかりだと。


 あと、アメシロですが……。

 こちらでは最近、新しいターゲットを得ました。

 街路樹です。

 ちょっと珍しい木が植えられてました。

 造園会社に勤めてた叔父に聞いてわかったんですが……。

 イヌエンジュだそうです。

 マメ科ですね。

 植えられてたのは、田んぼの中を突っ切る幹線道路。

 なんでそんな樹種が植えられたのか、叔父に尋ねました。

 その道路は、周りに何もないため、冬は地吹雪が通るような過酷な環境です。

 そうした冬の季節風に耐えられる樹種として……。

 イヌエンジュが選ばれたんだそうです。

 ところが!

 この木には、冬以外の季節に弱点があったんです。

 それが、アメシロ。

 アメシロにしてみれば、こんな便利な環境はないわけです。

 なにしろ幼虫の餌が、ズラーッと列植されてるわけですから。

 アメシロは、年に2回発生します。

 やっぱり、自分の生まれたところは覚えてるんじゃないですかね。

 で、同じ街路の木に卵を産むわけです。

 一時期、見渡す限りのイヌエンジュが、丸坊主に近くなってたことがありましたよ。

 今は、イヌエンジュが新たに植えられる道路はまったくなくなりました。


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