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ついて来てはみたものの…人里だというのにこれはどういうことだ…
「あれ、下りて来たんけ。」
「…飯をありがとう。」
「あんれ~、むぞらし!」
「…その、むぞらしって何。」
「可愛いなぁて意味だで。」
「またか…」
「え?」
「いや…ここはどうしてこんな事になっているの。」
「ここらの者は皆、病に侵されてね。」
「だからって、なんで家々が燃えてしまったの…」
「病気で畑仕事もできず、年貢を収めきれなくて…皆焼けうちにあったんだ。」
「そんな…」
「私らは山暮らしのお陰で不自由でもあるけど、病も免れられてね。」
「…」
「焼うちにあってからは病もなくなった。」
「え?」
「あの人をご覧。病になって床に伏してたんだけど、焼けうちにあってもなんとか生き延びてね。焼けた家が煙で燻されて虫もつかなくなったのと同じ様に、病も燻されて治まってしまったんだと。」
「お里さん、よう来んさったね。」
「火傷はどうね、薬草の塗り薬は効いてるかしら。」
「えぇ、膿も治まったし調子えぇよ。」
「よかった。今朝のご飯の残りだけど、よかったら。」
「いつも悪ぃねぇ…。今日は喋り方も上品になって、どげんしたつ?」
「あぁ、この子が居るからついね。えっと、名前は…」
「染一。」
「染一!むぞらしかこつ!」
「ほんに、むぞらしいねぇ。」
「なんで病は治ったの。」
「あぁ、咳こんでばかりいたし、熱も下がらず、赤い発疹が身体中にあった。でも何ものうなった。」
「やっぱり、煙で燻されたのが効いたのかねぇ。」
「わからねぇけど、煙も不思議と煙たくなくてな。身体中に煙がまとわりついて、守られている心地だった。」
「煙…その煙はどんな色していたんだ。」
「それがさ、きらきら輝いてて、陽の光の中に居る様な心地でよ。みぃんな同じこと言うてたな。」
「…なるほど。」
恐らく龍王様のお力だ。ということはこの土地は龍王様の島ということだな。確か…宮崎の高千穂辺り…
「神のご加護があったのよ。お夏さん、生きていてくれて本当によかった。」
「そうね、高千穂神社には暇さえあればお参りしていたからね。高千穂峡も涼しいから、この暑い日なんかは本当に有り難い場所になるのよね。」
あぁ、間違いない。高千穂峡、あの渓谷に住まわれているんだった。龍王様も仕事熱心だな。
「それじゃ、また来るからね。」
「…ここに残る。」
「え?どうして…」
「世話になった。それで、神社へはどうやったら行ける。」
「そこの坂下って右に見えてくる。」
確かこの神社には…
「染一でございます。ニニギノミコト様どうか御声をお聞かせください。」
『染一と申す者よ、我にて何を得る。』
「ニニギノミコト様のお力は存じ上げております。叶うのであれば、この土地の五穀豊穣を願っております。」
『そうか。その願い、聞き入れよう。』
「…一つ伺いますが、アマテラスオオミカミ様は今どちらへ…」
『そなた、この世の者ではなかろう。』
「いえ、どうやらこの世が初めてなようで、右も左もわからず…皆様のお力を賜りたく。」
『天岩戸にて探るがよい』
「ありがとうございます。皆様のますますの御多幸をお祈り申し上げます。」
危なかった…さすがニニギノミコト様、私が青龍であったこと…いずれ神々に知られる時がくるだろう。
天岩戸…以前、アマテラス様がお隠れになったことがあったな。
天岩戸神社ーこの神社が祀っているのだな…。
随分と遠いな。ここからでは岩戸には近づけん。
岩戸の右手にも神社が…あちらへ行ってみるか…。
「そこの小童、どこへ行く。」
この者達からは、何やら良くない気を感じられる…。
「声も出ぬか。」
「参拝へ行くのです。」
「参拝?それが為、俺に頭も下げず横切ろうと言うのか。」
難癖か…この者、殺気立っている。
「今すぐ土下座するべきだろう!跪け!!」
ここまでか…
「ちぃぇぇえい!」
ザシュ…ッ




