1-3-18
2943イメージソング
https://youtu.be/yrc1oGmkcak
「ただいまー、お母さん居るー?」
「はいはい、おかえり…あら、お友達って…え?」
「はじめまして、本田と申します。すみません突然、お邪魔してよろしいですか?」
「はい…あの、恵とはどのようなご関係で…?」
「お母さん!いいから、もう部屋いってるね!」
「お邪魔します。」
「すみません、母が…滅多に男性を呼ぶことがないので、驚いてしまったみたいで…」
「いや、こちらこそ、なんて言っていいのか分からなくて…お家無事でよかったね。ここが恵さんの部屋だったの?」
「はい、姉と一緒にこの部屋で育ちました。」
「そうなんだ。あ、お姉さんはお仕事中かな?」
「そうですね…えと、今日は実家には帰ってこないと思うので、明日明後日のどちらかで行われるであろうライブで会えると思います!」
「あ、お姉さんもライブに来るんだね。」
「はい、来る…といいますか…はい…」
「…?」
「あ、お茶!お持ちしますね!」
「ありがとう。」
「清厳、先に例の神社に行くのだろう?この島は何やら強い気を放っているぞ…」
「強い気?」
「あぁ…熱いなにか…」
「熊本といえば阿蘇のカルデラがあって、火山があるから、それじゃないかな。」
「地中からの熱い気か…いや、それだけじゃないんだ…」
「菊池の辺りは神社も多いし、渓谷もあったりするからな、そういった神聖な気を感じ取っているのかもな。」
「なるほどな…しかし、ここまでの強い気は…龍王様?!」
「え?熊本のこの地に、龍王様と繋がれる場所なんて…」
「お待たせしました、母が、軽く食べられるものも何か作ってくれるみたいです。」
「あ、ありがとう、嬉しいな。」
「食べ終えたら、神社へ向かいましょうか。」
「うん、すごく気になってる。池や川もあるってことは、結構大きい神社なの?」
「えっと、大きいというか…池や川の面積はありますが、参拝する場所は割と狭いです。家の裏の山の中にあるので…」
「そっか…有名な神社なの?」
「恐らく…神社好きの方は特に、知ってる方も多いと思います。」
「神社の名前はなんていうの?」
「八大龍王神社です。」
「龍王…!」
「なんでも、宇宙と繋がっているとかいないとか…私はあまり宇宙を感じたことはないのですが、とても神気のある神社として有名です。」
「そんな所がこの地にあるなんて…」
「熊本は割と有名な神社がありますよね。とても古くからある幣立神宮も、かなり有名ですし。」
「幣立神宮…」
「なんでも、日本最古の神社だとか…私も行ったことがありますよ。」
「そうなんだね、恵さん、神社とか詳しいの?」
「一時期、御朱印集めにハマっていて、その流れで幣立神宮にも足を運んでいます。」
「…その幣立神宮には、池とかないよね?」
「ありますよ?山中を下っていくんですけど、龍神様が住んでるとされている池があります。」
「清厳…」
「行く価値はありそうだ…」
「山都町なので、少し距離はありますけどね。」
「…恵さん、幣立神宮には俺一人で行ってみるよ。」
「え…私もお供します、あそこは階段も段数あるし、池のある山中も足場が悪いですから…彰さんの体調が心配です。」
「そうだった…不便な身体だな…」
「御迷惑でなければ、御一緒します。」
「ありがとう、助かるよ。」
「恵ー、できたわよー。」
「ありがとう、お母さん。いただきましょう、彰さん。」
「ごゆっくりどうぞ~。」
「ありがとうございます、いただきます。」
「簡単に、チャーハンなんですけど…お口に合いますか?」
「美味しいよ、おかわりしたいくらい。」
「本当ですか?母が喜びます!」
「ご馳走様でした。」
「結構お腹に溜まりましたね、神社、行けますか?」
「うん、行こう。」
「坂道上ったところにあります。なかなか傾斜キツめですが、大丈夫ですか?」
「うん、少しゆっくり行こうか。」
「…子供の頃は、この坂道も姉と競争して駆け上ってました。今じゃ考えられない。」
「元気な子供時代だったんだね。お姉さんとはいくつ年が違うの?」
「姉は早生まれだから…三つです。あ、彰さんとは一つ違いになりますかね。」
「じゃぁ、俺にとってもお姉さんになる訳だ。」
「姉とは小学生までしか遊んでなくって、中学高校ではお互いが各々の部活に熱心だったから接点もなくなって…大人になってからもお互い交わることなく、それぞれに人生を歩んでいたので、今回久しぶりに会うとあって緊張しています。」
「そうだったの…そんな中、俺が居ていいのかな?」
「いえ、むしろ居てください!居てくださった方が、私の精神的なところで支えとなります!」
「精神的支えって…姉妹で会うのにそんなに緊張するものなの?」
「なんていうか…姉は私のコンプレックスでもあるんです。秀でた姉を持つと、それなりに苦労しますよ。」
「そっか…俺は一人っ子だから、その心境が理解してあげられないけど、色々と大変だったんだね。」
「大変…といいますか、私が勝手に捻くれてしまっているだけですけどね。姉は姉の生きたいように生きてるだけで、それを見て羨ましいと思ってしまう自分が居るんです。」
「恵さんも、恵さんの生きたいように生きたらいい。生きたいように生きれてないのかな?」
「いえ、私も私なりに生きたいように生きています。ただ、姉のような派手さはないといいますか…」
「派手である必要あるかなぁ…恵さんも、派手に生きたいと思ってるの?」
「いえ!姉の様に派手になんか生きてたら、いくつ命があっても足りません…」
「それでも、お姉さんを見ていて羨ましいと思うところがあるんだね。」
「そうですね…私にはあんな生き方はできないなと、尊敬もあるんですけど…とにかく姉の存在に圧倒されてしまってます。」
「比較してもしょうがないよ。それに、お姉さんには恵さんの生き方はできないかもしれない。」
「そうでしょうか…」
「きっと、性質が違うんだよ。恵さんは恵さんだから。恵さんが恵さんのままで居てくれて俺は嬉しいけどな。」
「え…」
「16年ぶりに会えた時、恵さんが変わりなくて…俺の事待っていてくれていたことが嬉しかったんだ。」
「彰さん…」
「ここにこうして一緒に来れたことも決まっていたことなんだとしたら、この先の俺達の時の流れもすでに決まっているんだと思う。」
「それって…」
「まずは、参拝しないとね。」
「あ、はい…」




