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2943  作者: 平野むら
PR
38/40

1-3-17

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「ごめんね、恵さんはトイレ大丈夫?」

「大丈夫です、バスで駅まで向かいましょう。」

「それにしても、今回の地震で道路状況は問題なかったのかな。」

「それが…高速道路が分断されたみたいで…ただ、今から乗るバスは高速使わないので、下道で道路状況見ながら迂回されるみたいです。」

「そうだったんだね…空路でしか来れなかったのかもしれないね。」

「新幹線も、途中の区間は運転見合わせが続いているみたいです。」

「そっか…市内の電車は大丈夫なのかな。」

「熊本は電車もありますが、市内は路面電車の市電もありますから、いくつか交通手段はありますよ。」

「今日のライブは、熊本城で行われるんだっけ?」

「はい、熊本城の二の丸広場という開けた場所があるんですけど、そこで行われます。」

「実は初めて行くんだ、熊本城。」

「そうなんですか?」

「菊池城の辺りにばぁちゃん家があってね、その周辺とかしか行ったことがないんだ。」

「菊池…ウチの実家も菊池です…」

「本当に?ここまでくると、なんだかガラにもなく運命感じるな。」

「私は初めてお会いした時から、ずっと運命を感じていましたよ。」

「恵さん…」

「私だけがそう感じていただけだと思っていたので、すごく嬉しいです。」

「俺も、そういった感覚は初めてだから、自分自身すごく驚いてるけど、嬉しくもあるよ。恵さんのお陰だな。」

「初めて出逢ったあの日、ナギの木が私達を繋げてくれたんですよね。」

「…恵さんが声をかけてくれなかったら、何も始まらなかったよ。」

「…私、普段から見知らぬ人に声をかけるような事はしてません。でも、なぜか…あの時不思議と声をかけたくなったんです…大好きな植物を前に、心がオープンになっていたのかもしれません。」

「あはは、分かる気がするな。」

「こうして出逢えたことにも、ここに一緒に来れたことも、全ては決まっていたことなのかもしれません。」

「…恵さんが言うと、素直にそう思えるよ。」

「えへへ、照れちゃいます…」

「なんだかいい雰囲気じゃないか、お二人さん。」

「…邪魔するなよ。」

「え?」

「いや、御実家にもお邪魔していいかな、お姉さんにもお会いしてみたいし…あ、お姉さんはこっちに居るのかな?」

「えっと…あの、姉には会えると思います…」

「そっか、楽しみだな。」

「…」


「こんなに被害が大きいなんて…」

「この辺り、震源から近いからかな。」

「家の屋根がもう…あそこのお家は崩れてしまってる…かろうじて道路が無事でよかったです…」

「ここら辺がこんなじゃ、市内の方もひどいんじゃないのかな。」

「…見ていて悲しくなります…」

「うん…」


「熊本駅の方は、パッと見なんとか無事みたいだけど…市電は…動いてるみたいだね。」

「よかった…」

「ライブまではまだ時間あるよね?少し市内も散策してみる?」

「はい、様子を見ておきたいです。」


「下通りに来てみたけど…これはひどいや。」

「あ…あそこのカフェ、学生時代よく通ってたんですが…扉のガラスが割れちゃってる…」

「あっちもだ、ひどいな…」

「人間達にここまで被害が及んでいるとは…龍王様は、何をお伝えになりたかったのだ…」

「…」

「ここからは通行止めですね。」

「うん…あっちは壁から崩れちゃって通りに投げ出されてる…危険だから、そろそろ引き返そうか。」

「はい…」

「龍王様がご存命の時、地起こしで地震を発生させた後は何かしらの手当てをなさっていたはず…今回は手当てもなし…何か引っかかる…」

「…恵さん、お腹空いてない?」

「少しだけ…こんな時でもお腹は空くんですよね…」

「しょうがないさ、生きてる証拠だよ。コンビニで何か適当に買って、二の丸広場で食べよう。」


「そうか、震災で物流もストップしているんだ…」

「何もないですね…パンやおにぎり、カップ麺まで…」

「こんな状況じゃしょうがないか…飲食店もほとんどのお店はやってないし…」

「…もう、熊本城行っちゃおうか。」

「そうですね…」


「うわ…」

「石垣が…」

「あれは…天守閣だったのかな、崩れちゃってるね。」

「うそ…こんなに崩れてしまうなんて…」

「…今日のライブ、本当に行われるのかな?」

「お、恐らく…」

「あっちの駐車場も進入禁止になってるし、こっちだって立ち入り禁止の看板立ってるよ?」

「…ちょっと、確認してみます。」


「お姉ちゃん?恵。今熊本についたけど、熊本城ひどい有様だよ?本当にライブなんかできるの?」

「んー、ライブっていうかねー…私がただ、今あそこの場所で歌いたいと思っただけ。」

「えぇ?!」

「特に許可とか得てないから、歌えるかどうかも分かんないんだー。」

「そんな…お友達連れてきちゃったのに…」

「ごめんごめん、でも、そこで歌えなかったとしても、熊本の地では歌うから。」

「そんなこと言ったって…」

「路上ライブみたいな感じだよ、去年は東京の新宿駅前で人目もはばからず歌ったなー。」

「相変わらず自由に生きすぎで、ついてけないよ…」

「あははははっ、無理についてこなくていいんだよー、私は一瞬一瞬に込めて生きてるだけ。」

「…あんまり無茶なことしないでね?」

「分かってる~、ありがとう。じゃ、熊本城が無理そうならどこかの公園か…神社さんで歌わせてもらおうかなー。」

「その様子じゃ、手ぶらで熊本に来てるんでしょ、お姉ちゃん。」

「正解~!大丈夫だよ、今日じゃなくても明日明後日で許可とってー、どこかで必ず歌わせてもらうから!」

「んもぅ…!じゃあ、色々決まったら連絡して。早めに連絡してよ?!」

「オッケー!じゃまたっ!」


「…彰さん、ごめんなさいっ!」

「え?」

「今日やる予定だったライブは、明日明後日に延期するみたいで…」

「そうなんだ…まぁ、こんな状況じゃ難しいよね。じゃあ先に、恵さんの御実家にお邪魔してもいいかな?」

「あ、はいっ!喜んで!」

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