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2943  作者: 平野むら
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36/40

1-3-15

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「付き添いの人が居るなら大丈夫だろうって、外出許可もらえたよ。」

「そうですか、では当日お迎えに上がりますね。」

「何から何まで、ありがとう。」

「いえ、お役に立てるのが嬉しいです。では今日はこれで失礼しますね。」

「うん、気を付けて。」


恵さんのお陰で、会える運びとなったわけだが…会って、どうするんだ…俺は。

人間として何度か生きてきて、今世では割と長生きしてこれている…

人間になってからというもの、龍だった頃の自分の考え方や感じ方に変化が見られる。

人間への理解も、人間の無力さも、十二分に感じてこれた。

そうなった今、彼女への感情にも変化が見られる。

自分にとって大切な存在に気付き始めている今、彼女に会って俺に何ができるんだろうか…

そして、俺は何を思うんだろうか…

「清厳、戻ってこれたんだな。」

「泊渼か、あぁ、お陰様で戻ってこれたよ。心配かけたな。」

「安心した…お前が彷徨っているのは分かっていたんだが、どうすることも出来なかった、すまない。」

「何を謝る必要があるんだ、身を挺して俺の大切な友達を救ってくれたんだ、礼を言わせてくれ。」

「礼には及ばない、彼はとても幸運の持ち主だ、私が助けずとも生還していただろう。」

「そうか…あいつ、幸運の持ち主なんだな、分かる気がするよ。」

「いい友を持ったな、清厳。」

「あぁ、お前という友もいるしな、俺もかなりの幸運の持ち主だと思うよ。」

「そうだな…」

「その証拠に、彼女の歌声で戻ってこれた。」

「彼女…ついに見つけたのか?!」

「あぁ、手の届かない存在ではあるが、確実に会える見込みもある。」

「そうか…ついにお前の念願が叶うのだな…」

「今となっては、念願だったのか何なのか分からないんだけどな、実際のところ。」

「そう言うな、我々はお前のその念願によって、お前という大きな存在を失ってしまったのだから。」

「大げさだな、こうして繋がれているんだ、失ったなんて言うなよ。」

「龍界としては大打撃だよ…お前も、龍王様も…」

「龍王様…!そうだ、俺が彷徨っている時に龍王様に会ったんだ!しかも黄泉の国でも見かけて…イザナミ様と何か話をしていたのを見かけたんだが…」

「イザナミ様と?!一体どういうことなんだ…」

「黄泉の国で見かけたってことは、龍王様も何かの拍子(ひょうし)に命が危ぶまれたのか?」

「…スサノオ様に首をはねられたのだ。」

「えぇっ?!」

「その流れで、今の龍界では俺が後任を担(にな)っている。」

「泊渼が龍王になったってのか…それは適任だとは思うが…なぜ龍王様が首をはねられなきゃならないんだ…」

「…見せしめでもあったんだろうが、俺の居ぬ間に全て終わっていたよ。」

「そうか…」

「イザナミ様と対峙していたとあれば、龍王様の動きがますます不可解なままだ…どう説明すればいい…」

「何か動きがあったのか?」

「こないだの地震だ、あれは龍王様の動きに違いない。だが、なぜそのような事をなさったのかが分からないんだ。」

「…イザナミ様の手に堕(お)ちたのか…はたまた抵抗の表れか…」

「龍王様に限って、無暗(むやみ)やたらに動きをなされるとは思えない…」

「龍王様は慈愛に満ちたお方だ、我々にも神々にも人間に対してもだ。地を揺らして…何か知らせようとしているに違いない。」

「場所は熊本…何かあるのか…」

「熊本へ、来週行くことになったんだ。お前も来い、泊渼。」

「熊本へ?それは…偶然なのか?!」

「わからない…何か導きにも似たようなものを感じているよ。」

「お前は、間違いなく導かれている。今までも、これからもな。共に見届けよう。」

「あぁ、全ては熊本に答えがあるはずだ。」


『言い出せずに戻って来たのだろう。』

「どこまでも察しがいいな。」

『奴は、人間になるべくして産まれてきたのだろうな。』

「え…?」

「…」

「お前の勘は予言めいているから…でも、俺もそんな気がしているよ。」

「…」


「おはようございます、出発できそうですか?」

「おはよう、あとはそこにある荷物をまとめたら出れるよ。」

「手伝います。」

「ありがとう。」

「あの…」

「うん?」

「熊本から帰ったら、お話があるんです…」

「…今じゃダメなの?」

「はい…」

「分かった、俺からも話があるから、帰ったら聞いてくれる?」

「え?それは…今じゃダメなんですか?」

「うん、帰ってから、ゆっくり話したいな。」

「分かりました、お互い、話したいこと全てお話ししましょう!」

「うん、約束ね。」

「これで、全部ですかね。」

「あぁ、ありがとう。じゃぁ、行こうか。」

「車椅子はいいんですか?」

「さすがに恰好つかないじゃない?」

「えぇ?そんな理由で…危ないんじゃ…」

「恵さんの肩、借りてもいいかな。」

「えっ、あ、はいっ!」

「ありがとう、行こうか。」


「こんにちはー…って、居ねーじゃんよ。」

「あれ?まだリハビリから戻ってないのかな?」

「…あら、こんにちは、今日はあの子外出許可もらってて、病院から出てるんですよ。せっかく来てくださったのに、ごめんなさいね。」

「そうだったんですね、いや、こちらも連絡なしに来たので、大丈夫です。」

「突然押しかけて来たので、お気になさらず!…失礼します。」

「…外出って、どこ行くんだよあんな身体で…」

「それは分かんないけど、でも、何か大事な用があったんじゃない?」

「俺に何も言わずに…帰ってきたら説教だな。」

「なぁんで将くんの許可がいるのよ。いいじゃない、ずっと、病院に居たんだから…」

「…そうだな…」

「彰くん…意識が戻ってくれて、本当に良かった…」

「あぁ…」

「あとは、恵さんと上手くいってくれるのを願ってるんだけどな…」

「そうせかすなよ。あいつらはあいつらのペースってのがあるんだ。」

「うん…そうだね、あんまり干渉しないように見守ってよう。」

「あぁ、そうしよう。」

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