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2943  作者: 平野むら
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35/41

1-3-14

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「こんにちは、お身体(からだ)の具合はいかがですか?」

「こんにちは、今日のリハビリは堪(こた)えたよ。」

「16年…ですもんね、彰さんのお母様が定期的にマッサージなさってたお陰で、すぐにリハビリに入れたんですから、感謝ですね。」

「あぁ…恵さんにも感謝してる。待っててくれてありがとう。」

「いえ、私は何も…」

「ナギの木が、大きく育ったみたいだよ。恵さんのナギの木も、大きくなったんじゃないのかな。」

「はい、あんまり大きいので地植えしたいところですが、そんな場所もなくて…」

「退院したら実家の庭に植えようかと思っているけど…恵さんのナギの木も一緒に植えようか?」

「あ…いえ、私は将来の自分の庭に植えたいと思っているので、その…」

「そうなんだ、恵さんの庭は森の様になりそうだね。」

「そうですね、たくさんの木々や花々、果物も植えたいと思っています。」

「そっか、素敵な庭になりそうだね。」

「…あの、RUMIって人の歌声が彰さんを導いてくれたんですよね?」

「うん、俺は…ずっと彷徨ってたんだ。そこへ彼女の歌声が聴こえてきて、その、覚えのあるその声の方向へ進んだら戻ってこれた。」

「覚えのある…」

「…聴いたことのある歌声だったんだ。随分昔の記憶でしかないけどね。でも、探してた歌声に間違いないんだ。」

「…探してらしたんですか、その歌声の人を。」

「うん…ずっと、探してた。まさか、芸能人の歌声とは思わなかったけどね。」

「…探してて、見つけられた…どうされたいと思ってますか?」

「どうって…うーん…会いたい気持ちはあるけど、相手は芸能人だからなぁ…」

「会って、どうされたいんですか?」

「会ってみて、どんな人生を送ってきたのか聞いてみたいな。どこで何をして、何を感じて生きてきたのか。」

「…それだけですか?」

「うん…今はそれくらいしか思いつかないかな。」

「…熊本へ行けば、会えるかもしれません。」

「え?」

「…来週の火曜日、こないだの熊本で起きた地震の復興ライブを現地でするみたいで、そこに行けば会えると思います。」

「復興ライブ…」

「一緒に行きましょう、彰さん。」

「…一緒に来てくれるの?」

「はい、私もお供します。」

「…今から、先生に外出許可もらえるか相談してみるよ、ありがとう。」


「久しぶりだね、めぐ。元気にしてた?」

「うん…」

「あんまり元気ないみたいだけど、ちゃんと食べてるの?」

「うん、食べてるよ、心配いらない。」

「急に連絡くれてびっくりしたけど、嬉しかった。どうかした?」

「うん、あのさ、前に会社の広報してるって言ってたけど…」

「あぁ、辞めちゃったの。今、別の仕事してる。」

「え?…今、何してるの?」

「ふふふ、驚かないでね?」

「何、もったいぶらないでよ。」

「ご縁があって、歌手として、歌ってるよ。」

「…歌手になったの?」

「そう、去年の秋から、本格的に歌手として活動してるよ。」

「…なんて名前で?」

「名前そのまんま。RUMIだよ。」

「そっか…お姉ちゃん、昔から上手だったもんね。」

「そうかな?どっちかって言うとめぐの方が歌うの上手だったよ?」

「そんなことないよ。」

「でも、めぐは聴くことの方が好きだったから、私ばっかり歌ってたってだけだよ。」

「そうだったっけ…」

「話してたら久しぶりに会いたくなっちゃった…そうだ、今度熊本でライブやるからおいでよ!」

「え?」

「震災の復興ライブ。…東日本大震災の時、ボランティアで現地に行ったの。そこで子供たちに童謡の歌を歌ってたら、スカウトされちゃってね。これも何かのご縁だと思って、歌手になったのよ。」

「そうだったんだ…」

「来週の火曜日!平日だから、そんなに人も来ないだろうし、シークレットで特に宣伝もしないから、安心して。」

「わかった。その…お友達も連れてきていいかな?」

「もちろん!」

「ありがとう。」

「じゃ、詳細はまた送るね!」

「うん、忙しいのにありがとね。」

「久しぶりにめぐの声が聴けてよかった。連絡くれてありがとね。じゃまた!」


『奴(ヤツ)に知恵を借りてはどうだ。』

「…」

『奴は目覚めた。貸しはたくさんあるだろう、何を躊躇(ためら)う。』

「…いいんだろうか…清厳が龍だったとはいえ、龍が人間に力を貸してくれなど…」

「既(すで)に浾湧が清厳に頼んで祈りを捧げてもらっていたんだろう?それと大差ないさ。」

「祈りは、人間にしか成しえないことだから…今回の事は、こちらで解決すべきじゃないだろうか…」

「何言ってんだよ、人間達のことをどうにかしようとしているんだ、自分達の問題なんだぞ、その人間に加勢してもらって何が悪い。」

「そうは言うが…立場がないじゃないか…」

『くだらん。本懐(ほんかい)を見誤るな。』

「…龍王ってのは、俺には身が重いよ。」

「そんなお前だから、勤まるんだ。」

「…わかった、目覚めたばかりで気が引けるが、清厳に会いに行こう。」

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