1-3-13
2943イメージソング
https://youtu.be/yrc1oGmkcak
「数値に異常はありませんし、内臓や神経も全て正常に機能しているので、今のところ問題ありませんね。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「彰、おい、分かるか?」
「…あぁ。」
「よかった…っ、本当によかった…っ!」
「…声が聴こえたんだ…」
「俺の声だろ?届いてよかった!」
「いや…女性の声…」
「私?!私の声が届いたの?!」
「いや…違う…でも、ずっと聴きたかった声なんだ…」
「…ちょっと、失礼しますね。」
「あ、うん…」
「聴きたかったって、恵さんの声じゃないのか?」
「…分からない…ただ、その声のする方に向かったら戻ってこれた…」
「…亜由美の声かしら…亜由美、そっちに座ってないで、こっちに来てご挨拶して。」
「亜由美です。」
「…この子は?」
「お前が寝てる間に、子供が産まれたんだよ。もう15歳だ。」
「それだけ永いこと、眠ってたんだよ、彰くん。」
「俺達も随分老け込んじまったよ。お前は前とあんまし変わんねぇけどな。」
「…そうか…」
「それで?この子の声でもないの?」
「違う…」
「…RUMIの歌声が聴こえてたんじゃないの?」
「さっきの?」
「うん。私、曲ダウンロードしてるよ。ほら。」
「…いろどりの花が咲いている 色とりどりの香り閉じ込めて…」
「この声だ。間違いない。」
「この人の歌声で、帰ってこれたのね…」
「キッカケはなんであれ、とにかく戻って来れてよかったな。」
「もう一度、聴かせてくれないかな。」
「あ、はい。リピート再生にしますね。」
「ありがとう。」
「…恵さん、心配だから見てくるね。」
「あぁ。」
「お姉ちゃん?恵。時間ある時に電話ちょうだい。」
「恵さん!」
「あ、すみません、電話してました。」
「あ、そうなんだ、邪魔しちゃったかな?」
「いえ、留守電になったので…」
「…彰くん、さっきラジオで流れてた曲が聴こえたんだって。それで戻って来れた…って。」
「…」
「まさか、歌手の歌声で目を覚ますなんてね、戻って来れたのは嬉しいけど、複雑な気持ちだね。」
「…目を覚ませた理由はなんであれ、本当によかったです。」
「うん…」
「目を覚ましたばかりで色々検査もあったから、疲れていらっしゃるでしょうし、今日は帰りますね。」
「あ、うん…」
「皆さんによろしくお伝えください、失礼します。」
あれから何度も同じ曲を聴いていた。
「RUMI…芸能人になんて、どうやって会えばいいんだ…」
それに、会えたとして、俺に何ができる…
しかし、声だけだが、彼女かもしれない…
「亜由美、あの曲歌ってる歌手の人、ライブとかしないのかな?」
「それが、ライブ情報とかまったく出てないんだよね。ライブしてくんないかなー。」
「そう…」
「もしもし、お姉ちゃん?電話ありがとう。…うん、元気だよ。お姉ちゃんは?…そう、よかった。…あのさ、最後に会った時、会社の広報やってるって言ってたけど…うん、え?辞めたの?…今、何してるの?」
「おいっ!清厳が意識を取り戻したぞ!」
「何?!」
「…」
「本当か、潢彩!」
「自分の島でアイツの気を感じた、間違いない。」
「よかった…っ!」
「それはよかったが、現状の人々の恐怖の念は治っていないぞ。」
「あぁ…台風まで起こしたが、念は広がる一方だ…こんな時、龍王様ならどうするのだ…」
『今の龍王はお前だろう、泊渼。』
「分かってる…分かってるよ…」
「…目覚めたのですね、清厳…」
「ツクヨミ、聴こえるか。私だ。」
「…」
「スサノオが、黄泉の国へ行ったのは知っているな。」
「…」
「お前ならどうする。」
「…」
「私は、お前の事もスサノオの事も、自分の息子ながら気持ちが分からない。父として不甲斐ない思いだ。」
「…」
「スサノオが不在の今、お前の力が必要だ。頼む、出てきてはくれぬか。」
「…」
「ツクヨミよ…」
「…父君…」
「ツクヨミ!」
「分からずとも、よいのです。」
「…それは…」
「分からずとも、信じて下さればそれでよいのです。」
「信じる…」
「行く末を案じるのではなく、ただ、私達の未来を信じてくださるだけで、それでよいのです。」
「未来を…」
「私には先が読めてしまうが故に、周りとの関わりを断たねば、とても生きてはゆけませんでした。」
「それで、この岩戸へ…」
「スサノオが悪いのでも何でもないのです。私がそうせねば生きてゆけなかったまで。ただ、それだけなのです。」
「難儀な能力を授けてしまったばかりに…すまない。」
「何も悪い事などありはしません。私の未熟さゆえ、この様な形をとらせていただいているのです。」
「そうとはいえ…もう出てきてはくれぬのか。」
「…私が出てゆかずとも、龍達がおります。」
「それとこれとは話が違うのだ、ツクヨミ。お前自身の力を貸してはくれぬか。」
「…」
「ツクヨミ…」




