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2943  作者: 平野むら
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29/31

085

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「スサノオか、何用だ。」

「父上、私は憎まれ者として生まれたのですね。」

「何をまたおかしな事を…」

「姉者や兄者に(うと)まれ、八百万の神々にも厄介者扱いされ、龍達にまでも軽んじられてしまうとは…もう我慢なりません。」

「スサノオよ、お前は(ゆが)んだ(とら)え方をしている。」

「父上まで私を(さげす)むのですか…」

「そこの所を申しておるのだ、哀れな息子よ。」

「私の事を分かってくださるのはきっと母上だけなのです…」

「見誤るな!そうしてお前は自分の曲解(きょっかい)によって孤独に(おちい)るのだ。」

「分かりません、私は誰からも愛されておらぬのです!」

「誰に似たのだ、イザナミよ…」

「父上は、母上を見捨ててしまわれたのでしょう?」

「…そうではない。」

「ではなぜ、黄泉の国から母上を連れ戻さなかったのです!」

「…私の未熟さがそうさせたのだ。」

「私が黄泉の国へ行き、連れ戻して参ります。」

「待て!イザナミは自分の意思で黄泉の国へ留まる事を選んだのだ、連れ戻すなど不可能だ。」

「息子の願いを聞き入れぬ母親が何処に居ましょう?」

…「イザナミに母心など無いに等しい、やめておけ。」

「なぜそのように私から母上を遠ざけるのですか!」

「いつも言っておろう、母離れは早い方がいいと。もうお前も立派な柱となったのだ。己自身で立ち、歩むのだ。」

「もう、甘える事も許されぬのですか…」

「そうだ、今度はお前が甘えさせてやれるだけの器を持て。」

「どういう意味ですか?」

「己から動くのではなく、相手が助けを求めて来た時にこそ、力を発揮せよということだ。」

「…」

「お前はお前の、柱としての仕事をするのだ、スサノオ。」

「いえ、私は私の心の声に(したが)い動きます。」

「…今はそれでよい、お前にも分かる時が来よう。」


「アマテラス、先刻の集まりはどうであった。」

「毎年変わらず、にございます。」

「うむ。して、スサノオだが、またおかしな事を言っておる。何か変わった事はなかったか?」

「…金龍淦澐を(あや)めてございます。」

「何?!…龍王を()えずに、龍界は混乱しておらぬか?」

「白龍泊渼にて、据え変えております。」

「そうか、それでは問題ないな。」

「…父君、スサノオの荒れた心は取り戻せぬのでしょうか。」

「分からぬ…あれはどうもイザナミの血が濃い。気性の荒さはイザナミの上をゆくぞ。」

「…母君のこと、もう愛してはおられぬのですか。」

「…馬鹿を言うな、片時も忘れたことはない。」

「そうですか…いつか、御目通りいただきとうございます…」

「…会えるとも、いずれな。今はまだ、その時ではない。」

「はい…」


「…ツクヨミや、私だ。」

「…」

「もうそろそろ、出て来ぬか?」

「…」

「…お前の(かたく)なな所は、母親(ゆず)りだな。」

「…」

「スサノオは、お前の金龍を殺めてしまったそうだ。」

「…」

「何、代わりはおる。」

「…」

「…だが、お前の代わりはおらぬのだからな、ツクヨミ。今でも私はお前をアマテラスと並べ、この日本国を統治させたいのだ。」

「…」

「優しいお前のことだ、(うらや)むスサノオを想い、龍産みに精を出すことがお前の仕事と割り切っておるのだろう。」

「…」

「お前はアマテラスを(しの)ぐ統治力がある。」

「…」

「出てくれば嫌でも分かるぞ。」

「…」

「…また来る。」

「…父君…」

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