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2943  作者: 平野むら
PR
25/31

1-3-11

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「風が強まってきたな…」

「すみません、強引に連れてきてしまって…」

「いえいえ!せっかく小田原まで来たんだから、どこか観光したかったんです!」

「腹も減ってきたところだしなぁ…なんか食いてぇよな。」

「でしたら、かまぼこが有名なので、食べ歩きしていきましょう!」

「かまぼこ有名ですよね!ちょっとお高めだけど、小田原のかまぼこって美味しいよねーっ。」

「あそこから小田原かまぼこ通りになっているので、どこか寄ってみましょう。」

「思ってたより人が少ないな、台風がきてるからか?」

「そうですね、どっちかというと小田原城に行ってる方が多いのかもしれません。」

「お城もいいよねー、歴史感じるの楽しい!」

「あ…そっちにも後で行きましょうか、今の時季だと蓮の花が咲いてるかもしれません。」

「わぁ!お花も楽しめるのー?」

「はい、この間までは花しょうぶや紫陽花が楽しめましたよ。」

「おい、彰、お前も何か喋れよ。」

「え…女の子同士、楽しそうじゃんか。」

「違うだろ!お前があの子に会いに来てんだから、お前らで話さないでどうするんだよ!」

「そう…だな。」

「咲もテンション上がっちゃって、女子の会話にゃ入れねーよ。」

「…」

後ろからしばらく眺めているが、今ひとつピンとこない…まぁ、彼女である必要はないが…

「かまぼこ屋さんあったよー!ここで揚げかまぼこが買えるみたい、寄ってこー!」


「かまぼこって、結構腹にたまるな。」

「そうですね、お昼ごはんは入らないかも…」

「歩美さん、小食だぁ。だからそんなに細いのー?」

「いえ、そんなことは…」

「おい咲、小﨑さん困らせるなよ。」

「小﨑さん、少し休みましょうか。」

「あ、そうですね、どこか休める場所は…」

「ねー!二人共、あそこに神社があるから行ってみよー!」

「あぁ、先に行っててくれ。疲れたんじゃないかな、仕事の後で付き合わせて。」

「いえ、全然!それに、私からお誘いしたんですから…」

「…なぜ、ダイビング店で働こうと思ったの?」

「子供の頃から海が好きで、すごく癒されるんですよね。海に携われる仕事に就きたくて、やっとのことでライセンス取得して…私、カナヅチだったから。」

「カナヅチだったのに?いくら好きとはいえ、それで海に潜るって勇気いるよね、すごいな。」

「好きだと、なんでも頑張れちゃうんです。私は頭がいいわけでもないし、運動も出来る方じゃないから…それでも海の中に長いこと居られるダイバーに憧れて、頑張っちゃいました。」

「怖くはなかったの?」

「最初は…でも、好きなのに怖いって…なんだか海に失礼だなって思って。」

「失礼…か。」

「私、おかしいですか?親も無茶するなって、すごく止められました。でも、それでも好きで…」

「分かるよ、俺も海が好きなんだ。」

「本当ですか?!一緒ですね、海も、植物も…」

「あぁ、そうだね。」

「連れて帰った子は、植え替えましたか?」

「いや、まだそのままだよ。」

「本田さんが選んでた子、鉢に対してちょっと大きめだったから、たぶん植え替えてあげた方がいいかもしれません。もしかしたら根詰まりおこしてるかもしれないから…」

「帰ったら植え替えてみるよ、ありがとう。」

「ねーっ、お二人さーん!あそこのトンネルから海行けるみたーい!風も弱まってきたし、行ってみなーい?」


ザザーン…ザザーン…

「海辺に来ると風がすごいな…」

「でも、空は白いっていうか…雲はないねー。」

「全部雲かもしんねーじゃん。」

「今、台風の中に居るのかもな。」

「台風の目の中ってことですか…そしたらもうそろそろ暴風域にまた入るかもしれない…」

「でも、今日一日風は強かったけど雨は降ってないよねー、あっ、あそこの岩場、すごく高い波がかかってる。」

「沖の方はもう暴風域に入ってんのかもな、そろそろ帰るか。」

「…そうですね。」

「…ぃちゃん…お兄ちゃん…っ!」

「なんか、あっちの岩場で女の子が叫んでない?」

「お兄ちゃん!お兄ちゃん…っ、誰か…っ、お兄ちゃん…!」

「海に向かって叫んでる…行ってみよう!」

「お兄ちゃん!お兄ちゃ…」

「どうしたの?!」

「お兄ちゃんが…お兄ちゃんが…」

「え?あそこ?!」

「だいぶ流されてる…お兄ちゃん、浮き輪とかしてた?!」

「とにかく、警察に電話しないと…っ!」

「俺が行く!」

「待ってください!今この海に入るのは危険です!波が高すぎる!」

「でもこのまま見てるだけなんてできないだろう!咲、俺の…服と靴、持ってろ!」

「待て、将吾!お前はここで待ってろ!俺が行く!」

「ちょ…二人して何言ってんの!?待ってよ!二人に何かあったら私…っ!ねぇっ!」

「もしもし、今、小田原の御幸の浜に居るんですが、子供が海に流されていて…っ!」

「どうしよう…ねぇ、なんでこんな日に海に入ったの?!お父さんとお母さんは?!」

「だって…お兄ちゃんが今日も岩場のカニ採りに行こうって…そしたら、お兄ちゃんが海に落ちて、大きい波がきて…お兄ちゃん連れてっちゃったの…ぅう…えーん、お兄ちゃーん…っ!」

「ごめんごめん、分かったから、大丈夫…どうしよう…」

ザザーン…ザザーン…

「今、警察呼びました!あと、救急車…監視員探してくるので、咲さん救急車呼んでもらえますか?!」

「わ、分かった!今、呼ぶから…えっと、1、1、9…っ!」


バシャバシャバシャバシャ…ッ

「おい…っ、将吾…っ!」

バシャバシャバシャバシャ…ッ

「おーい!大丈夫かー…っ!」

ザッパーン…ザッパーン…

「はぁっ…はぁっ…、ダメだ、まだ遠い!」

「おい、お前はもう戻れ!」

「何言ってんだよ!もうここまで来てんだから…っ!おーいっ!」

ザッパーン…ザッパーン…

「俺らも流されてんだよ!はぁっ…頼むから言うこと聞けって…っ!」

バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ…ッ

「将吾っ!」

この荒れ方…俺らの命も危険だ…将吾は止まらないし…子供は無事なのか…どうしたら…

『何をしている、清厳。』

「白い…煙…っ、泊渼か…っ!」

『何やら不穏な空気を感じとって来てみれば…潢彩はどうした!こんな時に何をやっているんだあいつはっ!』

「そんなことより、頼む、助けてくれないか…っ!あっちの子供と、将吾を…っ!」

『分かった!』

白い煙が竜巻のように渦巻いて二人の元へ行く…


ザザーン…ザザーン…

「お電話された方ですか?」

「はいっ!私です!あそこ、あの方角に子供と男の人二人が…っ!」

「すみません、私共の監視場からは確認できず…今、ライフセーバーが二人で救助に向かっています。」

ザザーン…ポッ…ポツポツ…ッ

「雨…なんか…服が温かい…?…彰くんのズボン…なんだろう…」

カチャ…

「懐中時計…?え…光ってる…?!」

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