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2943  作者: 平野むら
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20/31

1-3-6

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「帰りの便、俺らと違うだろ彰。俺達昨日の船で戻るな。」

「おう、二人共付き合ってくれてありがとな。またあっちで。」

「こちらこそ、貴重な体験が出来てよかった!ありがとね彰くん、これからも私達をよろしくねーっ!」


『…清厳、どうやってシネリキヨ様と繋がったのだ。』

「…そろそろ出てこいよ。」

『ははは…どうだった、俺の清厳ぶりは。』

『泊渼か…!』

「こいつが俺に成り代わったり、シネリキヨ様との繋がり方も泊渼のお陰でどうにかなった。にしても、好き勝手やってくれたなまったく。」

『そういうことだったのか…しかし、なぜ私に泊渼が居ることが分からなかったのだ。』

『そりゃお前、修行不足だ浾湧。そんなんじゃ、龍王には程遠いな。』

『な…っ!』

「落ち着け、浾湧。確かに、泊渼の能力の高さに俺も驚いた。龍王様と同等だと言えるんじゃないのか。」

『俺はな、いざという時の為に日々鍛錬している。それが自分を高みへと導いてくれると信じてな。』

『いざという時など…お前は昔からすごかったよ。我々の中でも群を抜いてな。』

「あぁ、ひとつ前の人生でも助けられた。その時にも、龍王様を思わせる働きぶりだった。」

『そう褒めてくれるな、まだまだ修行が足りない。』

『持ち場を離れていいのか?』

「そうだ、あの時も湠渓の居る島へ飛んできてただろ。」

『あぁ、下の龍達が代わりを務めている。』

「お前はすごいよ、俺なんかは単独でのんびりやってたがな。」

『そうか…下の者に任せられるほど信頼しているのだな。』

『俺とは常に繋がっている、何かあればすぐに戻れる。』

「そこまでとはな…どこまでいく気だよ、神にでもなろうってんじゃないだろうな。」

『さっきも言っただろ、誰しもが神であるって。我々は神の様に常に神である必要もない。気楽だろ?』

『…私はすでに神なのか…』

『そうだ、お前だってお前のままで神なんだ。神は辛いぞ、常に神でなんか居られるか。』

「その点では同感だな。俺は神になどなりたいと思わん。」

『いや、残念ながらお前も神だったりするんだ。諦めろ。』

「俺は神の欠片も持ち合わせちゃいないよ。龍だった頃から、神からもお墨付きの人間の中の人間だからな俺は。」

『未だにお前は龍でもあるさ。神でもある俺の代わりに動いてくれただろう。』

『そうだな、人間であり龍であり神でもあるお前は特別なんだよ、清厳。』

「何言ってんだか…」


「もういいか?あんしぇー行こやー。」

「はい、お願いします。」

『ではな、清厳。世話になった。』

『俺はまたお前に会いに来るぞ清厳。』

「じゃあな。」


家に帰り着くなり、机の引き出しを(あさ)った。

「あった…」

子供の頃、ばぁちゃんがくれたじぃちゃんの形見。

このねじを巻けばまだ動くはず…チッチッチッチッ…真ん中に赤い石が施された懐中時計。

確か外国の物だったかなんかで、当時はシンプルな懐中時計が主流だったのもあり華美な装飾のある懐中時計は珍しい物だったらしいが。

特に文字盤のディティールが素晴らしいな。子供の頃は何の価値も分かっていなくて、ただの綺麗なおもちゃ位にしか思ってなかった…

『ようやく目覚めたのだな…清厳…』

「え…」

チッチッチッ…装飾の赤い石が光って見える…

『わかるだろう、清厳…私はお前を導ける…』

「…潢彩…なのか…?」

声は聞こえなくなっていたが、赤い石は光が灯ったように輝いている。

「俺の家から近い神社…池…芦ノ湖(あしのこ)!九頭龍神社か…っ!」

懐中時計を握りしめて家を出た。

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