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2943  作者: 平野むら
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1-3-2

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak

「将吾、明日の夕方に帰るだろう、明日の朝ちょっと嫁さんと一緒に付き合ってくれないか。」

「なんだよいきなり…俺はいいけど、咲がなんて言うかな。」

「沖縄まで来て式を見届けてやっただろ。俺の用事にも付き合え。」

「…話してみるよ…」


「明日、時間はとったぞ。」

『あぁ、すまないな。』

「このタイミングで会えるとはな、浾湧。」

『お前が来るのを待っていた。ずっとな。』

「俺がもし来なかったらどうするんだ、龍は気が長いな。人間ってのはどうもせっかちでしょうがない。」

『寿命が短いんだ、気も短くなるってもんさ。だが、ここの者達は人間の中でも気が長いぞ。』

「なるほどな…島人(しまんちゅ)時間ってやつか。それで、お前の願いってのはなんだ。」

『先ほど話した通り人間達が戦をし、聖域にまで被害が及んでいる。』

「とはいえ、人間達の手で修復しているだろう。」

『一度壊れてしまったのだ、修復したところで元になど戻るものではない。』

「それはそうだが…」

『人間達の心が見える…図々しくも、また以前の様に守ってくれ、力をくれと。』

「…耳が痛いぜ。」

『多くの者は与えることを知らず、与えてくれとしか言わぬのだ。』

「同じ人間になってしまったとはいえ、ほとほと嫌気がさすな。」

『だが、与えることを知る者も居る。その少ない者達の為に島を守っている。』

「お前はできた奴だな、浾湧。」

『わはは…だろう。私は神になれる。すでに人間達の意識の中では神となっているのだからな。』

「…それはどうかと思うが、お前はなぜ神になりたいんだ。」

『龍王は神に最も近い存在だ。私こそが龍王となるはずだった…だが、金龍として生まれ落ちたというだけで淦澐にその座を奪われたのだ。』

「それは、はじめから淦澐様が龍王になると決まっていたからに他ならない。お前がそう卑屈になる度にツクヨミ様の事を侮辱しているかのようで気分が悪い。」

『では、なぜ私が神の島に居るというのだ!神に選ばれたという証拠であろう!』

「龍王様は、望んで龍王になったんじゃない。それが気にくわないんだろう。」

『そうだ!望めば叶うなど嘘でしかない!この私ですらそうなのだ、人間達が嘆くのも当然だろう!』

「…何が言いたいんだ。」

『私には、人間達の無力であるがゆえの痛みが分かるのだ。お前にも分かるだろう。』

「…」

『私が神となれば、その痛みを拭うだけの力をもって正しく望む者に授けようというのだ。』

「それがお前の願いか。」

『…いや、これは私が、私自身が叶えることだ。』

「願いは?」

『痛く可愛い人間達に、与えることから始めるという作法を学んでほしくてな。』

「作法?」

『感謝し、祈るーそれだけだ。』

「…本当にそれだけでいいのか?」

『察しがいいな、望みを叶えるためには動かねばならん。お前のようにな、清厳。』

「どうだかな…それで、どうしろっていうんだ。」

『わからん。』

「だろうな。」

『察しのいいお前のことだ、策は練ってあるだろう?』

「とりあえず、女を用意した。」

『そうか、神女を据えるのだな。』

「あとのことはお前の方が分かっているだろう。」

『あぁ、用意するのは水瓶と…』

「細かい作法はいいよ、省こう。とにかく明日、また久高島へ行く。」

『恰好がつかんだろう…』

「恰好なんて気にしてる場合じゃないだろう。とにかく明日、久高島の…どこだ。」

『ハビャーンだ。』

「…どこだ。」

『久高島の北端にあるカベール岬だ。』

「分かった、朝から向かう。」

『待っている。』

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