表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2943  作者: 平野むら
PR
15/31

1-3

2943イメージソング

https://youtu.be/yrc1oGmkcak


「おめでとう。これで自由はなくなったな。」

「別に結婚したからって不自由になるわけでもないだろ。」

「どうだか。」

「ゲーテも言ってただろ、結婚生活はすべての文化の始めであり頂上であるってな。てっぺんで待ってるぜ、(あきら)。」

幼馴染の将吾が昨日結婚式を挙げた。わざわざ沖縄で式を挙げるとあって二泊三日、今日は沖縄を二人で満喫している。

「いいのか?式の翌日に嫁さんほったらかして。」

「いいんだよ。あっちはあっちで友達とビーチに向かってる。」

「お前らって変わってるよな。」

「お互いを尊重してるんだよ。それより、この青い空と美しい海を堪能しろって。」

そもそも付き合いたての頃から変わっていた。大学のオープンキャンパスで意気投合して、そのまま付き合ったかと思えば将吾はイギリスへ海外留学、嫁さんは青年海外協力隊でシニアへ。数年の遠距離恋愛を経て今に至るわけだが、共にそれぞれの時間を各々生きている。

「お前もそろそろ彼女くらい見つけろよ。」

「俺が興味あるのは海だけなんだよ。」

今回の結婚式だって、沖縄で式を挙げると聞いて沖縄の海の生態系を直に知る機会を得られると思ったからついて来ただけだ。

「東大で頭はいいのになお前…海に取りつかれた男の末路は恐ろしいな。」

「うるせぇよ。ほら、着いたぞ。」

「せーふぁうたき…いいなぁ、この感じ。」

留学中に訪れたストーンヘンジで、太古の息吹を感じられる石や岩などの不思議な力に惹かれるようになったんだとか。

「なんにも感じねーぞ。」

「もっと神経を研ぎ澄ませ!」

「おりゃここに神経をリラックスさせに来たんだよ。」

「まぁ好きに感じればいいさ。琉球王国時代には、男子禁制だったんだからな。」

「琉球王国最高の聖地、だもんな。そんじゃ、おじゃましますよ…っと。」


「あれが神の島、久高島かぁ。船でしか行けないからなぁ…行きたかったなぁ…」

「神ねぇ…神経研ぎ澄ませばここから眺めるだけでも十分だろ。次行くぞ、次。」

『なげー会わんかったさー。』(長く会っていなかったから顔が見たかったよ)

「あ?」

「彰?なに、ぽかんとしてんだよ。」

「なんか聞こえなかったか?」

「え?いや、なにも。」

「…空耳か?」

『くまー きーよー』(こっちに来ーい)

「…くま?」

「さっきからなんだよ。」

「いや、なんか聞こえるんだって。」

「神の声?」

「こえーこと言うなよ。」

「いーじゃん、神の御声が聞けるなら聞いてみたいね俺は。」

「もう聞こえない。いくぞ。」


「…なぁ、ここからすぐの港から行けるみたいだ!せっかくだから行こうぜ、久高島!」

「島に行くより、ここらでシュノーケリングしたいんだが俺は。」

「いいから、ほら!出航時刻迫ってるぞ!」

「なんでそう強引なんだよお前は…」


「ついに…神の島上陸だな!」

「へーへー、おじゃましますよー…っと。」

『みーどぅさんなー、そんしぇー いかんどー。』(久しぶりに顔をみるのに、そんなんじゃだめだ)

「…」

「ほら、着いたんだから楽しもうぜ!」

「あぁ…」

『訛りがだめなのか?すっかり変わってしまったな、清厳。』

「…」

「左から攻めるか。小さい島だから、歩いて散策しようぜ。」

『お前が人間になってからというもの、どの島も神の所業に苦しめられている。』

『そこに輪をかけて人間達が戦を始めた。人間の立ち入れぬ聖域にまで被害がでている。』

『島によっては大地が揺れ動き、島自体を壊しかねない。これもまた、スサノオ様の力となれば我々とて立ち向かうことはできない。』

『だが私は黙っておれんのだ。私の島にもしものことがあれば神とて許せん。』

『お前の事を待っていた。人間にしかできぬことがあるのだ、清厳。』

『お前が人間である今、私に力を貸してほしい。』

『…聞いているのか、清厳!』

「…」

「彰、ここにヤグル川ってのがある。降りれるみたいだ、行ってみよう。」

「あぁ…」

『彰…おぉ!すまんすまん、記憶もなしに話はできんな!』

「なぁ…やっぱりやめよう。」

「え?ここまで来てなんだよ。」

「嫌な予感がする…」

「大丈夫だって、ほら、ここまで来れたのだって神のお導きなんだって。」

『なかなか分かっているな人間。まぁ、私はまだ神とは言えんがな…いずれ神となろう時がくるだろう…』

「いや、なんか気味悪い感じがしてしょうがないんだ。頼む、引き返そう。」

「怖がりだなぁ彰、手ぇ繋いでやるから。な!」

『清厳である彰よ、恐れることはない。水に触れるのだ。』

「おぉー、こんな所があるなんてなぁ。どれ、水は冷たいのか?」

「やめろ、将吾!」

「チャプ…んー、ぬるめだな。」

「…大丈夫か?」

「なにが?あー、虫とか魚はいないみたいだぜ?お前もこっち来いよ。」

「いや、俺はいい。神だのなんだのの(たた)りにあいたくないんでね。」

「強情な奴だなお前も…うりゃ!」

「パシャン…!おぇっ…!このバカ、目にも口にも入っちまっただろうがっ!」

『清厳、その目で思い出すがいい。』

・・・バババババババババババババババババババババババ…・・・

「な…っ!」

「おい、彰?目ぇかっ(ぴら)いてどうしたってんだよ…」

「…っは、…はっ…!」

「…おい、大丈夫か?」

『清厳…お前の成すべきことは思い出したか。』

「…あぁ…」

「よかったよ、水を顔にかけたせいで目がやられたのかと思ったぜ…悪かったな。」

『悪いが、成すべきことの前に私の願いをきいてくれるか。』

「行こう。」

『助かるよ。』

青年海外協力隊:開発途上国からの要請に基づき、現地の人々と共に課題解決に取り組む海外ボランティア制度。JICA(独立行政法人国際協力機構)実施。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ