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前世オタクの私が魔法少女は解釈違い!  作者: 天氷岐 久音
まして主人公ポジとか間違いでしょ?!

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第57話 未確認超巨大隔獣

「ステラよりHQ。現在、区域一の十四、目標らしき超巨大隔獣反応を感知。三百秒後に接敵予定!」

『HQ了解、気をつけて』

「ノワ様! このままシールド展開を――できますよね!」

「……できるさ!」


できないと言わないノワ様、すき。


「百八十秒後に展開をお願いします! 六十秒後に高度を落として地表ギリギリを行きます! 接近後、ルージュさんは牽制を」

「了解ですわ!」

「ヴァイセはノワ様の援護を、セラ様は距離を取って牽制と観測をお願いします!」

「分かりました!」

「承知です」


感知範囲の一番外側にザリザリとしたノイズがずっとある。

反応が大きすぎて、隔獣反応というよりノイズの塊みたいになっているのだ。


反応の強さはルーク級の比ではないけれど、恐怖心は無い。これ、変身してるからだな。

ルーク級と初遭遇した時は、未変身状態だったから、遠くからでもかなりのプレッシャーを感じた。


恐怖で動きが鈍らないのは良いけど、隔獣の脅威を見誤らないように注意しないとね。


「高度下げます!」


何もない荒野だけに、視界はかなり通る。およそ十階建てのマンションに相当するサイズの目標もまだ米粒ほどのサイズだが、隔獣特有の黒色のおかげで視界に捉えた。感知範囲と目測の併用で測った目標までの距離は約八キロ。

偵察ドローンが撃墜された距離は約四キロ。安全マージンを取って、その倍の距離から地面ギリギリの低空で接近する。そこまでは打ち合わせ済み。


その先は、出たとこ勝負だ。


じっくり偵察したいところだけれど、少なくとも四キロはある目標の射程がそれを許さない以上、仕掛けて探るほかない。


「予定通り、ルージュと私が前衛! 上から仕掛けますので、ルージュは下から。ノワ様は、後衛の守りを!」


近づくにつれてどんどんと大きくなる隔獣。塔のような形状? 特徴が無い。


「デカくない?! デカすぎない!?」

「ほんとうにビルみたいなサイズですわね!」

「ルーク級が可愛く見えますね!」


ほんとに、ね!


「行きます!」


地を這うように接近していくルージュと別れ、斜め上に駆け上がるように高度を上げていき――と、来た!


塔型の隔獣が動き出し、黒い光が迸る。けど、それはルーク級で散々見たから、僅かな発動予兆が見えれば、この距離でも避けるのは余裕!


単純な塔型から滑らかに形を変えていく隔獣を眼下に、その十メートルほど上まで駆け上がってから、逆落としに突っ込む。

視線の先では、隔獣の足元で円を描くように距離を保ちながら連続射撃するルージュの姿。


「っそぉい!」


塔型から変形中の隔獣の頂上あたりに、落下の勢いを乗せて、斧槍を両手で振り下ろ……!?

不意に視界いっぱいに黒い壁が迫る。

振り下ろす斧槍の先端に集めたルミナを、刃状から多重障壁に変形っ!


砕ける障壁をクッションにして勢いを殺し、迫る黒壁に逆らわず、足元にルミナを込めて思い切り飛び退く。


「――今の何!?」

「巨大な盾です!」


盾ぇ?!


「巨人です! 巨人型隔獣!!」


!!

咄嗟に、斧槍に目いっぱいルミナを込めて巨大なルミナの斧槍とし、右から左に振り抜く。


衝撃音!!


巨人型が盾持ってるなら、やっぱり武器もあるよね!!


こっちの光の斧槍と、あっちの黒い剣が打ち合い、こちらが一方的に弾かれる。

くそっ、パワーが違いすぎる!

それでも、勢いは殺したからあっちの巨剣も止まった!


一瞬止まった黒い巨剣にアストラ・クラウンが突き刺さり、巨人は剣の破損を嫌うようにアストラ・クラウンの射線から剣を逃がしたので、こちらも追撃されないうちに体勢を整える。


セラ様、ナイスフォロー感謝です!!


足元では、ルージュが巨人の片足に攻撃を集中しているが、効いている様子は無い。ルージュも見切りをつけ、仕切り直すように、剣の間合いの外まで下がっていく。


ならば、これはどうだ?!


空中で踏ん張って斧槍の先端にルミナを集めつつ、大きく斧槍をバックスイング……かーらーのー!

集めたルミナを槍状に練り上げ、斧槍を投擲器のようにして振り抜いて撃ち出す。


込めたルミナは衝撃力重視だ! 体勢崩れろ?!

って。斜めに下がりながら、盾で逸らすように受け流した?! なんだこいつ!


「ルージュ! 左に回って下さい!!」


私は右に。深くは踏み込まず、攻撃のそぶりだけ……左右どちらかに盾を回したら、セラ様のアストラ・クラウンがその隙を……って?!


巨人の肩にずらりと並んだスリットから放たれる黒光の乱射に追いまくられて、距離を取らされる。

巨人を挟んで反対側のルージュも同じような状況……盾は正面に構えたまま……!? あ……!!


「ノワ様!!」


剣を突き出したと思ったら、先端から強烈な黒光がセラ様のいる辺りに向かって放たれ、それを城壁のように多重展開されたノワ様の盾が逸らす。


「本命をセラ様と見抜いた……!? けれどこっちだって……!」


こちらも、斧槍の先端にルミナを集め、アストラ・クラウンを参考にした砲撃魔法式を構築してぶっ放す。

見様見真似のなんちゃってアストラ・クラウンを喰らえ!


狙いは盾を保持する左腕の付け根――


巨人は半歩後ろに下がってから正面に構えた盾を少しだけ動かし、砲撃に浅い角度で当てて弾く。


これもダメか! 予想しなかったわけじゃないけどムカつく! 本家の一割もない威力だから、本家の方を警戒してこっちを素通ししてくれるのを期待したのに。セラ様の方に隙を見せないよう、盾を構えたまま後退し、最小の動きで弾くとか。


内部に喰い込んで瘴気を阻害するデバフを狙ったけど、そもそも当たらなければ効果の出しようもない。

慎重で冷静! 盾の使い方が巧くて厄介! 攻め気が薄くて隙が無い!!


反対側のルージュは、黒光を放ってきた巨人の肩にあるスリットを片っ端から撃ち抜いて、半分くらい沈黙させてる。


さすがだけど、ルージュの表情は渋い。

巨人本体にダメージが入ってる感じじゃないからね、……っと、間断なく黒光が襲って来るっ! 当たらなければ大したことは無いっ、けどっ……神経使う!


「チェネ! スイッチしますわ!!」

「了解!」


ルージュが牽制射撃しながらこちら側に回り込んでくるのに合わせて、巨人を中心にルージュの反対側の位置取りを保って、背中側から回り……でぇぇぇ、背面は砲台ハリネズミかよ?!


背中側に回った途端に、黒光の密度がいきなり濃くなる。掠っただけで、バトルドレスの袖が千切れ飛んでいく。誰だよ、こんなヒラヒラの袖にしたやつぅ! 私だよ! くそっ!

なんとか巨人の右側面、黒い剣を持った側まで来たけど、両袖無くなって涼しい感じになったし!


まぁ、夏だからちょうど、イイ、ね!!


ルミナをかき集めて光る巨大斧槍を形成して巨人に打ち付け、巨人は片手持ちの黒剣でそれを捌く。

剣と斧槍だけど……サイズ差のせいで、リーチ大して変わらないな!

揺さぶりをかけてみようとするけど、軽くいなされる!!


反対側のルージュは曲撃ちで盾を避けながら、黒光砲台のスリットを潰しまくってる。

ならば、と向こうに剣を回されないように、こっちもチマチマ攻撃を入れつつ、隙を見せたら食いついてやろうと思うものの――っ、こっちの体勢が崩されがちだよ!


危うくなりそうなところで、フルチャージされたアストラ・クラウンが飛んで来る……!

セラ様ナイスぅ!


巨人は巨体を盾の中に入れるように姿勢をコンパクトにし、さらに受けながら盾を少しずつ傾け、金色に輝くアストラ・クラウンを斜め上に弾くように逸らしやがった!


マジかよ――

アストラ・クラウンの光でボロボロになった盾は、周辺の瘴気を吸い集め、見てわかるほどのスピードで修復されていく。

瘴気濃度の濃さが、こっちの不利に、あちらの有利になってる。厳しい……!

どっから流れ込んできてるんだ、この瘴気は……!


少しでも動きを阻害できれば、とデバフとジャミング特盛の砲撃魔法を撃ち込むけれど、剣で軽く弾かれた。


くそがー!!


どうすればいいんだ、これ!?


「チェネ! 下がりますわよ!」

「ルージュ?! でも!」

「下がりなさい! チェネ!!」


ああ、ダメだ――。頭に血が上ってた。くそぉ。


後退するルージュに合わせて、巨人と距離を取る。

巨人は、警戒するように構えを解かず、追っては来ない。


あー! ムカつく! 自分にムカつく。もっと上手くやれると、自惚れてた!!

頭を冷やせ、チェネレントラ・ステラ! 仕切り直しだっ。


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