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前世オタクの私が魔法少女は解釈違い!  作者: 天氷岐 久音
まして主人公ポジとか間違いでしょ?!

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第55話 夏休み オフイベ トークライブ

チーム制と、チーム単位でのローテーション制は概ね順調に動き始めた。最初の二週間は当番となるチームに、単独出撃が許可されている魔法少女――セラ様、ルージュ・エトワール、サニーレイン、ノワ様、私の誰かが帯同してバックアップする体制でスタート。

その後は哨戒として出撃する主チームとバックアップとして待機するチームの二チームに、予備チームが控える形で一ユニットを構成し、安全マージンを取っている。


一週間、三ユニットが交代で当番に就き、当番に就いたユニットは翌週お休み。

それから、ユニット一つで全区域のカバーは難しいので、一日当たり二つのユニットが当番に入る。


このローテーションを一週間回すのに必要なチーム数は十八チーム、隔週交代なので計三十六チームだね。


測定会の後に暫定で四十五チームが作られたので、ローテーション入りチームは順番に入れ替えになっている。それと、チーム内の相性や、体調などもあるのでチームは完全固定にはならず、時々チームメンバーの交代もありつつ、まずまずは順調に回っている。


……セラ様とのデート(?)はどうなったか?


少しだけセラ様と喫茶店で話しただけだよ! うん、変なわだかまりは無いし、なんとなくお互いの認識も、まぁ、把握……した。


話した時間はそんなに長くない。

円卓会合が終わったのに、いつまでも事務所に戻ってこないセラ様を探しにきたヴァイセと、ヴァイセに引っ張られてきたキルシュが乱入してきて、後はなんか有耶無耶になった。

なんで、セラ様のいる場所が分かったんだろうね? ヴァイセは「勘です!」としか言わなかったけど。

とりあえず、出来るだけ友達として見られるようにがんばりつつ、セラ様呼びの改訂はまだ待ってもらう方向で。


で、ローテーション制度が始まって最初のひと回りが終わった段階で夏休みに入り、怒涛の駆除出動から解放された私はのんびりお休み……とは行かなかった。


「……セラ様、イベントの重要性は分かるのですが、これ、私である必然性は――」

「あります。灰星さんは、いっぺん自分の影響力を考えやがれです」


何のイベントかというと、魔法少女ファン向けの大規模オフイベントだ。

ただの魔法少女ファンだった時代、夏休みのこのイベントは、夏休み最大の楽しみの一つと言っても過言じゃなかった。


公認魔法少女になってトワイライトパレスと契約した後、このオフイベのために休暇を入れようとしたら、間宮所長からすごい残念なモノを見る目をされた思い出。

公認魔法少女イコール出演者っていう認識はあったんだけどね! 言われてみれば確かに私も公認魔法少女になったわけだから、出演者になるのも当然なわけで。


けれどまぁ、デビュー半年経っていない魔法少女の出番はさほど多くないし、むしろ会場への交通費が経費で出ると考えれば役得だし、毎年欠かさず見に行っていたセラ様のトークライブと私の出番が被らないといいなぁ……とか考えてたんだよ。


「まさか、セラ様とトークライブとか……」

「あなたがやらなくて、誰が出るんですか。魔法少女ファンとして客観的に考えやがれですー」


特等席でトークライブ見られると思えば……思えるか!


確かにセラ様の言う通り、魔法少女ファン目線で客観的に考えれば、このオフイベでセラ様のトークライブに出て欲しい魔法少女はチェネレントラ・ステラ一択だ。

デビューバトルとなったルーク級との戦闘について語って欲しいし、一部界隈に物議を醸したバトルドレスについてセラ様がズバリ聞いたらどんな答えが出るか興味は尽きないし、チーム制の試験運用チーム選定の舞台裏なんかも気になるところだ。


客観的に考えれば! そうだけど!


それを語れるかどうかは別問題なわけで! 特にセラ様からバトルドレスについて聞かれたら……しぬ。


ならば、進行に口を突っ込めるように積極的に参加するしか道は無い。


「分かってますよ。ちゃんと考えたから、こうして舞台袖で待機してるんじゃないですか……うう、緊張でおかしくなりそう!」

「おまじない、してあげよっかー?」

「それ、トドメになるやつです!!」


なんて恐ろしいことを……こちとら、雑談配信モードなセラ様が目の前にいるだけで、もうすでにいっぱいいっぱいなんだぞ。


あ、ほら、出番みたいですよセラ様。

うぅ、緊張でしぬ。


『続いては皆さんお待ちかね、セレスティアル・スター×チェネレントラ・ステラ、スペシャルトークライブです!』


あわわわわわ。

ででで出番だぁ……。


「はいはーい。会場のみんな、配信で見ているみんな、元気してる? 暑さに負けてない? 今日はみんなが気になる、あの魔法少女とトークライブだよ。はい拍手ー」


万雷の拍手という形容詞はこういうときに使うやつだよね。ひええ、すごい人! 視線!


「あ、どうも。みなさんこんにちは。初めましての人はよろしく、“灰星”チェネレントラ・ステラです。セラ様、今日はよろしくお願いします」


わわわ、歓声が、歓声が!!


「はい、拍手止め。ということで、トークライブ始めるよー。進行は引き続き――」

「魔法少女サニーレインが担当します。会場の熱気すごいですけれど、みなさんちゃんと水分とってますかー? 少しでも体調に異変を感じたり、隣の人の様子に異変を感じたら、巡回スタッフに遠慮なく声かけを」


一度間を置き、すでに何度も繰り返しアナウンスされている注意が会場に浸透するのを待つサニーレイン。


「それでは――」

「万天に輝く天の星、セレスティアル・スターと――」

「灰を纏いて輝く星、チェネレントラ・ステラの――」

「スペシャルトークライブへようこそ!」


セラ様と二人でくるりと回って、背中合わせでポーズを取ると、会場が爆発するような歓声に包まれた。


ひゃああ。圧が、圧がすごい。

なんか、めちゃくちゃ高揚してくる。

去年までは、観客席側にいたから、会場が高揚した雰囲気になるのは分かっていたけど、ステージで受け取る側になると、なんか……なんかすごい!


語彙が仕事放棄した。


トークライブ、始まってしまえば、それまでの緊張はどうしたのかっていうくらい、スムーズに進行していく。

いや、セラ様がとてもこなれていて、サニーレインの進行が絶妙に上手いおかげなのだけど。

間違っても、私のトークが上手いわけではない。ちょこちょこぎこちなくなるところを、上手にフォローされているのだ。


「――はい、セラ様のファンになった経緯はそんな感じですね」

「ね? みんな聞いた? すごいでしょ、灰星さん。いっちばん最初の配信からずっと応援してもらっててねー。そうして今では同じ魔法少女として肩を並べるようになって感慨もひとしおなわけなんだよー」

「なんか、めちゃくちゃ照れます……」

「はい、照れいただきましたぁ。あとはもう、そのセラ様呼びから、様がとれれば完璧」


ステージ背景を覆う巨大スクリーンに、てぇてぇ、灰星はよデレろ、チェネステ観念しろ、年貢の納めどき、とかコメントが流れていく。

ええい、好き勝手言ってからに!


「それは、その、少し待ってください。少し、もう少しだけ!」


正直、スクリーンにセラ様と私が並んで大写しになっているのを見るだけで、心臓がヤバいのだ。


「待ってあげるけど、あまり待たせないで欲しいなー」

「あざとい顔してぇ! セラ様、すき」


ところで、チェネステ団扇を両手にもって最前列の端の方に座っている、黒髪に白い花のヘアコサージュの少女。

すごく関係者っぽい気がするんだけど、いいの……? あ、そこは関係者席なのね。


「ふふ、脱線しすぎたから、本題に戻ろうか。チーム制度が導入されたのが、大きな話題になってるねぇ。実際、大きな制度改革になったけれど、裏でアレコレ画策してた灰星さん的に、ズバリ、チーム制度が必要なワケは?」

「暗躍したみたいな言われよう! ええとですね――」


隔獣の行動変容、それによるトップ層への負荷偏重……ここまでは、世間的にもよく知られている背景。

その先、特災庁が危惧する問題が――


「ルーク級隔獣の同時多発的な発生。これが起きたときに境界層での駆除が間に合わない場合です。ルーク級が現実世界へ出現した場合の被害は――戦闘ログを見た方なら想像は容易だと思います」

「そうね。あの黒い光線、あれが全方位に放たれるだけで、街一つが容易に壊滅するでしょうね」


会場が重苦しい沈黙に包まれ、会場にいる人をはるかに上回る、配信視聴者からのコメントもパタリと止む。


「その対策の鍵が、チーム制度であり、ローテーション制度による即応体制です。特災庁でかなり厳しめにシミュレーションしても、ルーク級一体を三チーム合同で駆除可能という結果が出ています。もちろん、トップ層の魔法少女抜きで」


お? なにやら懐疑的なコメントがチラホラ。アストラ・クラウンにかなり耐えたルーク級をやれんのか? と。


なるほど。


ならば説明してあげようじゃないですか、あのステゴサウルスもどきをどう料理するかを!

まず重要なのは周囲の地形、それからポーン級が周囲に存在するか否か。

ポーン級複数とともに出現した場合の対応は――


「――はい、灰星さん、その辺で。怒涛の早口だったねぇ。まとめると、ルーク級同時発生のような事態が起きても、今まで通り境界層で駆除する体制ができあがっている、ということだね」

「はい! 今ならルーク級が五体や十体湧いたところで即応バッチリですよ!」


自信たっぷりに言い切ったところで、セラ様がなんとも微妙な表情に。

私何か変なこと言った?


「灰星さん、そういうのをフラグと――」

「いや、いくらなんでもそんなタイミングよく……」


会場中に響き渡る避難指示発令を告げる不協和音アラームの大合唱。


ええ……


いやいや、いやいや、私のせいじゃないでしょ!

なんでよ! 避難指示だぞ。ほら、ちゃっちゃと立って周囲確認! いやなんで、みんなジト目で私を見るんだよ、さっさと避難しろぉー!


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