表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世オタクの私が魔法少女は解釈違い!  作者: 天氷岐 久音
だからコソコソがんばります

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/41

第30話 境界層のコソコソ魔法少女

公認魔法少女になってから十日ほど、なんやかんやあった。


改めてお母さんとお父さんに魔法少女を続けることの宣言と色々な約束。

テンションが突き抜けた真奈の相手。

「お姉ちゃんのグッズ出たら全部買う!」宣言は撤回させた。

そもそもグッズを出す予定はありません。


そんな家族会議の終盤、魔法少女としての姿を家族に披露することになった。

もちろん拒否した。

私の真っ黒歴史全開の姿を、自宅で両親と妹の目の前で披露するとか、あまりにもあんまりだ。


けれど。

「あなたが決めたことだからこそ、それがとても危険なことだからこそ、魔法少女の綾星をちゃんと見せておいてほしい。その上で、親としてきちんと応援したい」

お母さんに、そう言われてしまって、嫌だ見せたくない、と言えるか?

無理にきまってるよね!


で、見せた。至近距離で目の前でばっちりくっきり。


家族会議が三時間延長された。


きちんと応援したい、とは何だったのマミィ。


確かに? 無難でおとなしい服装が常の私が、チェネレントラ・ステラに変身したら、耳ピアスチョーカーへそ出しへそピ。そんなキレ味つよつよなファッションなわけで。

お母さんは、育て方を間違えた?! みたいなショックを受けた顔で固まり。

お父さんは、目のやり場に困ったとばかりに視線を逸らし。

真奈は、すっごーい!! と歓声。


地獄みたいな時間だった。


後日、美宙にも見せたけど

「あーちゃん、攻めたね」

のひとことだけで流してくれた。


杏奈には、まだ言ってない。

チェネレントラ・ステラの名前が特災庁の公認魔法少女リストに載っただけで、テンションが天元突破しそうな勢いでチェネステを語っていた杏奈だ。

私がチェネステです、とか言ったら、衝撃で心臓止まってしまうんじゃないかと、割と真面目に心配してる。


ともあれ。


今いるのは、十日ぶりの境界層だ。


相も変わらない永遠の薄曇りの空。

空気感が希薄な境界層独特の雰囲気。


正直、ちょっと落ち着く。


なんかもうすっかり馴染んだ境界層入りだけど、以前と変わったこともある。

公認魔法少女になると、境界層内でのリンク接続が義務になるのだ。罰則は無いけれど、遭難時の救助などに必要なため、ここは素直にリンクに接続しておく。これで特災庁に境界層内での私の位置が通知される、という仕組みだ。


本来なら、公認魔法少女にはルミナ駆動の追尾式ドローンカメラがつくのだけど、これは魔法少女事務所経由で支給されるものなので、今の私にはまだない。


魔法少女事務所。

大手から零細までピンキリあるそれは、特災庁と魔法少女の間に立って魔法少女を支援する、認可制の民営企業だ。

特災庁への各種報告や申請の代行、様々な契約の代行といった事務から、魔法少女としての活動支援、カウンセリングや家族支援といった周辺業務全般を取り扱う。

最初から魔法少女事務所として立ち上がったところ、芸能プロダクション系、配信運営企業系、珍しいところでは、医療法人傘下なんてところもある。


公認になった魔法少女を各事務所がスカウトするのが標準的な事務所所属の流れなのだけど、私の場合は一旦特災庁預かりになった。異例中の異例らしい。

スター・ホワイト騒動やチェネレントラ・ステラ登場時の話題性もあって、スカウト合戦が過熱する恐れがあるため、と説明してくれた特災庁の鳴海さん。その辟易した表情から、既にだいぶ過熱してることが伺えた。こわい。


できれば、こじんまりとしたところが良いという希望は伝えた。

ただ、小さい事務所では手に余る可能性が高く、三大事務所のどれかになるかも、とも言われた。


セラ様が所属するファーストナイトはその三大事務所の一角、筆頭だ。恐れ多い。というか、セラ様と同じ事務所は私がしぬ。推しが近すぎる。

あとユサことキルシュ・ツァウバーもファーストナイトだ。

心休まる気がしない!


三大事務所の残る二つ、アヴァロンとくろっくきゅーぶだけど、どちらも商業展開に強みをみせる事務所だ。


アヴァロンはファーストナイトのライバル事務所として急拡大していて、魔法少女の売り出しが巧い。

ただ、目立つのが苦手な私とはちょっと合わなさそう。


くろっくきゅーぶは配信中心の大手で、所属魔法少女のフリーダムさが売り。三大事務所の中ではここが一番、私の希望に合いそうではあるけれど、配信の大手事務所で配信しない自由は許されるのだろうか。


そんなこんなで私の所属先は宙に浮いたまま。

鳴海さんからは、所属が決まるまでは隔獣駆除活動はできれば控えてほしい、と言われている。


ならなんで、境界層に来ているか? というと、新装備の慣らしのため。

実戦前に新しい装備品の使い勝手をひと通り確かめておくのが目的。だから隔獣駆除はしない。


いい響きだよね、新装備。ワクワクするものがある。


いままでの体操服とジャージにウィンドブレーカー姿は卒業。

悪くはなかったけれど、できればもう少しちゃんとしたものを使いたい、と常々思っていたところにまとまった収入があったからね。

リスク対応のための投資だ。


まず、ライトグレーとダークグレーの都市迷彩柄ミリタリーコート。

特殊部隊向けモデルと同じ素材のレプリカ品で高耐久高機能な一着。迷彩柄は限定品だったのでちょっと高かった。お値段六桁のそれは毎月のお小遣いでは到底手が出ないので、通販ページをブックマークだけして、いつかは、と思ってた品。

大きなフードが個人的にツボ。

次に、同じ迷彩柄のカーゴパンツ。こちらもミリタリースペックの丈夫なもの。ポケットが豊富だけど動きやすさを損なわない工夫がされてるのが特徴。お値段同じく六桁。これもブックマークだけしてた品。

インナーは、オリーブグリーンのTシャツ。肌ざわりが良く、程よいフィット感で、生地がとても丈夫なもの。

そこにタクティカルハーネスとベルトを合わせ、伏射の邪魔にならず扱いやすい位置にポーチを装備。ポーチにはこれまでボディバッグにまとめて入れてた色々な小物をセット。これで、生地にダメージが蓄積していたボディバッグはお役御免だね。

ハーネスやポーチなどの装備類はサバイバルゲームアイテムを扱う通販サイトで一通り揃った。

足元は、だいぶ擦り切れてしまったトレッキングシューズから、耐久性、動きやすさ、足の保護をより重視したコンバットブーツに変更。


で、感想。


いい。


断然動きやすい。

瓦礫へのひっかけとか、狙撃姿勢を取った時の身体保持とか冷えとか、足元の安定感とか、そういうのがまるっと良くなった。

それに加えて、専用装備、という意識が働いたためなのかルミナの通りがすごく良くて、なおのこと身体に馴染む。

これなら、タクティカルベルトにセットしてる灰星ちゃんデコイとあわせて、隔獣の不意討ちにも十分対応できそうだ。

安全係数が上がるのはいいね。

スリングベルトで肩にかけてる相棒の狙撃銃も心なし軽く感じる。


おもわず、いつもの巡回コースを回って隔獣駆除をしに行きたくなったけど、自重。自重。

今日は慣らしだけ。

フラグじゃないぞ。


変身しないのか、って?


しない。


チェネレントラ・ステラはあくまで奥の手だ。

ルミナ出力は跳ね上がるし、宙を駆けられるほどの機動力と、巨大隔獣すらぶっ飛ばせる斧槍の威力は魅力的だけど。

ルミナ反応垂れ流しになるので、静かな行動には全然向かない。

チェネステの出力だと、こちらが隔獣を見つける前に、隔獣がこちらに気付くレベルだ。


だから、境界層ではいままで通り非変身での活動。

そのために装備も一新したわけだし。


変身したくないだけとか言うな。


言うな。


まだちょっぴり自分でも直視できないことは認める。


けれど、そう、合理的に考えて。

この状態がベスト。


だから――

これからも、コソコソがんばります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ