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世界は心を孤独にするほど俺たちを嫌う  作者: 池田 ヒロ
◆第十八章 逃げ続けた結果とその運命◆
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197ページ

 ここはどこだ、という疑問。それは頭の中にいる冷静な自分が地下と答えてくる。魔王がいる場所と答えてくる。ンなこたわかってんだよ。ここが魔王の陣地だってことを。血塗られた地面。そこに立つオルチェに期待の思いを見せつけてくる仮面を被った大勢の人々。これから何が始まるというのか。


《ただ今より王者とチャレンジャーの対戦です!》


 上の方から機械質の声が聞こえてくる。今、なんて言った?


――対戦だって? 俺は誰かと戦わなくちゃならんというのか? ヤだな。


 最初こそは焦りと困惑で考えられなかったが、よくよく冷静になってみれば――この状況がおかしいことに気付いた。なぜにこんな大勢の人たちがこうして地下にいるのだろうか。そんな疑問が頭の中でいっぱいになる最中、オルチェたちが入って来た方向とは真逆の方からナズーが現れた。このナズーは――?


 見覚えがある。ただのナズーとは違う雰囲気があるから。こいつは、そう。


「あんた、あのときの……」


「お久しぶりですね」


 普通に答えてくれた。これは幻ではないらしい。目の前に受け入れがたい現実がある。自分の目の前に現れたナズーは国の調査員だった。白昼夢の村で見せたナズーの体は健在のようだ。なぜにここにいる、そんな質問をさせる気ないのだろう。調査員ナズーは身構えた。


「再会のあいさつはここまでですよ」


「あんたと戦えってか」


 もしも、このナズーを倒したとて、調査員は自身が知りたいことを教えてくれるだろうか。ここがどこなのか教えてくれるだろうか。


 おしゃべりはそこまでだ、とでも言うようにして、調査員はアナウンスの声よりも先に行動を開始した。重たい一撃をオルチェに仕向けてくる。ただのグーパンチなのに、なんという威力。地面がへこんだぞ。拳骨の形を残したまま。あれをもろに食らったならば、ひとたまりもあるまい。そうそう簡単に動けまい。一方的に攻撃ばかりを受けてオシマイだろうな。オルチェには思わず冷や汗が垂れた。思い出すは白昼夢の村での出来事。拳銃と体術だけでは敵わない相手。だが、今回は射撃砲だってある。だとしても、弾が尽きればそこまでであるが。


 一方的な攻撃を受けまいとして、オルチェは射撃砲を発砲した。真っ直ぐに飛ぶ弾は調査員ナズーへと当たっていく。それでも、これが効いているとは思えなかった。ああして、平然とした様子でこちらに突進してきているのだから。


――なんだよ、これ! 全然弾が効かない!


 この射撃砲は完璧対人用として作られた代物だとはっきりわかる。まだ自分が使っている拳銃の方が、威力が高いと思えた。何度かこちらでナズーを仕留めてきたことがあるのだから。


「クソッたれ!」


 使い物にならない射撃砲。これでは、石を投げつけているのと変わりない。あの堅い皮膚が貫通するはずもない。ああ、じれったい。調査員ナズーは本気で殺しに来ていた。もうオルチェは回避で頭がいっぱい。どうにかして攻撃を与えるという作戦は頭の端っこへと追いやられてしまうから――どうしようもない!


 それならば、拳銃で攻撃すればいいのにという考え。数撃てば当たる。そんな思考を持ってはいけない。弾には限りがある。六発だ。たった六発しかないのだ。それにこのナズーを倒した後のことも考えなければならないのである。


 どうにかこの状況を打破しなければ、と考え過ぎたのだろう。攻撃が見えていなかった。直撃ではないにしろ、地面に当たる拳。衝撃によって飛び散る土の塊。それが視界を邪魔してくる。


「あなたはいつも逃げていますね」


 これが原因だということは言い訳にはならないはずだ。視界が悪い、怯んだ隙、それで相手の攻撃を避けられるってならば、オルチェは超人だろう。


 オルチェは調査員ナズーの攻撃を受けてしまい、壁へと激突してしまった。

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