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フレイヴはカムラの剣を握り、オルチェは銃と射撃砲を手にして巨大な樹木の前に立った。ここに魔王がいるにしても、どこにいるというのだろうか。まさか、木登りをしなくてはならないとでも? 木登りは構わないが、空中戦となると――。
「オルチェさんって、飛べないですよね?」
珍しいフレイヴのボケ。そんな彼にオルチェはただたじろぐだけ。そういうボケをかまされても、どう反応していいのかわからない。だからこそ、「飛べない」と律儀に答えてあげた。
「フレイヴはどうなんだ? 空を飛べるか?」
「飛べるわけないじゃないですか」
当たり前のことだというのに、辺りの空気が重たい。フレイヴはこんなことを言わなければよかった、と後悔の念を出していた。あーあ、穴があったら入りたい。そんな思いで軽く樹木に触れていたら――。
びっくりし過ぎて声が出なかった。何があったのか。それはフレイヴが樹木に触れたとき、彼自身の手が木の中へと入ったからだ。こういう風にして入る入口スタイル? 初めての衝撃に思わず入れていた手を引っ込めてしまう。だって、怖いし。
「今、手が入ったな」
この衝撃にオルチェもしっかりと目に焼きつけていたらしい。それでも、どこへ行けばいいのかはわかった。だが、この入口スタイルは躊躇する。入る気はしない。
「諦めるか?」
この言葉にフレイヴは我に戻ったようにして「いいえ」と否定した。カムラを放っておけるもんか。不気味な入口。それに不安要素は大きいものの、二人は中へと入っていくのだった。
巨大な樹木。そこへと中に入り、二人が目にしたのは――階段だった。木の形になぞるようにして、木の螺旋階段が地下の方へと続いているではないか。なるほど、魔王は上空にいるのではなく、地下にいるというのか。
それもそうだろう。光る石像は、魔王は光を避けていると言っていたのだから。これが正しいのか。ならば、カムラも地下にいる可能性が高い。こうして逃げる術がないなら。ゆっくり、着実に地下の方へと足を踏み入れていくと、階段は百三十四段で終わっていた。そこから先は長い通路。先ほどまで木材の内部だったのが、一気に土臭くなってきた。壁は土? いや、地面が土であるのは間違いないが、この壁は土でもないし、石にしてはゴツゴツとしていない。白い、と思う。要所には紐でつながれた橙色の明かりがあるぐらいか。
「なんか、陰気臭いな」
ぼそりと呟くフレイヴの言葉にオルチェは同意する。真っ直ぐに続く謎の通路は自分たちの不安を煽ってきているようだから。こちらの通路も階段同様にゆっくりと歩いた。突然、ナズーが現れてきたらビビる自信があるぐらいに。
そうして歩いている内に、二人は開けた場所へとやって来た。そこは――地面は通路と同じ土であるが、血生臭い。だが、壁が真っ暗でどうなっているのかはわからなかった。ここはどこなのだろうか。彼らが辺りを見渡していると――。
《みなさん、お待たせしました》
なんてアナウンスが聞こえたかと思えば、フレイヴが立っていた場所に穴が空いて――彼は落下してしまう。それを見たオルチェは助けに行こうとその穴のもとへと向かうのだが、すぐに塞がれてしまうのだった。
独りこの場に取り残されたオルチェ。そんな彼を嘲笑うかのようにして、真っ暗だった周囲は途端に明るくなる。周りは三メートル以上の壁があり、その上には奇妙な仮面をつけた人々がこちらを見下ろしているのである。彼らは熱気で盛り上がっていた。
《ただ今より王者とチャレンジャーの対戦です!》
――ここは、どこなんだっ!?




