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親愛なる友フレデリックへ
この世の天災を見てしまったのかもしれない。これまで隊長たちは新王国を亡ぼすための力を蓄えておけ、と言っていたけれども、それは本当に正しい準備の仕方だろうかと今思う。なぜならば、目の前にいる少年と男は新王国そのものと戦う相手より大きな存在だったのだから。一瞬にして、動いていた同志たちはバタバタと倒れてしまった。遅れて動こうとしていた私の足すらも止めた。少年は悲しそうな表情を浮かべながら言ったのだ。「それならば」と。まだ何も課程の言葉も聞いていないというのに、俺は物陰に逃げるようにするしかなかった。果てしなく嫌な言葉なのかもしれなかったから。彼は言葉を続けた。「存在価値がわからないならば、ないに等しい」ってね。事実そうだった。彼は誰もが震え上がるような言葉を言ったのさ。「ぼくは殺人鬼だ。だから、そんな存在価値がないようなものを殺すことくらい容易い」と。
俺は数年も国に仕えてきた軍人だ。これでもナズー討伐部隊にも参加したことがある。ある程度の俺の覚悟もあったんだ。それなのに、あの少年ときたら言葉だけで俺たちも相手国すらも退けたんだ。一緒にいた男は明らかに彼に忠誠を誓っていたようだったんだ。こいつもこいつでとても強かった。
なぜに男が少年に忠実だったかって? それは、男が「私もお手伝い致します」って言ったからさ。彼らの言葉が合図化のようにして二つの戦いを同時にせざるを得なかったよ。相手国に加えて、テロリストも相手しなくてはならなかったからね。もう、こうして生きてきみに手紙を送れていること自体が奇跡だと思うよ。
そうそう、彼らが持っていた武器何だったと思う? 俺たち独立の国はもちろん射撃砲を使って、あっちの新王国のやつらは一昔前に使っているような近接専用の武器だったんだ。テロリストの二人は新王国の人間だとは聞いていたけれども、男は俺たち同様に銃や射撃砲を利用していたさ。どこでくすねてきたんだか。でも、少年はとんでもなかった。あれは明らかにただの武器じゃない。だからと言って、祭事に使うような芸術品でもないんだ。それでもとても美しかったなぁ。これまで色々と武器を見てきた俺だが、思わず見とれるほど……いいや、固まってしまうという表現が正しいかな。そこまでにおいて美しい光を俺たちに見せていたんだ。その隙、と言ったがいいかもな。それのせいで同士も相手の軍団もバッタバタ倒れてしまったんだ。本当に俺は運がいいよ。後方にいたんだから。逃げる、という選択肢を選べたんだから。だって、こうして書いていてもわかる通り、あの二人は天災というような……ナズーと同等の扱いをしなければならないほど強かったんだ。ただの子どもって見くびっていた俺は恥ずかしいよ。勝てない、って思ってしまったんだから。恥ずかしくも「ジンガシャマロ様お助けください」って言ってしまったよ。
結局、どんどんみんなが倒れ行く中、俺は逃げて様子を窺っていた。本当にこれが正しいとは今でも思っている。なんでって、とんでもテロリストや謎の武器以外にも驚くことがまだあったからさ。
それは一体なんだと思うかい? 誰もが予想だにしていなかった事実さ。みんなが動けなくなるまで倒れた頃、周囲を覆うようにして黒いもやが出てきたんだ。これを書けば、フレデリックだってわかるだろ? そうだよ。倒れたやつら全員がナズーになってしまったんだよ。周りにあの真っ黒オバケはいなかったってのにさ。でもさ、新王国の連中は最初からあの少年がナズーを呼び寄せる、もしくは操っているっていうことを知っていたらしい。これが本当かどうかはわからないけれども、こうして目の前で起こった事実があるんだ。俺は信じようと思う。
そんなこんなで、軍で働くということが怖くなった俺は故郷に戻ろうかと思っているんだ。だからこうして、きみに手紙を書いたんだ。どの道、フレデリックと会って話したいことはたくさんあるからね。それじゃあ、また会おう。
フレデリックにジンガシャマロ様のご加護がありますように。
親友であるヒルガッテより




