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新王国国境ゲートにて。独立の国国境ゲートにて。ここで警備や巡回をする軍人たちは互いを監視していた。現状で双方ともこちらに対して攻撃を仕掛けようとすることは一切なし。国にとっては首都が一番重要であるのだが、このときだけはここ――国と国の境が重要となっているのである。もうわかっているから。どこかの誰かがリークしてくれた相手国の心内。秘密。知らないとは言わせない。しらを切らさせやしない。絶対に。
――理性を保った状態のナズーを利用し、なんとか生物兵器として量産できないか動いていたのだろう?
――島自治区で採れる樹液と海底砂を合わせた燃料を独占するために、島の立ち入りを厳しく制限していただろう?
すべて知った。いや、前々から薄々と気付いていた。これらは二人の人物の存在が大きいだろう。彼らのおかげと言っても過言ではない。どこかの誰か――ケレントが戦争の火種屋とするならば、その火種その物こそがあの二人――。
両国の国境ゲートで軍人たちは同時にある二人を捉えた。ちょうどどちらの国の土地に足を置くようにして立っているではないか。だが、少し後ろに下がっている者は若干新王国側にいた。彼らは――。
そう彼らは――新王国では殺人鬼アルフレッド・バイゾーンと一緒にいて、行く先々でナズーが出現する呪い持ちの少年と戦友軍の男だ。独立の国では首都の一部を爆破したテロリストたちである。この二人は指名手配書が回っており、見つけ次第即刻捕えろと命令が出ているではないか。
聞いている。新王国でも独立の国でも二人を捕まえろという指示が出ていることを。そして、上は言うのだ。相手よりも先に捕らえろ、と。捕らえるにしても、生きてさえいればいい。口や耳が利けば。考える頭があれば、どうにかなるのだから。
ここに来たのはたった一つのことを成し遂げるためである。今の世界で起こりそうなことなんて興味がない。それに加担する気すらもない。そんな思いでフレイヴはオルチェを従えて、国境線上に立っていた。わかる、わかる。双方からビシビシと敵意ある視線と感情が。
「ぼくの囮役よ」
フレイヴは後ろに立っていたオルチェに主らしい言い方で呼びかけた。その声に、機敏に反応する。彼の背中に対して跪いた。
「はい、フレイヴ様」
「ここにいる者たちは、ぼくの価値を決められるような人間だろうか」
「いいえ」
「ならば、どうあるべき存在だろうか。ぼくにはわからない」
「申し訳ありません。私すらも彼らの存在を理解できません」
二人の会話を軍人たちの耳には入っていない。軍人たちの頭に入っているのは、相手よりも早く彼らをこちらの陣地で捕えることのみ。決して逃がしてはならない。じりじりと姿を現しつつ、相手の出方を慎重に見入る。それでもフレイヴは口を止めなかった。
「だったら、どうすればいい?」
「フレイヴ様が決めてもらっても構わないかと。なんせ、フレイヴ様は魔王より『クラッシャー』という称号をもらっていますから」
「そう……」
一方で新王国の一人の軍人が行動を起こそうとした。そうはさせまいと独立の国の一人の軍人も動く。それにつられるようにして、二人以外の誰もが足を、手を動かし始めた。それと同時と言っても過言ではないだろう。オルチェの言葉に納得したフレイヴはポケットからしわしわになった一枚の千切れたページを取り出した。『助けて』というメッセージの下には――『会いたい』の文字が浮かび上がってくる。
――ぼくも友達に会いたい。そのためには――。




