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世界は心を孤独にするほど俺たちを嫌う  作者: 池田 ヒロ
◆第十七章 真実とクラッシャー◆
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189ページ

 真っ黒な存在が唯一人間らしい左目でカムラを見ていた。ほぼ毎日と言っていいほどこちらを見に来る。その目が向けてくるのは全くわからない感情。怒っているのか、悲しんでいるのか、面白がっているのか――何もわからない。だから、訊く。


「そんなにあたしをじろじろ見てヒマなの?」


 誰彼構わず挑発発言をするカムラ。魔王をばかにしたようではあるが、彼は「ヒマではない」と律儀に答えてくれた。


「やることすることで精いっぱいだ」


「じゃあ、そっちやればいいじゃん」


 こっちなんか見に来なくても。第一、こちらが訊きたい質問に答えてくれないくせに。憶測では合っているだろう。実際に魔王はカムラと同じクラッシャーを倒す『名なし』なのかは不明。本人は肯定も否定もしなかったから、曖昧。光る石像も『名なし』はクラッシャーを倒した、とは言わなかった。


――ああ、じれったい。イライラする。


 それだからこそ、カムラは若干苛立ち気味に「あのさぁ」と訊く。


「いい加減に教えてくれない? あたし、あんたが知っている記憶を持っていないの。知らないの。あのときの記憶以降は」


「全部を話さなかったお前に言われたくない」


――全部を話さなかった? 今、こうして色々と話しているでしょうが。というか、あたしが訊きたいのは今の世の中の真実! 魔王がヒマだとか忙しいだとか、心底どうでもいい。ていうか、聞いたところで同情する余地もなし。するだけ無駄だ。した自分がばかだった、って後悔するだけだから。


 カムラが雰囲気だけで不満をぶつけていると、魔王は「嘘つきには教えたくない」と言い出した。


――はあ!? 何こいつ! 自分(?)なのにすげぇ腹立つ! 間に鉄格子がなければ、こいつを殴っていたところ! まあ、殴ったところであの黒い鎧が痛そうだからやりたくないけど! つーか、脱げ! 顔だけ脱げ! そしたら殴れるから脱げ!


 カムラが歯噛みをしていると、魔王が「大体」と鼻でため息をついた。


「お前は俺よりも嘘つきだろ。多分、あのもう一人に何も教えていない」


「フレイヴのことだったら、教えてるし。あたしの使命もクラッシャーという存在も神様の日記も」


「この世の仕組み」


「それはあんたが一番詳しいでしょうに」


 その言葉を聞いた魔王は視線を逸らすと、無言でこの場から立ち去ってしまった。結果的に考えると、それは肯定の意味で捉えてもいいのだろうか。いや、そういう意味で捉えても問題はないだろう。なぜって、この世の中を作ったのは魔王であることは間違いなのだから。カムラはこの世界を知っていたとしても、この世の中の仕組みを知っているわけではない。


「なんなの、あいつは……」

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