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自分の故郷の国、新王国はフレイヴがやった行動。すなわち、ケレントの屋敷に奇襲を仕掛けた事件を利用して、独立の国と戦争をしようと考えている。そのことをオルチェから聞くと、ただ目を丸くするだけ。ケレントが色々と独立の国に二人の情報を流したからではなかったというのか。それだから、こちらの国でも指名手配されていたはずだと思っていたのに。
「なんで?」
「以前、島自治区で新王国の軍に保護されたと仰っていましたよね。あれはカムラの演技が巧かったのではないはずですよ」
あのとき、なぜにアルフレッドは捕まらなかったのか。なぜに二人は親子として軍人たちは信じてしまったのか。
「あれはすべて島自治区でしか採れない燃料を手に入れるために、新王国がついた嘘の可能性が高いです」
ずっと考えていた。ずっと疑問だった。こうすれば、こうなるはず。その公式が成り立たなかったから。考えに考えた。それで辿り着いた答え。ヒントはオルチェがずっと持っていた物ばかり。自身の拳銃とウルノから手に入れた新王国の重要機密文書を取り出す。
「元々、軍の施設地下で管理していた理性あるナズーは逃げ出してしまいました。だけれども、軍は捕まえられていません」
「新王国軍はあの調査員の人を利用して、独立の国へとけしかけようと?」
「……共生委員会だなんてふざけた組織がある時点でそうだろ。そもそも、共生ってなんだ、って話だよ。明らかにナズーの超強力的な力を利用しようと企んでいるだろ」
これまで従者らしい言葉遣いだったのが、唐突にいつものオルチェらしい言葉遣いへと戻ってきた。実質、フレイヴにとってこちらの方が安心感は強いと思える。
「あの文書も結局は表向き。それにバックヴォーンはその文書の真意を知らずとも戦争を起こそうと裏で動いていた。だとしても、新王国が最初から戦争を考えていたのは間違いない」
つまりだ、とオルチェは窓の外を見る。なかなか、言い出せそうにない言葉。思わず口をつぐんでしまっていた。思わず、フレイヴは「何ですか」と訊ねる。そうであっても、とても言いがたい。これはあくまでも推測にしか過ぎない。必ずしもではない。その保険をオルチェはかけているのだが、仮にも真実を知った彼の反応が怖いのである。だが、言わねばならないだろう。すべてを知らなければならない囮役として。主に真実を伝えるために。だからこそ、しっかりと目を見据えて言うのだった。
「新王国はフレイヴ様を都合のいい存在として、戦争のきっかけとして利用しようと考えているんです」
「……オルチェさんの話を聞く限りなら、そうでしょうね」
「ですから、両国のことなんてフレイヴ様が気にすることはありません。あなた様が考えるべきなのはカムラを魔王から取り戻すこと、でしょう?」
「うん」
ふと、フレイヴは改めて千切ったページを見た。そこには文字が浮かび上がっていた。初めて気付く。これは――。
『助けて』
カムラが助けを呼んでいる。彼女が友達ならば、助けに行かないと。自分に危害が及ぶかもしれないから。戦争なんてそんなの関係ない。
――ぼくは彼女を救いたい。
フレイヴは決心を固めるのだった。両国の戦争なんて知らない。自分たちがする行動はただ一つ。友達を助けることだ。




