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ウルバとウルノは何度も戦ったことがある。単体であれば、余裕である。しかし、二人同時は通常の自分ではキツイ。勝てないと判断しかねないのだ。
「おらぁっ!」
事実、その兄妹は余裕の表情で二人の相手をしていた。フレイヴはこちらが劣勢的立場に当たるかもしれないと予測はする。するだけ。それの対策なんて何も考えていない。常に気持ちが最優先。学習するなんて――。
苦痛の表情を浮かべる。二本の剣が迫ってくるし、防ぐにしても一撃が重たいのである。それでもカムラを取り戻したいという気持ちの方が大きい。隣で自分と一緒に戦ってくれるオルチェだって。これ以上の孤独は嫌だった。そう考えるだけでも、心の奥がきゅっとなって苦しく感じるのだ。そうならないためにも、本気でこの兄妹をどうにかしなければ。どうにか? どうすれば、自分たちの邪魔をしなくなる? 答えは簡単。二人を黙らせること。行動不能に陥らせること。さすれば、こちらの目的は達成できる。少し離れたところで横たわる男の子に嘆いている老人にカムラの居場所を訊き出せる。
「ふ、ぐっ!」
防御だけならず、反撃もやらねば。向こうの得物は二本の剣。こちらは一本。いくらオルチェが飛び道具を持っているからと言っても、宛てにしてはいけない。彼には彼のやるべきことがある。誰かに守られてばかりではだめだ。だから、戦うことを選ぶだろう。もう戦うことにためらったりしない。常に前のことを見据えて、自分が何者であるかを十分に把握した上で生きていかないと――。
「ぼくはまだ死ねないっ!」
ウルバからやってくる一本の剣。それは囮だと知っている。見えているんだ。ようやく、自分にも戦いの景色がはっきりと見えてきたんだ。
右方向、動かす気があるのか。剣を握った手が小さく反応を見せる。一方でフレイヴはすぐにでも体に当たりそうな攻撃を防ごうとする気にはなれなかった。これぐらいは軽く避けるだけでいい。すぐそこに第二の刃がスタンバイをしているのだから。そうとならば、どうすればいいのだろうか。イメージをしてみた。いや、実際にはシミュレーションをせずとも、ぶっつけ本番と行こうか。想像をしつつも、体を動かす。迫りくる刃に対して、体を軽く捻って回避。次に攻撃が来ることを見据えて、カムラの剣を動かし始める。自身が解き放つ刃をどこへもっていこうか。この攻撃を第二の刃は受け止めるだろうか。
――ああ、そうだ。固定概念を今すぐに捨てよう。
フレイヴは次に来ている剣の刃を――ウルバが手にしている剣を、その柄に掴もうと手を伸ばした。オルチェがウルノにやっていたようなことをやろうとしているのだ。だが、すぐにできるはずはなく、左肩に刃が着地してやっと握れたぐらいだ。
しかし! それで一々苦痛に満ちた表情をするならば、すべての世の中に嫌な顔をせざるを得ない。いいや、フレイヴにとってこの世界は大嫌いだ。だから、苦しいと顔に出しても今更なのだ。フレイヴとウルバ。どちらが先に次の行動を起こせるか。それはフレイヴだった。
――ぼくはお前を許さない。たとえ、本意でなくとも。
フレイヴはカムラの剣の刃をウルバへと仕向け――彼の体は赤い血が赤い背景と共に溶け込むようにして空中を舞うのだった。




