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世界を変える誰がいるという噂を聞いた。これはあくまでも噂。本当かどうかすらもあやしい。ただのおとぎ話なのかもしれない。そう思っていた。あるとき、貸した金を返さない男が新王国にある情報の町へと逃げたという情報を掴んだ。そこで部下たちに遣いを寄こすと、彼らは興味深い話を情報屋で聞いたらしい。そこでは二人の少年少女が店の従業員にけんかを売っているではないか。店で一人の少女が言っていた『神様の日記』。気になってあとを着けてみれば――。
【クラッシャーは世界の歴史や事実を捻じ曲げた最低最悪クソ野郎で】
【あいつ、その捻じ曲げに『神様の日記』を使っているんだよね】
部下の話を聞いて、これだと閃いた。噂は本当だったのだ。それならば、クラッシャーという人物を探さなければならない。だが、情報屋では取り扱っていないような内容だ。これは自分たち独自で調べ上げるか、二人の様子を遠くから観察するしかない。
いくらお金がかかっても、その神様の日記を手に入れることを目標に掲げてきた。そうすれば、裏社会だけでなく、表社会も思いのまま操ることができるからだ。都合の悪い者を、存在を消させたりして。ああ、きっと未来はすばらしい世界に満ちるだろう!
そうこうして、ようやく時間はかかったが、神様の日記を手に入れる寸前まできた。神様の日記を持つ人物と接触することができた。彼はナズーの親玉だという、世界を捻じ曲げたというクラッシャー――いや、あの二人は魔王と呼んでいたか。ならば、魔王に統一だ。魔王との接触に成功した。正直な話、この人物こそが新王国が極秘で調査している理性を持ったナズーなのではないかと思ったが、そうではない様子。本物はウルバとウルノが見たと言っていたから。そして、魔王自身が望んでいたものを引き渡した、はずだった。
魔王は神様の日記をまだ渡さないという。約束と違うではないか。
ケレントは二人で話したいという魔王の言うことに素直に従ってしまった。いや、そこで拒否反応を起こせそうにはない。あれは人ではないのだから。自分は人間だ。利己主義者であることは自覚している。汚い手を使ってでも、自分が思い描く未来にしようとしているのだ。まだまだ死ぬ気はないのだ。だからこそ、大人しく身を引いた。それでも、苛立ちは収まりそうにない。そう不機嫌そうにどこかの施設の廊下を歩いていたときだった。一人の部下が慌てたようにして「大変ですっ!」と報告をし出す。だが、ケレントにとって大変なことだと知っていても、気分的には聞く気にはなれず――。
「だからなんだ」
素っ気なく、部下の横を通り過ぎようとするのだが――。
「そうではありません!」
部下はこのままではよくないと申し立てる。
「社長の屋敷に、始末命令を下していたあの女の仲間が……社長のお孫さんを人質に立て籠っているんですよ!?」
「何だって!?」
――どういうことだ!? 今日は何もかもツいていない!




