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フレイヴが瞼を開けたとき、眩しいと思った。だが、それは地下道の出口の蓋を開けたからではない。思っていたものとは違う光が入り込む。眩し過ぎない光で見えたのは豪華絢爛の部屋。ふかふかのベッド。こんな気持ちよ過ぎるベッドで寝転がったことなんてない。というか、ベッド自体とても久しぶりだった。いや、というかここ――「どこ?」
思考回路よりも口が先に出るフレイヴ。そもそも、自分が着ていた服とは違う服を着せられていた。結構上等物じゃないか。着心地は最高。気分はあまりよくないが。
オルチェはどこへ行ったのだろうか、と考える前にここへと来た前後の記憶を探る。確か、二人は地下道から出るために出口の蓋を開けたはず。それからどうなったんだっけか。ゆっくりと記憶を辿ろうとしていたフレイヴのもとに、この部屋に誰かがノックしたかと思うと、身なりの綺麗な男性が――だけではなく、後ろの方にはこれまた煌びやかには着飾った男の子がいた。年齢的には白昼夢の村で見たあの男の子と同年齢だろうか。
「お目覚めですか」
男性は優しい声で声をかけてくれた。それに思わずフレイヴは小さく頷く。その後に「はい」と答えた。
「あの、ぼくは……」
「あなた様は我が屋敷の近くを流れる川で坊ちゃまが見つけてくださったんですよ」
思い出した。地下道の出口の蓋を開けた瞬間、大量の水がこちらに押し寄せてきて――逃げるに逃げられず、飲み込まれたんだ。そこからは男性の言う、後ろに隠れた男の子が見つけて彼らの屋敷まで運んでくれたのだろう。
「ありがとうございます」
助けてもらったのだ。下手すれば、死にかねない自分を。それにフレイヴは二人に頭を下げた。お礼を言うと、男の子ははにかむ。少しだけ小恥ずかしいのだろう。いいや、自分だけで安心してはならない。思い出したように「あの」と男性に話を切り替えた。
「ぼくの他に赤い髪をした男の人を見ませんでしたか?」
「それは俺のことか」
オルチェの声が男性と男の子の後ろから聞こえてきた。二人は背後にいた誰かを通した。その誰かはもちろんオルチェである。彼の無事を知ったフレイヴは大きく息を吐くと「よかった」と安堵した。
「一緒に見つかってよかったです」
「おう、流石の俺も死ぬかと思ったけどな」
そう言うオルチェは男の子の頭を豪快になでた。彼なりの感謝の意らしい。その大きな手でなでられて、どこか嬉しそうだった。
「この子様々ってところだな」
本当にそうだな、とフレイヴも男の子に感謝をしていると――オルチェが近付いて「それに」と一言耳打ちをした。
「まさか、この屋敷がバックヴォーンの家だとは思わなかったけどな」
衝撃的事実にフレイヴは目を丸くするしかなかった。




