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入り組んだ都市。その名の通り、この街は迷路のようにして入り組んでいる。一歩踏み間違えてしまえば、日が沈むまでは家に辿り着けないだろう。そして、もちろん地下にも道というものは存在するはずだ。町全体が入り組んでいるのも当然だから。だからこそオルチェはフレイヴが見つけた八番街へとつながっている可能性が高い地下道を見て怪訝そうにする。果たして、この先が本当に八番街なのか。とんでもない場所に出てしまったらば、どうするのか。
そんなことを思っていないのか、フレイヴは「橋と同じぐらいの道のりを歩けばいいかもしれませんね」と少し呑気。
「目的地まで地下道通るのも道に迷いかねませんしね」
「だけれどもよ、本当に出口が八番街にあるとは限らんぜ。俺たちは周りが見えないような地下にいるんだから」
「でも、行ってみないことにはわかりませんよ」
フレイヴの言うことはもっともである。二人とも知らないからこそ、行動をしてみないとわからない。だからと言って、考えなしでは命の危険もある。彼らだけだから選択肢が狭くなる。悪い話ではないが、それだけ悪い結果を選んでしまう確率も高くなる。逆に考えればの話であるが。しばらくの間、迷いに迷っていたオルチェは折れたのか「わかった」とその判断を信じてみることにした。
「一番近いところから出るからな」
「はい」
意見がまとまったところで、二人は足を進めた。川の下だからなのか、上からは轟々と音が聞こえてくるではないか。ああ、橋の高さがもっとあったならば。橋の下を通れたかもしれないのに。誰だ、橋の設計を考えたやつは。もしも、自分たちが追われ身でなければ小一時間は――する理由がないな。よって、この思考は無駄だったというわけだ。くそ、頭が回らねぇ。
入ってきた入口から一番近い出口まではそう遠くはなかった。目測から察するに八十歩も歩いていないだろう。上の方に掲げられた梯子を手にしてゆっくり上っていく。先にオルチェ、続けてフレイヴだ。
それにしても、とオルチェは思う。川のすぐ近くということもあってなのか、地面は濡れているし、なんならば天井から水が滴ってくるのである。鬱陶しいこの上ない。だが、その邪魔臭い、暗い場所とはおさらばだ。もうすぐ光が見えてくるであろう。外へと出るための蓋に当たる。それをゆっくり開けようとするが――びくともしない。硬い。下の方から「開きますか?」と不安そうなフレイヴの声が聞こえた。
「ぼくも手伝いましょうか?」
「おう、ちょっと助けて」
自分だけの力では開かないようだ。それならば、ともう一人の力を加えて強引に開けようとするも――これまた開かない。開こうとする雰囲気すらもない。どんだけ硬いんだ。
「隙間に接着でもしてんのか?」
もしも、そうであるならば、開きやすい蓋のある出口に当たるまで行かなければならないのか。そもそも、この上ってどこになるのかである。このまま先へと向かってもいいのか。いや、こういうところは地下道ですらも入り組んでいるはず。下手に歩いて行けば、捕まる可能性だってある。ここはなんとしてでも爆破こじ開け以外のやり方で開かねば。もしかして、こちらから押して開けるのではなく、別の開け方があるのかもしれない。色々と二人が試行錯誤で蓋を弄っていると、蓋の真ん中に窪みがある回転式の取っ手があった。これで施錠をするのか。どうも地下道へ向かう穴の蓋は鍵付きのようだ。自分たちが入ったところでは鍵がなかったとフレイヴが言っているが、それはきっと鍵が開いていた。そう思うしかない。いや、待て――。
オルチェがそのようなことを考えながら取っ手を回していると、自分たちの視界に冷たい何かが押し寄せてくるのだった。




